【感想】!deus ex machina

─────────────────────────時は近未来

                                      競馬、競輪、競艇……。
        様々な公的ギャンブルが衰えを見せる中、とある一つのギャンブル・スポーツが特別な人気を博していた。


                            その名も、競機。Machine competition。

                MCと呼ばれるそれは、コロシアムという一つのフィールドでヒト型ロボットを戦わせる娯楽。



                 ここに、一つの競機チームがある。オーナーに理解を得られない崖っぷちのチーム。
                成績最下位のこのチームの士気は下がりに下がり、次に行われるVIPグランプリに対する意欲も無い。


                                SOSAK Machinery Team。
                      SMTと略される、株式会社佐藤重工をオーナーとするフォーミュラチームである。
                             過去には三冠を果たしている由緒正しいチームだ。



                         だが、今となっては、誰からも期待されない、誰も見向きしない。
                                後ろ指をさされ、バカにされて来ているチーム。
                  その競機界の恥とまで言われるSMTに今、大きな変化が起ころうとしている。


                              フォーミュラ・マシン。TUN-DELL 00

                                        不死鳥は蘇るのだ。



                                   !deus ex machina
                                      (ブンツンドー)











<!spoiler alert!ネタバレ注意!spoiler alert!ネタバレ注意>










既に名作と呼ばれるまでの地位を獲得してしまっている話題作。
特に9話、VIPグランプリでは出まくった脳汁が最後で一気に吹っ飛ぶような、気持ちいいほどの下剋上を見せつけてくれた。

フィールドのあちこちでそれぞれの戦いが同時に起きていることがわかる疾走感。
大型AAの大迫力は会場を鮮明に画面の向こう側に映し出す。
各チームの緊迫が伝わる……特にSMTのそれには感情移入を禁じ得ず……。
読み手の感情を煽り高ぶらせるモララーの絶叫。アガっていくBGM。リニアガンの咆哮がクールを……呑み込む!
……気付けば私はSMTの機券を握りしめながら天高く突き上げ、フィールドのTUN-DELL 00に向かって雄叫びを上げてました。頭の中で。
高揚しちゃいますよね。これだけのものを見せられたら。



バトルそのものもそうですが、私が特に気に入ったのはモララーの実況。
>(; ・∀・)「被弾した顔を隠すように……!! 乱れた髪がかかるのを、今、この目で――――――――――!!!」

>(; ・∀・)「コ、コロシアム中にMTKの機券が舞い散る!!! 桜吹雪の如く舞い散るーーーーーーーーーーーーー!!!」

地の文が無い分をこの実況でカバーしていると共に、会場の熱気までもが感じ取れる。
グランプリ戦を描く上でのいい立役者になってましたね~。



それと、VIPグランプリ戦中、ツンがXEA Iのバリアを破った時。
>从;゚∀从「おいおい、マジかよ。ツン凄くねぇか?」

>('、`*川「そう、凄いんだよ。アタシたちは。内藤、もう一発デカイのぶち込んでやんな。これでダウンだ」

ここでペニサスが「凄いんだよ。ツンは。」と言わなかったところに心動かされた。
実際フィールドで戦っているのはツンなのだけど、そのツンにはチーム皆の技術と想いの力が込められていて、
SMTいうチーム皆で戦っているんだという意識に、ちょっと嬉しくなりました。


それから10話、戦闘後、ツンの元に皆が駆け寄った時。
>(´^_ゝ^`)「年甲斐も無く熱くなっちゃったよ」

>ξ゚;;ζ;)ξ「これでSMT無くならない」

>(´^_ゝ^`)「うん……。そうだったね。うん。ありがとう、ツンのお陰だよ」

このデミタスの台詞はキましたね。「そうだったね」って。
SMTの存亡が懸かっていた、なんてそんなこと忘れてしまうくらい、ただ純粋にツンには勝ってほしかったんだなぁ。

ペニサスやデミタスのこの言葉から、もうツンは、おそらくはグランプリが始まる前から、SMTにとって欠けてはならない大切な仲間の一員になっていて、
だからこそこの後メモリを入れ替えるかという話が出た時、内藤の提案に誰一人反対する者はいなかったのでしょうね。




VIPグランプリ戦以外の日常パートも魅せてくれる。
このロボット達には心がある。と、そう思わせられる。
グランプリに出てくる子達もそうだけど、しかし一番それを感じさせてくれたのは内藤の過去話に出てきた、歯車王と原子王。

人の役に立ちたいが、保育ロボットだから人に危害を加えることができないために、それができないというジレンマ。
人を守るためにリミッターを外したのに、そのせいで内藤を傷つけてしまうという、原子王の得た力の矛盾。
不条理に苦しむ2人のロボットの最後は悲劇的と表現するといかんせん美談っぽくなってしまうが、
そこにはどうしても譲れない強く、しかし儚い意志が確かにあり、人間にあるものと同じ「心」を見ることができた。



シュール博士の追想もなかなか……。

>| l| ゚ー゚ノl 「いつも冗談をかましてるフランクなお姉さんな感じで」

>lw;´‐ _‐ノv「なにそれ」 カタカタカタカタ……
>   っ”

>| l| ゚ー゚ノl 「私の理想のお母さんです」

>¥;・∀・¥「お前の理想なんじゃないか」

>| l|*´ー`ノl「いいじゃないですか。私の理想を織り込んだって……。シュールさんには理想でいてもらいたいのです……」 

シュールのおふざけキャラは、ここからきてたんですねぇ。
母親らしいことをキュートに何一つできなかった自責の念からか、クールが誕生してからはもう二度と同じ過ちは繰り返すまいと。
しかし母親らしさとは何なのかが未だ自分一人では分からないために、他人の理想を借りて、演じるしかない……と。

