▼・ェ・▼その男、所詮、『犬』のようです。 第1話 猫 前編







第1話、参考BGM

・参考BGM『蜉蝣 所詮、自分は犬であります』

・参考作品 『クリミナルマインド』






2 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:18:24 ID:08y/UjkQ0



運命なんかに興味は無いのさ




冷たい視線がたまらないぜ



Baby……



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3 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:19:23 ID:08y/UjkQ0
耳に突き刺さるようなガラスが割れる音が室内に響いた。


从#゚∀从「まだキチガイ野郎はつかまんねーのか!!」

(;‘_L’)「方々探し回っているのですが……目撃者すら見当たらず」

从#゚Д从「Fuck!! これじゃ商売あがったりだ!!」


革製の高級ソファーにふんぞり返るように座る赤髪の女は、不機嫌になるとやたらめったらグラスを壁に投げ付ける、はた迷惑な癖がある。
彼女の側近にあたる妙齢の男、フィレンクトが散らかったガラス片の後始末をした回数は月に10や20ほどでまだ数えられるほどだった。

だが、それが今月に入った途端にすでに100個近いグラスが音をたて、彼女の八つ当たりによって破壊されている。
つまりそれほどに彼女の機嫌が宜しくないと言うことは嫌でも分かるだろう。

冷や汗をかきながら上司の機嫌を伺うフィレンクトを睨み付けながら女は大声で彼を怒鳴り散らした。

4 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:20:12 ID:08y/UjkQ0
从#゚∀从「テメーのチンコ弄るだけじゃ物足りなくなったホモの変態か!? それともファッキンニダーのモンキー共が戦争おっ始めようってか!?」


大声をあげながらメーカーズマークを瓶ごと喉に流し込む女の髪は、左目が隠れるほどに伸びている。
酒瓶をかっくらう度に不規則に揺れ動く炎のようなその髪の影からは、側頭部の(もはやスキンヘッドに限り無く近い)刈り上げが見え隠れしている。
ややつり目がちな大きな瞳に高い鼻筋。
透き通った白い肌に桜色の唇。
そんな端正な顔立ちを、あえて破壊するかのように顔中に散りばめられた無数のシルバーのピアスが彼女が喉をならす度にほんの少しだけ揺れ、キラリと光を放つ。

身長175センチ、体重65キロ。
好きなものは自身の名と同じ銘柄のレッドトップのメロウなバーボン、それからドラッグをキメた激しいセックス。
そこらの男なんか比べ物にならない程、ダブルのライダースジャケットとバーボンが似合う彼女こそが、ここソウサクシティの東側を牛耳るギャンググループ『クリムゾンヘッド』のリーダー、『MM(メーカーズマーク)・ハインリッヒ』なのだ。

5 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:21:06 ID:08y/UjkQ0
(;‘_L’)「恐らくニダー達は無関係でしょう。やつらは確かにうちの縄張りを狙ってはいるでしょうが……」

从#゚Д从「Fuck!! んなもん言われなくても分かってんだよインテリ気取りの種無し木偶の坊が!!」

(;‘_L’)「ひぃっ!」

ハインリッヒは怒りの形相でついに空になった酒瓶ごと壁に投げ付けた。
まさに怒髪天を貫くという表現がピッタリと当てはまる彼女の怒りの原因はハッキリとしている。
それは彼女の縄張りで最近発生した、まさにイカれた連続殺人事件だ。



从#゚∀从「アイツらがウチの商売邪魔したいんだったら『客』じゃなく『女』をバラす筈だ。つーことはキチガイ野郎はギャングとは無関係のマザーファッカー野郎ってことだ!」


ハインリッヒ率いるギャングの収入源のルートは数種類ある。
その内のメインルートの1つが飼い慣らしている娼婦達を使った『売春』である。

6 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:22:40 ID:08y/UjkQ0
ここ、ソウサクシティでは彼女のグループが所持している娼婦の評判はかなりのものであり、その収入も大きい。
だからこそ彼女にとっては最大のパイプなのだが、ここ最近になりその客足がどんどんと遠退いているのだ。



(;‘_L’)「しかし、一体なぜ娼婦を買いにくる男だけを殺すのでしょうか? しかもよりによって……その……」

从#゚∀从「いい年こいて口ごもってんじゃねーよ種無し!! キチガイがチンコちょん切る理由なんか俺が知るわけねーだろうが!!」


娼婦を買いにくる男だけを狙った連続殺人。
皆首を鋭利な刃物で切り裂かれており、しかも男性器まで切り取られ、持ち去られているという異常犯罪。
それこそがハインリッヒの怒りの原因であり、彼女の収入のメインルートの安定が危うくなっている最大の理由でもあった。

