【雑記】素直シュールを上手く使いこなすには【考察】

1.はじめに

素直シュールを使うのは難しい。
だいたい、ブーン系を書き始めたばかりの作者は、素直シュールを上手く使いこなせないことが多い。
キャラの特性からか、特にギャグとほのぼのに多く登場する傾向にあるが、
新進気鋭さが垣間見える作品に素直シュールが登場すると、そのせいで失敗している作品が多く見受けられる。
と、私はそんな気がするのだ。

素直シュールは、独特の個性を持ったキャラクターである。
その性質からどうにも使いづらく、故に上級者向けと言われることも少なくない。
ではプロブーン系民しか素直シュールは使いこなせないのか?
実はそんなことはない。

ここではいかにすれば素直シュールを自然な形で作品に登場させ、活かせるか。
それを考察していこうと思う。





2.素直シュールとはどんなキャラクターか?

素直シュールとはどんなキャラなのだろう。
ここで誕生の経緯とか見てみればそれっぽい記事になるのだろうが、今回それは省く。
大事なのは今の素直シュールのキャラ性であり、歴史はさして重要なことではないからだ。
本音を言うと調べるのが面倒だ。

とはいうものの、一応現在の素直シュールの定義については調べておこう。
以下がその結果だ。



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素直シュール

「自分の思ったことを素直に表現するが、いつもシュールである」タイプのキャラクター、あるいはそうした状態・光景をさす。

~中略~

独自性

付加された独特なキャラクター性として、“米好き”であることが挙げられる。
炊飯されたもの=ごはん、という意味だけではなく、米という存在そのものが好きと言う傾向を持つ。

--------------------------------(参考:はてなキーワード)



そもそも「シュール」とは何かという疑問も湧くので、それも調べよう。
いくつか巡ったが、このサイトが一番わかりやすかった。
http://whatimi.blog135.fc2.com/blog-entry-133.html(意味ブロ - ちょっと難しい言葉の意味まとめさん)


元々シュルレアリスムがシュールの語源らしく、日本語訳では「超現実主義」となる。
まあ、そんなややっこしい言葉使われてもどうしようもない。
そこで上記サイトを要約すると、シュールとは、「理解できない」「普通ありえないけどなんか恐い・笑える」という意味になるらしい。

つまり素直シュールとは、「自分の思ったことを素直に表現するが、それは常人には理解しがたいのが常である」キャラクターということになる。
さらに「米好き」であるという独自性を加味して、かいつまんで短くまとめると、つまりこういう結論が出る。



素直シュールとは、

・突拍子もないことを言い出す
・米好きである

この2点が主な個性であるキャラクターだと言える。






3.素直シュールを上手く使いこなせない原因は何か?

結論から言おう。
個性を無理に押し出し過ぎているのだ。
というか、上の2つの個性しか見えていない、と言ったほうが正しいか。
2つの個性を存分に使って、素直シュールを素直シュールらしく使おうとすればするほど、空回りする。

この失敗は日常ほのぼの系に多く見受けられる気がする。
ちょっと例として会話させてみよう。



ミセ*゚ー゚)リ「いやいや、やっぱ大阪名物といったらたこ焼きでしょー?」

从 ゚∀从「ハァ、お前……。何にもわかってないな」

ミセ*゚ー゚)リ「なにぃ……?」

从 ゚∀从「大阪名物といえば!お好み焼きに決まってんだろ!」

(*゚∀゚)「串カツの方が美味いに決まってんだろー!?」

ζ(゚ー゚*ζ「パイン飴もおいしいよー!」

lw´‐ _‐ノv「ちくわ大明神」

从;゚∀从「なんだそりゃ……。せめて食べ物を挙げろよ食べ物を」

lw´‐ _‐ノv「……米」

ミセ;゚ー゚)リ「え?」

lw´‐ _‐ノv「米はいい……。純粋なる白色はまるで何者をも優しく包み込むモナリザの手を連想させる。
そのポテンシャルはどんなおかずと合わせても決して喧嘩せず、素材の良さを極限まで引き出すのだ。
特筆すべきはその栄養素の高さ。他におかずが無くとも生きるためのエネルギーを米だけで十分に取ることができ、さらには」