うーん、こう同情心炊き付けられる話が出ちゃうと、まいりますね。
SMTとMTK、どちらを応援したものか……。



なんて考えていると、この2チーム以外のチームにも焦点が当てられましたね。
VIPグランプリに出場したチームの動向はもちろん、新しく出てきたプロチームにもスポットが当てられたせいで、
来るニューソクグランプリでは結局「どこのチームにも頑張ってほしい!」となった読者が多いんじゃないだろうか。


各チームそれぞれ独自の悩みや問題を抱えているんだということが、こう平等に書かれてしまうと親近感が沸いてしまい、
今回はもしかしてあのチームが勝つんじゃないのか?このチームはかなり期待できそうだぞ?と色々予想してしまう。
単純にSMTが勝つように仕組まれた予定調和の物語と思わせない。
正直言うと、私は今回ツンは敗けるだろうなと思っていた。
あんなに熱いチャー娘とシナーの結束力を見せられたら、今回もSMTに全ツッパなんて単純な賭けをするわけにはいかないでしょう。



Cやゴーストなど、魅力的な機体が色々出てきたが、私が一番可能性を感じたのはOMSのBesideMoatxxxx。(//‰ ゚)ですね。
自在に空を飛べて、多彩な武器を隠し持つ高火力アタッカー。
離陸時のあの派手な轟音と排気スモッグ。
いいですね~。大好きですよ~こういうの。
いいところまでいってくれるんじゃないかなーとワクワクしましたね。

あとは、MWのXEAⅡは今回絶対何か強烈なものを引っ提げてくると期待してました。
ここからニューソクグランプリの話になるんですがね、で……、期待して……出てきたのがこのAAですよ。


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マキナXEA



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「かっ……けぇーーー……」って、目ぇ見開きました。
蛹って、そういうことかぁ……。まさか前回よりこんなに姿形を変えてくるとは……。

本馬場入場のBGMまで入れて、わざわざ出場機の入場シーンまで入れてくるあたり力入ってるなぁと思わせる。
試合開始前からテンションの抑制が効かない。



そして試合開始のアラーム。
SMTの速攻と、鬼子の以外な活躍もあってか、相変わらず戦闘シーンは流れるように早いが、バトルの様子はしっかりと伝わる。
目まぐるしく各マシンが一か所へ集っていく混戦模様は各機コンタクトを取る瞬間一つ一つがとても刺激的だった。

そしてそこへXEAⅡが割り込んでくるが、ここでもまた見せてくれる。
砲門開いた時のあのAA。
声出ました。「うおっ……」って。
粒子砲発射のAAも強烈。圧巻でしたね。
期待はしていたがここまでやってくれるとは……。大変満足です。
ああいう形で撃沈してしまったのは少し惜しいが、今まで静寂を保ってきた感情に変化が見られたのは、何か今後に繋がりそうで楽しみ。


(//‰ ゚)もよかった。
あの獲物を横から狙っていく卑怯臭い感じ。たまんねぇです。
感情が無く、完全にフォックスが操縦しているからこその特徴なのか。
是非日本グランプリ戦にも出てきてほしいのだが……順位は7位か。厳しいかな?

ニューソクグランプリでの日本グランプリ出場条件は上位入賞とあるが、これはどこまでの範囲なんだろうか。
人気投票枠の方も気になるところ。




チャー娘覚醒とか、鬼子が5位とか、他にも色々見どころは山ほどあったが、
やはり最後のツンvsヒートは前グランプリから二度目の対面ということもあって盛り上がりも一入。

ヒートのセンサーが二機捉えたところとか、いいですね~……。盛り上がるところをよく押さえてる。
わざわざMTK側に言わせるのがなぁ、熱いんだよなぁ……。


あとはツンが残った左腕を軸に回るところ。
VIPグランプリで黒煙の中を舞い踊ったシーンが思い起こされる。
スペイン語でジョバイロは「私は踊る」という意味だということを聞き、驚愕。
既存のキャラの設定をここまで活かすなんて……、この作品はジョバイロというキャラを完全に自分のものにしたんじゃないだろうか。

>神の手に操られている―――――――!!
!deus ex machina……。ここで思わずスレタイを見返した。



それぞれ抱える負けられない理由によってか、彼女らは戦いの中で進化していく。
ヒートは気持ちの上での変化も見られましたね。何が彼女の手を伸ばしかけたのか……。
押し出しからの全弾ゼロ距離射撃は大迫力。
縦にはそれほど大きくないAAなのに、横幅と射撃音と緊張感とで魅せられた。




そして最後。
ジョバイロ、無事生還しましたね。よかったよかった……。
……が、これはちょっと予想外です。まあーもしかしなくても助からないだろうなと予想していたので……。
短時間で優勝して、なおかつジョバイロのコアの書き換えもさせないという奇跡的な展開を批判するわけじゃないが、
しかしこれは作者のハードルがかなり上がってしまったのではないか。

今回SMTが、ツンが勝ってしまったことにより、もうこの物語は、ツンが三冠を達成し、SMTが伝説を取り戻す話になった。と思う。
いや、1話で「不死鳥は蘇るのだ」と銘打ってる時点で予想はできたことと思うが、しかし今回でそれは少なくない読者が察知したはずだ。


分かりきってる結果を、過程でどう魅せてくれるのか、これが今から楽しみ。
バトル以外にも四方八方に広げた風呂敷をどう畳むのかも見ものですね。


とにもかくにも、勢いが8000を超える異例の盛り上がりを見せた!deus ex machinaを私はこれからも応援します。