【感想】ζ(゚ー゚*ζ人魚がいた岬のようです( ^ω^)





ζ(゚ー゚*ζ人魚がいた岬のようです( ^ω^)
ブーン系小説創作板(ファイナル) ( ^ω^)文戟のブーンのようですスレより





>顔を上げた女の髪が、太陽の光を反射してきらきらと輝く海のようにきらめいた。
>男が無類の金持ちであったならば、
>彼女の髪に高い札束の山を作ったことだろう。


男が金を持っていればそうしていた、という描写に違和感。
感情を失ってしまったこの男が人魚を買うことはないだろう。


>( ^ω^)「人魚は美しかったお。
>      絵本で描かれていた通りの美しさは、
>      きっと人によっては全財産をつぎ込んでも隣に置きたいと思わせるものだったお」


後のこの台詞に説得力を持たせるための比喩だったのだろうがこじつけた感が否めない。




「海」という単語がお題だったせいか、そのままこの単語を多用しすぎているきらいがある。
もう少し他に変換する余地があったのではないかなと思います。




人魚の話が出た後、黒いチョーカーが彼女に装着させられている描写が改めて出たときに彼女は人魚なのでは?と気づいた。
その瞬間、彼女が男の元を去るときどこへ帰るのかの描写がされてなかったこと、
食べ物について男が描いた絵が生身の魚の絵だったこと、
男のもとに話しをしに来る以外の時間は泳いだり、遊んだりしていること等が一斉にフラッシュバックして、推理小説の謎が一挙に解けたような爽快感があった。


彼女は何者か?というこの短編一番の謎に対して、本作は線グラフがゆるやかにカーブし下降していくように回答が提示されていく。
もっと早く真相に辿り着けた読者に対してもそこで飽きさせることはなく、男の純粋なしゃべり口からなる告白は扇情的で、同情を誘って最後まで読ませる。
真相がなるべく最後までばれないように、かつ必要なシーンを最大限描き切る、相当気を使って書き上げたものではないかと推測します。

終盤下手に謎を有耶無耶にすることもなく、かといって「そう、彼女は人魚なのだ」なんてはっきりと明示するような野暮な書き方はせず、
「真珠の涙」や「桃色の鱗をまとった尾」と間接的にそれと解るファクターで締めくくったのが良く、
それら温かみのある単語が悲劇の物語に彩りをもたらしてくれる。


「人間」と「人魚」、「過去に持っていたが失った者」と「失ったがこれから取り戻していく者」という対比が、
しかし大人の人間と遜色なくコミュニケーションをとれる人魚は根底は人間と変わりなく、これが人間対人間という図式にも容易に当てはまるものであることを強調させる。
友達と楽しく過ごす時間は取り戻したものの、歌うことはまだできない、人魚の「歌」という大切な要素を人間の「感情」との引き合いに出してきたのが素晴らしい点でした。


推理要素と軸のあるしっかりとしたテーマ、両方読ませにくるとても良い作品。面白かったです。