( ´∀`)茶屋を求めて、のようです

199 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:36:10 ID:ZX.P9fxU0





( ´∀`)茶屋を求めて、のようです




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200 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:36:58 ID:ZX.P9fxU0
(; ∀ )

ある日差しの強い日のことである。

木の杖をつきながら、山道を進む男が居た。

ぜいぜいと息を切らし、下を向きつつも一歩一歩進んでいく。

かいた汗を拭く余裕すら無いのだろう。滝のように流れる水滴が、ぽたりぽたりと地面を湿らせていく。

今にも倒れてしまいそうなこの男、名を茂名と言う。

(;´∀`)「こ……こんなに大変だなんて……聞いてないモナ……」

人並みには体力があると自負している茂名だが、そんな彼でもこの山道の険しさは想定外のようだった。

それでも彼は止まらない。一歩一歩と踏み締めて進んでいく。

目指すは頂上。それまでの我慢だ。

ぐぅぅ、と腹が鳴る。
そういえば朝飯を食べていなかったということを思い出し、数刻前の自分を酷く恨んだ。



―――
―――――

201 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:38:19 ID:ZX.P9fxU0

( ´∀`)「素直茶屋?」

( ・∀・)「ああ、近頃ここらじゃ有名な茶屋だ。なんでも、とんでもなく美味い甘味を出してくれるらしい」

旧来の知り合い、茂良が茂名の道場を訪ねてきたのはつい先日のこと。
どうやら近くを寄ったついでに顔を見せに来てくれたらしい。

最近どうだ、とか取り留めのない話がひと段落したところで、ふと話題に上ったのが、近頃巷で噂の茶屋の話。

茂名は甘いものに目がない。ここいら一帯の茶屋の甘味の味は全て知り尽くしている程だ。

そんな茂名が聞いたことのない茶屋。しかも、とびきり美味いとのことだ。
これは興味が湧いてきた。

( ´∀`)「ふむ……聞いたことないモナね。一体どこにあるモナ?」

( ・∀・)「それがなぁ、なんとも辺鄙な所にあるらしいんだ」

202 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:38:59 ID:ZX.P9fxU0

( ´∀`)「辺鄙?」

( ・∀・)「したらば山、って知ってるか?」

したらば山。ここに住んでる人間で知らぬ者は居ないだろう。

( ´∀`)「もちろん知ってるモナ。ここから北にある……」

( ・∀・)「そうそう、それそれ。んでさ、なんともその素直茶屋、どうやらしたらば山の頂上にあるらしいんだ」

なんと、山の頂上に茶屋が。

それはまた随分と珍妙なことである。そんな場所で商いをして、一体ちゃんと儲かっているのだろうか。

( ´∀`)「ふむ……」

( ・∀・)「暇があれば行ってみるといい。そんで俺に感想聞かせてくれよな」

203 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:40:21 ID:ZX.P9fxU0

( ´∀`)「茂良は行ったこと無いモナ?」

( ・∀・)「ないない。茶屋の為だけに山を登るなんて、とてもとても」

まぁそうだろう。一般的な感覚の持ち主なら、そう考えるはずだ。

しかし茂名は、生憎とその「一般的な感覚」の持ち主ではなかった。

甘い菓子と美味い茶の為ならば
たとえどんなに険しい道なれど
行かねばこの茂名の名が廃るというもの


( ´∀`)「よし、任せろモナ。ばっちり行って、感想を聞かせてやるモナ」


―――――
―――

204 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:41:01 ID:ZX.P9fxU0

あと少しで頂上の筈だ。そう思いながら、一体どれほど登ってきたことだろう。

(;´∀`)「ふぅ……ちょっと休憩」

大きな岩を見つけ、そこに腰を掛ける。
一旦休憩だ。別に急いでるわけでは無いのだし、ゆっくり行こう。

今は昼の正午といったところであろうか。茂名の腹の虫が盛大に鳴き散らしている。

(;´∀`)「ああもう、せめておむすびでも持って来ればよかった……」

汗を拭きながら後悔。予定ではもっと簡単に到着していたのだ。持ってきたのは、日よけの笠と木の杖。それと茶屋で使うための銭だけ。

一体茶屋でどれだけ使う気なのか、茂名が少し動くだけで、ジャラジャラと金が鳴る。だが今の茂名には、ただ鬱陶しいだけであった。

ああもう、こんなに持ってくるんじゃなかった。金なんて余分にあっても重いだけじゃないか。一体どれだけ食べる気なんだ自分は。

これじゃあ、到着するまでに倒れてしまうんじゃないか。そんなことを心配しながら、休息を取る。

205 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:42:05 ID:ZX.P9fxU0

( ´∀`)「……お?」

少し息が整い、周りを見渡す余裕が出来た。
ははぁ、なんとも良い景色だ。
緑は生い茂り、気持ちのいい風が木々を揺らす。
町暮らしに慣れてしまい、こういった景色を眺めるのは久しいことであった。