从;゚∀从「わ、わかった!もう米でいいから、そのへんでストップストォーップ!!!」



どうだろうか、この暴走っぷり。
これではただの空気の読めない痛い子である。


使い慣れていない者が素直シュールを使おうとするとき、どうしても強烈な2大個性が頭から離れない。
だからいざ登場させて何か喋らせようとすると、「何か面白いこと言わせなきゃ……」「とにかく米米言わせなきゃ……」
とそればかりを考えてしまう。
それが上手いこと面白さに繋がれば文句はないのだが、そうでないと、


・米米言ってるだけ→ただそれだけのキャラに終わる。
・突拍子もないこと言う→会話のテンポを悪くする。最悪空気が凍るだけに終わる。

という図式に繋がってしまうのだ。


「2大個性だけが特徴の量産型素直シュール」で終わらせてしまうのが、素直シュールというキャラを上手く使いこなせていない原因だ。






4.個性を取っ払ってみる

2大個性が邪魔するせいでシュールを上手く使えないなら、一旦その個性をなくしてしまおう。
米好きでもない、シュールなことも言わない素直シュールの誕生である。


lw´‐ _‐ノv「こんにちは。素直シュールです。好きな食べ物はいちごのショートケーキです。よろしくお願いします」


……真面目か!!
こんなんシュールじゃねぇ!とあなたも思ったんじゃないでしょうか?
私もそう思います。
こんなシュール出すくらいなら他のキャラを使った方がいいです。


そうなんです。
実はシュールの2大個性は、素直シュールというキャラを作り上げている、重要な要素なんです。
「米好き」「突拍子ないこと言う」この2つの文だけで、AAが無くとも
「あ、その特徴を持ったキャラといえば素直シュールだな」と分かりますよね?
逆になかったら素直シュールだと認識できない。
だから個性を無視するわけにはいかないんです。


もちろん、個性を取っ払っても活躍できるAAはいます。
語尾に「お」を付けない( ^ω^)とか、友達や恋人までいるリア充な('A`)とか、
ツンデレしないξ゚⊿゚)ξとか、モラルもクソもない悪役の( ・∀・)とか。

但しこいつらには個性を取っても活躍できる共通点があります。
それは「メジャーAA」という共通点。
数えきれないほどの多くの作品に登場して色々な設定が付加されるあまり、元の個性が無くなっても違和感のないキャラになってしまったんですね。

その点シュールはマイナーAAであり、だいたいどの作品にも「米好き」や「突拍子ないこと言う」設定はちゃんと守って出てくる。
私たちは2大個性のないシュールを見慣れていないために、ショートケーキ好きで真面目なシュールを不自然に感じてしまうんです。


全く新しいタイプの素直シュールが今後出てくることを否定するわけじゃないが、
やはり2大個性のどちからひとつでも備えたシュールの方が、作品に出てきたとき、読み手は自然に感じるでしょう。
というわけで、この2つの個性を殺さず活かすことが、シュールを使う上で大事なことになっていきます。






5.個性とその特性を活かす

さて、では殺さないでとっておいた個性を活かしたいなと考えたときに、どう活かすことができるか?

正直、さっき即興で会話させたみたいに私が例を書くなんてのはハードル高いので、
今回は既に他の作者さんが作品で描いているシュールを例に挙げていきましょう。
許可無しで作品名を出すことを許してください。
まずはこの作品。


lw´‐ _‐ノvクレヨンシューちゃんのようです(玉兎の夢さん)

ご存知、クレヨンしんちゃんのパロディ作品ですね。
幼稚園児であるシュールの日常が面白おかしく描かれています。
この作品はシュールの個性の活かし方としては王道の方法をとっていると思います。

主人公であるシュールが、とても幼稚園児とは思えない発言や行動で会話を面白く仕立てたり、ちょっと特殊な日常を作り上げています。
シュールがその持前の個性から繰り出す「突拍子もない」発言がもちろん面白さの元になっているんですが、
そのときの周囲の人間の反応がまた面白いんですよね。
シュールのボケにボケで返したり、順応していたり、的確なツッコミを入れていたり……。

