【感想】大ブン動会(第2回紅白)作品【批評】(沼男・ルサンチ・クック・妙・痴漢)


紅白、大いに盛り上がりましたね。
祭り期間中に作品をほとんど読めなかった私は投票することもできず、後の祭りを一人楽しんでいる最中です。
リアルでも化石だなんだと持て囃された3Gのスマートフォンを最近ようやく4Gに変え、数年前の「おー!はえー!」に
今更喜んでいる、なんでも乗り遅れる宿命にあるみたいです。

余談ですがOS変えたことで2chmateが使えなくなり、仕方なくBB2CをDLしたところこれが非常に使いづらい。
androidからiOSに乗り換えする際は皆さん気を付けましょう。


ほとぼりも冷めた頃合いだろうということで、今回はちょいと辛口の感想を書いていきます。
できれば一回に留まらずいくつか紅白作品の感想を書いていきたいので、ほとんど手をつけていない私に
おすすめの作品を、または感想を読みたい作品を教えてくだされば、次の感想も書きやすくなります。
よろしくお願いします。



<以下、ネタバレ、辛めの感想注意>








沼男はいないようです

面白かったです。
私はスワンプマンの思考実験そのものを知らなかったので、内容も新鮮で興味深かったです。

なかなかえぐいテーマでしたね。
恋人がすでにニセモノである、という状態からスタートとは……、自分だったらどうするか、どう考えるか、なんとも言えないところです。
形はどうあれ、自分なりの結論を出せる3人はすごいですね。

そう、沼男は被験者3人の思考の書き分けが上手かった。
物語に作者の意見が介入せず、公平な立場から三者三様を書いてくれたおかげで、読後もどれかの意見を贔屓することを許さず、
「君たちは、ニセモノを許すことが出来るか?」という読者に対する問いかけが成功していると思います。
なんだか作者がゲームマスターに見えてきて、やられたなぁって気分。

猫田はだいぶ極端な思考をしてましたけど、実際ああなる人もいそうですよね。
私としてもスワンプマンを構成するための分子に見ず知らずの死体が使われていると聞いたら少なからず抵抗感があります。
スワンプマンが生理的に受け付けられないという思考はそういう要因もあったからこそだと思うので、猫田の考え方だって丸々否定できたもんじゃありませんね。


ストーリーは内藤の話が特によかったです。
最後の言葉にツンへの愛の告白を選んだのは、オリジナルの自分への別れの意味も含んでるんですよね……。
確信をもって自分が自分であると信じられるうちに言える最後のチャンスですから。
オリジナルもスワンプマンも同じ自分であると決めつけつつも、ここに若干の不安が見えるんですね。

それでも「さよなら」ではなく"しばらく、おやすみ。僕。"と言える、自分との再会を信じられる意志の強さも見られるんです。
ここに普段なかなか言葉に表せない人間の性質みたいなものが的確に書き出されていて、なんとも素晴らしいラストだった。
単純に題材だけで勝負していないのがわかります。


他に勝負してきたところ、というか、これは作者がやりたかっただけと思うんですが、食事描写ですね。
これは正直いらなかったですね。
内藤のケースを読み終わった時点で「あ、この食事描写は本筋にあまり関係ないんだな」と知ってしまうと、
猫田と茂羅のそれはちょっと読むのが苦痛でした。
どうせやるならケースごとに工夫を入れてほしかったです。

猫田のシチューなんかは極端に描写を省いてよかったかもしれません。
そこで猫田の心情を表したり、はっきり食べ物が見えている内藤との対比になったり、使い方があったと思います。


世界観については、なにぶん未来が舞台なので、あまり引っかからずに読めました。
無理だろって思っても気にしたら負けですね。そもそも、そんなことどうでもよくなるくらい内容がよかった。