7 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:23:53 ID:08y/UjkQ0
从#-∀从「しっかしそろそろ本腰入れてぶち殺しにかからねーとヤバイ。このまま『あがり』が少なくなると武器の確保も難しくなっちまう」

(;‘_L’)「比較的大人しいニダーチームはともかく、最近はチャイニーズ共が燻りを見せているようで」

从#゚Д从「Fuck!! 調子乗りやがって!! コリアンとチャイニーズで仲良くケツ掘りあってろっつうんだ!!」


ソウサクシティを根城にするギャング組織はハインリッヒ達だけでは無い。

西側を支配するニダーという韓国人が率いる『イエローモンキー』。
南側にじわじわと勢力を広げ始めるチャイニーズマフィアの『ドラゴン』。
北側を支配し、主にドラッグの売買で勢力を急激に広げたフォックス率いる新生チームの『ナインテール』。

8 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:24:52 ID:08y/UjkQ0
その他にも大小あれど約10以上のグループがこのソウサクシティに根付き、隙あれば隣人共を食い殺そうとしている。
比較的、若いグループであるハインリッヒ率いる『クリムゾンヘッド』は他のチームからすれば疎まれる存在であり、まさに一寸の油断すら許されぬ状況なのだ。


从#゚∀从「おい! チンピラでも退役軍人でもシリアルキラーでもホームレスでも何でもいい!! とにかく頭数揃えてキチガイ野郎を見つけ出せ!! それからそいつのチンコをもいでテメーのアナルに突っ込んでやりな!!」

(;‘_L’)「かっ……かしこまりました」

从#゚Д从「分かったんならとっとと失せやがれ種無し野郎がああああぁぁぁ!!」


ハインリッヒの怒声に慌てた表情で悲鳴のように失礼しました!と声をあげながらフィレンクトは去っていった。
そんな彼を睨むように見送ると、デスクに置いてあった2本目のメーカーズマークのレッドトップをこじ開け、ハインリッヒは忌々しいように小さく舌打ちをした。

9 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:26:43 ID:08y/UjkQ0
从#゚∀从「ニダーのファッキン野郎共は精鋭揃いだ。この期に乗じてカマ掘られたらたまったもんじゃねえ。あっという間だ。5分もしねーうちに俺達はイッちまう」


この連続殺人は他のチームからすればまさにチャンスだろう。
チームの頭である自分の目がこの殺人事件に釘付けになっている間は、どう足掻いても隙だらけになってしまう。

むざむざと無防備な横っ腹を他のチーム共に晒す状態になる訳だと考えると、あまりこの件にかかりっぱなしにもなれない。
早急に解決せねば、あっという間にチームもろとも食われる事になるのは間違いない。


从#-∀从「この件を片したらウチのチームも戦力補強しねーと不味いな……種無し木偶の坊が、ちったあ骨のあるやつ連れてきてくれりゃあいいんだけどな」

从#゚Д从「ああ糞が! イラついてきやがった!! Fuck!! Fuck!!FuckFuckFuckFuckFuck!!!」


イラついた表情で頭をかきむしると、やがて八つ当たりするかのようにバーボンを喉に流し込む。
彼女の部屋から再びガラスが割れる音が響き、下品な怒声が漏れ出すまでに、そう時間はかからなかった。

11 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:34:34 ID:08y/UjkQ0







     第1話  猫







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12 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:35:52 ID:08y/UjkQ0
満月の夜だった。


荒廃した薄汚い路地裏。辺りはどぶねずみが駆け回り、あちらこちらにごみが散らかり、寒空の空気に乗って腐敗臭が流れ込む。
そんなスラムの夜の町に1組の男女が絡み合っていた。


( ・3・)「おいおい。客はこっちだぜ? もう待ちきれねーのか? このビッチが」

(*゚∀゚)「早く出してよ。もう」


男のは30代ほど。下っ腹が突き出たくたびれサラリーマンといったとこだろうか。
スーツはよれてシワだらけ。頭は月光を反射するくらいにハゲており、女には縁がなさそうな見た目だった。

13 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:36:55 ID:08y/UjkQ0
対する女は真っ赤なドレスに身をつつみ、白いファーを首から垂らした派手な出で立ちだった。
愛らしい顔に似合わぬキツメの化粧、それから鼻を刺す香水の匂い。
どこからどう見ても立派な娼婦だった。
それも、かなりの上玉の。