要は周りがちゃんと「突拍子もないこと言う」シュールに反応しているんです。
さっき私が書いた大阪名物談議の例のハインみたいに、「ハイハイ、もう米でいいから」なんていうふうにそこで会話をぶった切ってない。
優秀なボケには優秀なツッコミが必要なんです。
お笑いと同じですね。


ここでもうちょっと入り組んだ話をするんですが、シュールの2大個性を活かそうとしたときに、シュールにはある特殊能力が備わります。
それは、「場の支配」。
別にバトル物の設定とかじゃありません。
シュールは発言すると、その場の会話の流れをコントロールすることができるんです。

突拍子もなく変なことを言い出すわけですから、それに周囲のキャラが反応するとなると、必然的に話題がシュールの発言内容のほうに逸れます。
大阪名物談議の例でも、シュールはいきなり米の話をしだしましたよね。
ハインがその米の話題をぶった切らずに、ツッコミを入れるなり自然な会話が続けば、
そこからはあっという間に話の主導権はシュールが握ることになります。

これが強い。
これこそがシュールというキャラの一番おいしいところといっても過言ではないでしょう。
シュールに喋らせる「突拍子のなさ」次第で、そこからの物語の展開を好きなように変えることができるはずです。
ポテンシャルの高さを感じさせますよね。

シュールの「突拍子もないこと言う」個性から、「シュールへの反応」「場の支配」という特性を見出し最大限活かした、お手本のような作品です。



さてお次はこの作品。

lw´‐ _‐ノv注文が多い料理店のようです(mesimarjaさん)

車のセールスをしているが全く売れずに落ち込むブーンが、昼ご飯にと立ち寄った『注文が多い料理店』というお店。
そこではお冷0円、おしぼり0円など、細かいことまでがびっしりとメニューに書かれている、ちょっと不思議な料理店だった……。
お手軽に読めて、ちょっとタメになる面白い短編です。

この作品のシュールはお店共々、ちょっと変わったシュールでしたね。
特別米が好きなわけでもないし、突拍子のないことも言ってない。
ならば何がシュールをシュールたらしめているのかというと、それは「変人」であるという個性でした。

……ただ、よっぽどの変人というわけでもなくて、実際この作品で一番変なのはお店そのものなんですよね。
で、その変なお店で1人店員をやっているから、シュールも変人と言える……。
ちと無理矢理かな?


さて、なぜ「変人」という属性がシュールの個性として違和感がないかというと、そもそもシュールが変人だからですね。
だって突拍子なくいきなり「ちくわ大明神」とか言えちゃう奴を、変人と呼ばず何と呼ぶんです?
そう、基本的にシュールは変人キャラなんです。
ぶっちゃけどんな作品にも変人として出してしまえば、シュールのキャラは立つんです。
「場の支配」だとか「周りのシュールへの反応」だとか、そんな難しいこと考える必要ありません。

もちろんシュールを中編や長編作品にメインキャラとして登場させるのなら、変人以外の設定を付加していかなきゃ成り立たなくなるでしょう。
でもたまーに出てくるだけのサブキャラなら、何も考えずシュールを選択するのもアリだと思います。
なにか一味違うアクセントが欲しいと思ったときは、迷わずシュールを登場させて喋らせてみてください。

この作品も、もしシュールではなく他のメジャーAAが使われていたりしたら、私の目にも止まることはなかったかもしれません。
変なお店の店員として、変人キャラのシュールが使われていたからこそ、印象に残る話になったのかも……。
あとスレタイにlw´‐ _‐ノvが入ってたら単純にちょっと気になりますよね。
スレタイを目立たせるためにシュールを選ぶってのも、戦略的にはアリかもしれませんねぇ。



次。

(´-ω-`) 「また、アキアカネが飛ぶ季節のようですね。義姉さん」(。,,部屋さん)

高校生のショボンが、医者として働いている兄の婚約者シュールに恋をするお話です。

この作品に出てくるシュールはなかり特殊でしたね。
2大個性もなければ変人でもない。
シュールをシュールたらしめている要素といえば……、あえて言えば難しい故事成語なんかを使っているところ、
あとは口調ぐらいでしょうかね。