オチもよかったです。二段構えだったとは、やられました。
猫田なんかもうこの後自殺するんじゃないかと不安になりますけど。
荒巻が最後に3人に向けて『スワンプマン諸君』と卑下たように投げかけたのも気になります。
もちろん事実を突きつけるためでもあるんでしょうが、もしかして他の目的があるんじゃないか……。
自分だけを残して世界中の人間をスワンプマンに変えることが新の目的だったり……?とか、勘ぐってみたり。







哲学科生のルサンチマンのようです

やはり哲学というとブーン系ではあまり見られないジャンルなので、タイトルで食いつきました。

中盤までは面白かったです。
哲学者、哲学的思想の紹介としては大変わかりやすく、実践哲学をズバズバと当てていくハインの名探偵っぷりに推理小説の爽快感を味わえます。
しかし物語としては、デミタスとの答え合わせで急に萎んでしまった感じがあります。


ハインが学ぶべき哲学とは?何故彼女は猫の被り物をしているのか?病院で起こった事の真相とは?
これだけの謎があったのに、ハインが教授と対面しているそのときに、
全部を自分自身で気付く、思い出すことによって解決してしまったからでしょうか。

思うに、スパンが短すぎた。
主人公が大きな謎を解くための苦悩や葛藤が省略されている、あるいは描写不足だった、と思います。

さらに、主人公が明確な答えを持っていないところに味があったのに、結局最後にはすっぽり既存の答えに当てはまってしまったのが逆にしっくりこない。
一貫して心優しい生真面目な性格であり、しかも女キャラで使われることの多いハインを男として使ったことも相まって、かなり浮世離れした主人公に見えた、
その点も最後まで拾われる事無く終わってしまったのも拍子抜けしてしまった。
なぜ人間味がない人物になってしまったのか、そこにも物語がほしかったです。
全体通して物語性が薄いように感じてしまったので、すごく惜しい作品でした。


他にこれはちょっと細かいんですが……、
猫のかぶりものといって急にロマネスクのAAが出てきたところに戸惑ってしまいました。
確かに猫として使うに自然なAAは( ФωФ)だと思うんですが、耳まで付けてくれたほうがすんなり理解できたかなと思います。


タイトルでは「哲学科生"の"ルサンチマン」となっているが、
物語の中で触れられたルサンチマンというワードは彼女がハインに対するものでした。
故にタイトルにするなら「哲学科生に対するルサンチマン」になる。ゴロが悪いですけどね。
だからタイトルの通りこの作品を解釈すると、やはりハインも彼女に対してルサンチマンを抱いているのではないかなと、勘ぐりたくなりますね。

ニーチェによれば……、というかwikipediaによれば、ルサンチマンを持つ人とは
「本来の『反動』、すなわち行動によって反応することが禁じられているので、単なる想像上の復讐によってその埋め合わせをつけるような徒輩」である。
とあります。
ハインは行動を制限されていて、想像上の復讐を行っている。


死んだ(生死不明な)彼女にはもはや何も言い返すことができない(行動の制限)。
故に彼女は絶対的な強者であり、ハインは弱者である。

ハインは贖罪として哲学を学び続ける使命を自分に課しているが、これがもし絶対的強者である彼女に対する反抗であるとしたら?
つまり、彼女ができなかった、羨ましがった学ぶという行為を、自分がし続けることで彼女に対する嫌がらせ、復讐になる。

その黒い本心を自ら毒杯を飲むなどとという言葉に隠すことで、自己を正当化しようとしているのではないか。

ハインに呪いをかけた彼女を実は内心恨んでいるとしたら、
学び続けるとここそが反抗であり、それこそがハインのルサンチマンからくる行動である、のではないか……。

この呪いという意味で彼女のAAに貞子を当てたのだとしたらグッジョブですね。
『ルサンチマンを抱きながら死んでいくのよ』……読んでてゾクゾクッときました。このセリフは素晴らしかったです。



>彼女は永遠に、僕の中で生きていられるのだから。


この文も、
生きていてほしい→責任の回避→自己の正当化 に繋がる気がします。
彼女から逃げない代わりに責任から逃れているんですね。

こう考えると、優等生キャラのハインの像が途端に崩れていって、人間らしい暗い本性が見え隠れする……。
狙ってやったのなら、なぜ人間味がない人物になってしまったのか?という物語まで書かなかったのは、あるいは成功していると思います。







大ピンチ!!ツンちゃんがイャンクックに狙われているようです!!