( ・3・)「外でヤるのなんかごめんだぜ? コテージでもホテルでもいいからゆっくり楽しもうぜ?」

(*゚∀゚)「お金なんかいらないから、今ここで、口に頂戴」

そう言うやいなや女は男の前にしゃがみこみ、流れるような動作で男のパンツのチャックを下ろし、男性器を露出させた。
そして何か愛おしいものを愛でるかのように両手で優しく弄んだ後に躊躇うことなく、そのぷっくりとした唇を開き、口いっぱいに男の浅黒いぺニスを頬張った。

14 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:38:35 ID:08y/UjkQ0
(* -3-)「……おぉ……!」


男は女の絶妙な口淫の刺激に感嘆の声を漏らした。
女の口は見た目どおり小さく、ぺニス全体をきゅうきゅうと絞るかのようにまとわりつく。
その中ではまるで幼子がキャンディを味わうかのようにねっとりとした熱い愛撫が行われている。
まさに極上のフェラチオだった。


(* ・3・)「……流石は『クリムゾンヘッド』の娼婦だな。出来損ないの黄色人種が飼い慣らしてるブス共とは比べ物にならねーテクだ」


天にも昇るような快感に男が小さく溜め息を吐くと同時に、女はチュポンという音をたて口からぺニスを抜き出した。

15 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:40:02 ID:08y/UjkQ0
堂々と隆起した男のぺニスは存外、彼の情けないルックスからは想像出来ない程に立派な物で、大きさも固さも申し分無いものだった。
おっきくなったね。とウットリとした笑みを浮かべる女の表情はすっかりと蕩け、唇から漏れ出す唾液が月明かりに照らされなんともエロティックなコントラストを演出していた。


(* ・3・)「どうだ? 俺のはなかなか凄いだろ?」

(*゚∀゚)「うん。とっても大きくてとっても固くて」


ニヤニヤと自分を見下ろす男の表情に気づくことすら無く、女は男のぺニスを右手で添えるように支え、滴のようになったカウパーを小鳥が啄むようにキスをして味わう。
そして舌舐めずりすると今日一番の笑顔を男に見せ……



(* -∀-)「それに、とっても……」

16 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:41:50 ID:08y/UjkQ0







(* ∀ )「―――オイシソウ―――」







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17 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:42:44 ID:08y/UjkQ0







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18 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:43:53 ID:08y/UjkQ0
突然だが、ここ、ソウサクシティには酒場が多い。


いわゆる社会のクズだとか、吹きだまりだとか言われるアウトローな連中が数多く住むこの町の人間にとって、切っても切り離せないものは3つある。

酒とクスリとセックスだ。

なので必然的に酒場と娼館が多くなる。

おまけに酒場ではドラッグの売買もほとんどが黙認されており、数多くのギャング達の情報交換としても利用されている。
以上の理由から必然的にソウサクシティには酒場が多いのだ。
そして、大体はどこの店も繁盛する。


つまり、ここ『BAR Bloody Mary』も例外無く繁盛している訳である。

19 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:44:33 ID:08y/UjkQ0
( ^Д^)「『クリムゾンヘッド』が兵隊集めてるって聞いたか?」

(’e’)「赤毛のハインリッヒが絞めてるチームだっけか? ついにニダー達と戦争か?」

( ^Д^)「ちげーよ。噂の『チンコ狩り』の犯人を見付けるためだそうだ」

(;’e’)「うへえっ……あのキチガイ野郎のニュースは聞きたくねーぜ。股間がヒュウって縮んじまう」


武骨なコンクリートが剥き出しになった店内は、店の外にある粗末な看板と、かろうじて主張しているバーカウンターがなければ酒場とは分からない程に殺風景で、見るからにガラの悪い連中でガヤガヤと埋め尽くされている。

恰幅のいいボロボロのデニムジャケットを羽織った店主らしき男は、スキットル片手に注文そっちのけで店の上部に接地してあるボロいテレビ画面にかぶり付き。
やけに露出度の高い真っ赤な水着のような格好のウェイトレスは、その可愛いヒップを鷲掴みにしようとする酔っ払いどもに大声をあげ口論している。

20 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:45:13 ID:08y/UjkQ0
あちらこちらでドラッグやら武器の売買が行われている賑やかな(と言う言葉で片付けるには少々暴力的な)店の片隅で、2人の若者がビール片手にある噂について話をしていた。