難しい言葉を多用するシュールというのは、他の作品にもちらほら見かけるシュールですね。
おそらく変人という個性から更に派生して生まれた個性だと思います。
元の2大個性が大分薄まっていますが、口調のも手助けしてギリギリ、素直シュールというキャラを成り立たせているように感じます。

この作品についてはもしかしたら、単に容姿を見てシュールを選んだ可能性もあるかも、と思ったり。
川 ゚ -゚)を使うのはなんかありふれてる感じがするし、(*゚ー゚)を使うと子供っぽくなる……。
じゃあ大人の雰囲気が漂うlw´‐ _‐ノvを使おう。と考えたのかもしれない。
ちと失礼かな。申し訳ない。

でもセリフの前にAAが付くというスタイルの書き方が基本なブーン系においては、そのAAの見た目というのは結構重要な要素を担っているはずだ。
例えば傷だらけの女の子を登場させたいとしたら、そのときは(*゚ー゚)を使うより(#゚;;-゚)を使った方が当然イメージがすんなり入ってくる。
だから奇をてらって、容姿で選んでマイナーAAを登場させるという行為は決して間違っていない。

そういう意味で、ただの年上のお姉さんとして登場したこの作品のシュールは、"全く新しいタイプの素直シュール"の一つの代表的な形ともいえる。



最後に特殊な例。

lw´‐ _‐ノvお米の美味しい炊き方、そしてお米を食べることによるその効果のようです(ブンツンドーさん)

とあるお料理TV番組でしぃちゃんとシュールがお米の炊き方などなどを紹介していくお話。

これはもう素直シュールの「米好き」という個性をそのまま題材にした作品ですね。
講座という形の、一発しか使えないネタなだけに参考になるかは微妙な線だが、
他にもアイデア次第で「米好き」という個性を活かす方法があるかもしれませんね。

ちなみに私の自信作です。読んでね。






6.素直シュールを上手く使いこなすには 総論

素直シュールを上手く使いこなすにはつまり、「2大個性だけが特徴の量産型素直シュール」を作り出さないことが重要だという話に戻る。

ぽっと出てきて「米」とだけ言って去っていく……。
シュールなギャグを言うが周りのキャラは無反応……。
これではせっかくシュールが登場した甲斐がない。
ばかりか、作品の中でシュールだけが浮いてしまい、むしろマイナス効果にすらなってしまう。


これを防ぎ、シュールの登場を作品にとってプラス効果に働かせるには、以下の3つのことを意識することだ。


①『他のキャラがシュールのボケに反応してやること』

何よりこれが一番大事でしょう。
そのボケとツッコミが面白ければ面白いほど、素直シュールが、作品が、魅力あるものになっていくはずです。


②『2大個性や、そこから派生した個性(変人・難しい言葉を使う等)を守り、自然なシュールを使うこと』

ショートケーキ好きで真面目の不自然なシュールを使わない。


③『2大個性以外の設定を付けてやること』

シュールをメインキャラとして出すなら、これも意識したい。
簡単なことだ。
注文が多い料理店のようですならシュールはお店の店員さんである。とかそういう設定だ。

最強の魔法使いであるーとか、実は天才科学者だったのだーとか。
変人という冠を意識した設定ならなおいいですね。
他にも細かい設定を、年齢とか身長とかおっぱいがでかいとか。
作品に昇華できるようなものを、いきあたりばったりでもいいから付けること。





……そうだ。
追記だが、大阪名物談議の例での最後のシュールのセリフ、ありますね?
米のことについてひたすら熱く語る長文のことです。
これ、会話のテンポが一気に崩れるので、できればやらないほうがいいんですよね。
頑張って書いても、そもそも肝心の読者が読むのを面倒臭がります。
長く喋らせるときは、時と場合と内容を考えてからにしましょう。
一応注意書きでした。







以上です。ふう。
そんな感じで語ってきたが、つまり何が言いたかったかというと、
もっとlw´‐ _‐ノvを活躍させようぜ!ということです。

少し長くなったが、さて、この記事を最後まで読んだ暇人が果たしてどれだけいるのか……。