ツンちゃんかわいいです!!!!!
良くも悪くも、それ以上も以下もなく……な作品でした。

ξ゚Δ゚)ξこの間抜け面がとてもよいですね。
この口の形がここまで生きるのはこういうジャンルだからこそ、なのかもしれません。
そして簡素ながらも表現豊かなツンのAA。
特に着地に

⊂ξ゚⊿゚)ξシュタッ
     ∪

と、このAAを持ってきたのが個人的にめっちゃ好きです。
そう、AAもそうなんですが、着地シーンにわざわざAAを配置する、という間の取り方が上手い。
他にもAAを配置することによって効果的に魅せられるタイミングをばっちり押さえている箇所がとても多い。
その点、上手い作品だったと思います。

ただ、空白レスでの間の取り方は、これはちょっとやりすぎでした。
爆発オチになるか?な展開のところですね。
勢いで読ませる作品のはずが、ここで失速してしまった。

キジバトなどのネタも狙いすぎた感があります。
メタネタということで作品のジャンル的には合っているんですが、作品にまで他所のネタを波及させるのは、かなり好みの別れるところだと思います。
好きな人は好きだと思うんですが……。

一回読むだけで満足してしまえる作品に終わってしまったのが非常にもったいないところです。









これはもう感覚で読むしかないですね。
ヒントがあまりにも少なさすぎる。

気になった点を挙げるとすれば、"オレンジ色の飲み水"というワードでしょうか。
これ、缶がオレンジ色なんじゃなくて、水自体がオレンジ色なんですね。
で、気になって試しにオレンジ色を反転させてみたら水色になったんですね。
つまり……ブーンのいる世界というか空間は全て真逆になっているのでは……?

と、穿った見方をしてみるものの、6時30分の真逆の12時ジャストにどんな意味があるのか、謎はさらに深い謎に変化するばかりで……。

仕事に行くのに「彼は、階段を駆け上がっていった。」もこれまた妙です。
真逆に捉えてもううん……という具合で、考えれば考えるほどわかりません。

でも、こういう考察ができる作品はとてもいいですね。
私好みの作品です。







('A`)痴漢探偵ドクオのようです!!!!!!

タイトルでもう元気が良すぎる。
元気で全てもっていった作品ですね、これは……。


('∀`)「わかんないのか!!!!」

ミセ;゚ー゚)リ「……うん……」

('∀`)「わからないそうだぞ!! 君たち!!!」


ここでちょっとドクオの可愛さが見えますよね。
いや、42歳のおっさんなんですが。
しかし、


('∀`)ニヤァ

('∀`)「聞いたかみんな!!! こいつにも動機はある!!!!」


ここで「こ、こいつ……!」ってなりました。
憎いんだけど憎みきれない、そういう絶妙なキャラ付けがとてもよかったです。
つっこみ3人の息の合い方も面白さに一役買ってる。

この(´・_ゝ・`)( ・∀・)(´・ω・`)というつっこみ役は、それぞれ別人物ですから当然別々のAAが割り振られていますが、
しかしお話的には3人でひとつのキャラクターとしてまとめて扱われている気がします。

実際には5人ですが、お話としての登場人物はドクオ、ミセリ、つっこみ役、の計3名となっているんです。
あえてつっこみ役それぞれに個性を持たせないことで、情報を混雑させず、スッキリとした作品に仕上げている。
爆発オチに爽快感すら感じられる読みやすさがありました。

この作品にはもうもろ手を挙げてまいったです。
素晴らしいクソスレをありがとう。