最近ここらで発生し、ギャンググループのリーダーであるハインリッヒを悩ませる、あの異常な連続殺人についてだ。



(’e’)「もう、20人は死んでるからな。ハインリッヒも商売上がったりで相当トサカにきてるんだろ」

( ^Д^)「30だよ、30。昨日の晩、30人目がヤられたってよ」


キャップを被った若者、プギャーはそう言いながらビールをグイッと飲み干した。
特定のグループに所属していない彼はいわゆるチンピラと呼ばれる人種で、ろくに学校にも通わず酒とクスリに手を出し、隙あらばどこかのグループに自分を売り込んでやろうと野心を抱く、ある意味ソウサクシティの若者の典型のようなキャラクターだった。

21 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:48:22 ID:08y/UjkQ0
ここ、Bloody Maryはどのギャンググループの縄張りにも重ならない、いわゆる安全地帯であり、彼のような若者達はここでさまざまな情報を手に入れるのだ。


(’e’)「確かにな。あそこの女は粒ぞろいなんだけどよ、チンコちょん切る変態がどこかに潜んでるって考えりゃ行きたくもなくなるよな」

( ^Д^)「だからよ、もうしょんべん臭いガキから死にかけのジジイまで集めてキチガイ野郎を追い込む腹積もりらしいぜ。相当、金もいいらしい」

(’e’)「この腐ったスラムで金ちらつかせばどんなやつだって飛びつくだろうしな。チンコ狩りの野郎もそろそろお仕舞いだろうな」


違いない。そう言いながらプギャーがツレの男と笑いあっている時、喧騒にまみれた店内にカランとベルが鳴る音がした。

22 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:49:42 ID:08y/UjkQ0
(   )「……」


入口に立っていたのはフードをすっぽりと被り、顔をしっかりと隠した男だった。
その奇抜な出で立ちを見るや、煩いぐらいに賑わっていた店内は一瞬で静まり返り、テレビが吐き出す野球中継の音声と、換気扇のノイズだけが静寂に響いていた。

店主も、客も、ウェイトレスも。皆、静まり返って男を冷めた目で見ている。
余所者を、まるで排除するかのような目付きで。


(   )「……」


そんなアウェイな状況を知らんぷりするかのよう、男はゆっくりとカウンターに歩を進める。
やがて店主の前に立ち、蚊の鳴くような声で一言呟いた。

23 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:51:19 ID:08y/UjkQ0
(   )「……ホットミルクを」

(゜3゜)「はあ?」

(   )「ミルクを下さい。人肌くらいに温まった、ホットミルクを」


明らかに場違いな注文をする男に店主の顔はイラだちを浮かべ、次第に周りの客も空気の読めないフードの男を取り囲むような状態になっていった。

やがてその中の2人、ついさっきまでビール片手に談笑していたプギャーとツレであるセントジョーンズが挑発するようなそぶりで男に声をかけた。


( ^Д^)「よお、余所もんのクソガキちゃんよお? ここはジュニアスクールじゃねえんだぜ?」

(’e’)「テメェみたいな酒も飲めないガキが居たら目障りなんだよ」

24 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:52:16 ID:08y/UjkQ0
ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら絡みだす2人だったが、とうのフードの男はそんな2人に顔を向ける事なく、ただだんまりを決め込み、店主の方を向いているだけだった。

そんな男の態度に気分を害したセントジョーンズは舌打ちをしながら男の肩を掴み、フードに手をかけ怒鳴り散らした。


(#’e’)「聴いてんのかよ!!」


そして、乱暴な手つきで男のフードを剥ぎ取った。


(’e’)「はっ?」

25 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:53:32 ID:08y/UjkQ0

▼・ェ・▼


犬。


▼・ェ・▼


犬だった。


フードの下に隠れていたのは青白い細身の身体、そして口元から上をすっぽりと隠すように、『犬の被り物をした』奇妙な男の姿だった。


一瞬、時が止まる。

そして数秒の間を置き、店が割れんばかりの男達の下品な爆笑が店内をつつんだ。

26 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:54:29 ID:08y/UjkQ0
(*’e’)「なんだテメェ!? ジャパンで流行りの『コスプレ』ってやつか!?」

(* ^Д^)「気色悪い犬の被り物なんてまさにキチガイ野郎だな!? 噂のチンコ狩りのホモ野郎なんじゃねえのか!?」


それでも肝心の犬男は特に気にする様子も見せず、ボーッと立ちすくむだけだった。
被り物越しなのでセントジョーンズからすると男の表情は読み取れなかったが、それでもなんとなく自分達達のことなど鼻から視界に入れてないような素振りに感じられ、ヘラヘラと笑っていた顔を曇らせ、男にくってかかった。


