【感想】( ^ω^)贄の涙のようです




( ^ω^)贄の涙のようです
ブーン系小説創作板(ファイナル) ( ^ω^)文戟のブーンのようですスレより




>( ;ω;)「このっ!このっ!このっ!馬鹿野郎っ! 」

馬鹿野郎って言葉のチョイスが良かった。このシーンは迫真だと思う。
遣る瀬無い思いと自分を罵る適当な言葉に詰まってそれしか出てこない気持ち、よく分かる。


「踊る」この言葉チョイスも良い。
理解できない、意味が分からないと言う。
しかし「でもこれは、これじゃあまるで───……」の一文から行為自体は理解している。
その理解を認めたくないからこそ許容できる範囲の言葉でしか表現したくない、という感情が見える。これが良い。


>退いた人影が横を向いた。僕の父親だった。さっき別れた父さんだった。父さんも裸だった。

この文も良かったと思う。
目の前の状況が飲み込めない、なんで?どうして?が延々と反芻する。
遅延する脳みそは情報を一つ一つ確定させながら吐き出すことしかできない。
それがこの重複に表れていると感じた。
「踊る」も合わせて、認めたくない現実を思考の遅延によってほんの僅かでも先延ばしにしたいという悪あがきが、
幼さに見合わない絶望の色をより黒くさせる、とても出来た演出だと感じた。


描写被りが散見されるが、演出の如何によって見方が違ってくる良い作品だ。
ただ説明しすぎ、もしくは説明が丁寧すぎるが故にクドくなっている箇所が出ているのが惜しいところ。


この作品は読んだ後の読者に何を考えさせるかってのが肝だと思う。
今回のお題は「悪人」だったわけだが。
誰が悪人かってのは人それぞれ違うよね、っていう着地を語らせるには何かこう……フワフワしてる。

ブーンのやった殺人が悪っていうのなら、ツンが目玉を潰したのも悪になるし、
しかしそれを大人たちがツンにした悪と並べるのはフェアじゃない気がする……。

三人とも自分のエゴを通しただけって見方だと今度は悪とは何か?って感じになっちゃう……。
そして悪とは何か?を語らせるにはこの着地の仕方ではちょっと無理がある。

そもそも「悪人」の括りにツンを含むことを想定しているのか?
含んでいるのだとしたら、ツンの悪人要素が弱すぎると感じるし、
含んでいないなら、下手したら喧嘩両成敗で片付いてしまう話になっちゃう。

投げかけられた問いかけに、答える以前に考える事柄に悩んでしまうことになってしまったのが悔しい。