(#’e’)「おいコラ。無視してんじゃねーぞ変態野郎が」


そう言って男の胸ぐらを掴みあげ、睨みをきかせた。

27 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:55:12 ID:08y/UjkQ0







―――その瞬間、セントジョーンズの右手から鮮血が吹き出した。







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28 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:56:25 ID:08y/UjkQ0
(; e )「っあああああぁぁぁぁ!!?」

(;^Д^)「!?」


出血する右手を抑えながら叫びをあげるするセントジョーンズの表情は真っ青でガタガタと震えていた。

周囲の客も、そのあまりにも素早く、あまりにも異常な男の行動に悲鳴をあげ、後ずさっている。

一瞬で自分の胸ぐらをを掴んでいた右手を捻りあげ、そしてその隙をついてセントジョーンズの右手に口つけたかと思うと……


(;^Д^)「こいつ!? 指を食いちぎりやがったのか!?」


あっという間に顎の力だけで引き抜いてみせたのだ。
まさに、獣のように。まさに野良犬のように。

29 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:58:03 ID:08y/UjkQ0
▼・ェ・▼「……グチュ……グチュ……」


犬の男はモシャモシャと指を咀嚼する素振りをみせ、やがて血塗れの指をわざとらしい動作で吐き出してみせた。
コロコロと転がる曲がった人指し指が、元の持ち主の足元に転がり落ちた時、泣き叫んでいたセントジョーンズの左手にはすでに拳銃が握られていた。


(#゜e゜)「殺す! ぶっ殺す!! くたばりやがれファッキン野郎がああああぁぁぁ!!」


セントジョーンズは絶叫しながら引き金に手をかける。
だが彼の視界からは既に憎き犬野郎の姿は消えていた。

犬男は既にしゃがみこむように身をかがめて、地面を滑るようにセントジョーンズとの間合いを詰めていた。

30 :名も無きAAのようです :2015/02/19(木) 23:59:02 ID:08y/UjkQ0
懐に入られたことに気付き、視界を下げ、慌てて狙いを定めようとしたセントジョーンズの視界はあっという間に1回転することになった。
そして次の瞬間には激しい衝撃と同時に視界いっぱいに火花が散ることとなる。


(;゜e゜)「ぐげっ!?」


あっという間に犬の男に左手を捻り上げられ、簡単にぶん投げられ、無様に床に組伏せられる形となったのだ。
ぎりぎりと音でも立てるように締め付けられる左腕の痛みを訴えるかのようなセントジョーンズの涙まじりの無様な叫び声が店内に響き、周囲の人間はあまりに予想外の展開に呆然と突っ立っているだけだった。

31 :名も無きAAのようです :2015/02/20(金) 00:00:28 ID:di1djOqU0
▼・ェ・▼「……」


やがてそんな状況に飽きたのか、犬の男はスッと立ち上がり、ゆっくりとした動作でカウンターに向き直り、また蚊の鳴くような声で一言呟く。


▼・ェ・▼「……ミルクを」

(;゜3゜)「……は?」

▼・ェ・▼「人肌くらいの、温まったミルクを、下さい


▼・ェ・▼「あと、それから……」


店主に背を向ける犬男の視線の先には情けない嗚咽を漏らすセントジョーンズを必死に介抱するプギャーの姿があった。

32 :名も無きAAのようです :2015/02/20(金) 00:02:42 ID:di1djOqU0
(;^Д^)「なっ……なんだよ!?」


身体を強張らせ、虚勢をあげるプギャーを無視するかのように犬の男はゆったりと彼の前に歩みを進め、やがてしゃがみこみ、彼との目線を合わせた。


▼・ェ・▼「聞かせて、下さい」

(;^Д^)「はあ!?」


緊張した面持ちのプギャーを落ち着かせるためなのか、それとも侮蔑の意味を込めているのか。
やはりミルクを注文する時のような、やけに優しく、蚊の鳴くような小さな声で犬男は静かに質問した。

33 :名も無きAAのようです :2015/02/20(金) 00:08:08 ID:di1djOqU0
▼・ェ・▼「……噂の、『ホモ野郎』のことを」



プギャーの瞳に映る、珍妙な格好の男の表情は犬の被り物に隠れ、読み取ることは出来ない。

しかし、それでも唯一露出されている口元は三日月のようにニンマリと弧を描き、彼がゾッとするようなサディストィックな笑みを浮かべていることにプギャーは気付いていた。

フードの下に隠れた犬男のぺニスは、はち切れんばかりに勃起している。
その興奮を主張するかのように彼は舌舐めずりをして恐怖に怯える若者の前で


▼・ェ・▼「わふぅん」


と鳴いてみせるのだった。







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