( ´∀`)「……たまにはこういうのも、悪くないモナね」



しばらくの間、ゆったりとした時間が流れた。腰掛けていた岩のひんやりとした感じが心地いい。

すると、ふと視界に小さな草が入る。
はて、なんだったっけなぁこの草は。
小さい頃に母と一緒に集め回った記憶がある。
ええと、なんだったか。確か僕は昔これが大好物で……

あぁそうだ、これは確か――――

206 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:43:16 ID:ZX.P9fxU0

「やいやいやいやい!!そこの男!!」

( ´∀`)「!!」

夢心地だった意識が、唐突に引き戻される。
山の静かな雰囲気には似つかわしくない、空気が震えるほどの大声であった。
茂名はバッと岩から飛び退き、声の主の方を確認した。

( ^ω^)「金を置いてきな!!さすれば命だけは助けてやる!!」

太刀を構えながらこちらへ迫ってくる、小太りの男が一人。
一目でわかる、賊だ。

( ´∀`)「はてさて、困ったモナね。生憎だけど、僕の持ち物はこの笠と杖だけモナ。襲う相手を間違えてるモナよ」

( ^ω^)「黙れ黙れぃ!お主が金を持ってることは分かってる!!ジャラリジャラリと銭を鳴らしおって!!」

207 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:44:24 ID:ZX.P9fxU0

あぁもう、言い逃れ出来ない。やっぱり金なんてこんなに持ってくるんじゃあ無かった。

( ´∀`)「残念だけど、この金は渡せないモナ。これから僕は茶屋に行かねばならないんだモナ」

( ^ω^)「お主の事情など知らぬ!渡したくないと言うのなら、力尽くで奪わせてもらうぞ!!」

そう言いながら、男はこちらへ襲い掛かって来る。
相手は真剣、こちらは木の杖が1本。

( ´∀`)「だから、襲う相手を間違えてるモナ」

杖を両手で中段に構える。焦ることは無い。相手は見たところ素人。対してこちらは――

( ´∀`)「ハッ!!」

――武術道場の師範だ。

剣先が交わると同時に、杖の先を軽く落とす。
そして相手の太刀を、左から右に払う。

208 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:46:22 ID:ZX.P9fxU0

(;^ω^)「おっ!?」

太刀の力の向きがズレてしまったせいで、持ち主の体勢が崩れてしまう。
常人には一瞬の隙。だが茂名にはその一瞬で十分。

( ´∀`)「甘い!!」

バシッ、と乾いた音が響く。茂名の杖先は、相手の手の甲に直撃した。

(;^ω^)「うぐっ」

思わぬ反撃に、つい太刀を手放してしまう。いくら山賊とはいえ、剣の腕は素人。達人の強烈な小手を直に食らってしまっては、当然と言えよう。

茂名は当然隙を見逃さない。剣を払った勢いのまま、前に一歩踏み込む。
そして当て身を食らわせると、相手は堪らず尻餅をついてしまった。

(;^ω^)「うわぁ!」ドサリ

( ´∀`)「……精進するモナね」

(;^ω^)「ひ、ひぃ!」

茂名は太刀を拾い、上段に構える。
山賊の声が恐怖で震える。

210 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:47:27 ID:ZX.P9fxU0

茂名が剣を振り下ろすと、山賊は思わず目を閉じてしまう。

――あぁ、確かに襲う相手を間違えた。こんな馬鹿なことしなければ良かった。

山賊は自分の行動の浅はかさを恨みながら、数瞬後来るであろう痛みに耐えようと身を縮める。





( ´∀`)「もう悪さは辞めるモナよ」

(;^ω^)「――お?」

コツン、と頭にぶつかる。先ほどまで茂名が使っていた木の杖だ。

211 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:48:34 ID:ZX.P9fxU0

(;^ω^)「こ、殺さないのかお?」

( ´∀`)「殺されたいモナ?」

(;^ω^)「い、いやそんなことは……」

山賊の男は困惑する。てっきり殺されるものとばかり……

( ´∀`)「お前の血でヨモギを汚したくないだけモナ」

(;^ω^)「お?よ、ヨモギ?」

( ´∀`)「手元を見るモナ。そこら中に生えてるモナよ」

そう言われ確認すると、確かに生えている。
まさかそんな理由で助かるとは……

( ´∀`)「ほら、さっさとどっか行けモナ。あ、でもこの太刀は没収モナよ。どうせ盗品モナ?」

212 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:49:47 ID:ZX.P9fxU0

(;^ω^)「う、うぅ……つ、次は覚えてろ!!」

捨て台詞を吐き、山賊の男は走り去って行く。おお、速い速い。



( ´∀`)「……さてと、僕もそろそろ……あ、そうだ。その前に……」

しゃがみこんで、さっきの山賊の命の恩人であるヨモギを幾らか摘み取っていく。
こんなに生えてるんだ、少しくらい分けて貰ってもバチは当たらないだろう。

集まったヨモギを布に包んで、また山を登る。
さぁ、あと一息だ。
待っていろ、素直茶屋。



―――
―――――

213 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:50:49 ID:ZX.P9fxU0

( ´∀`)「おぉ……ここが……」

また汗を滴らせながら歩いていくと、ついに開けた場所に出た。

頂上だ。

そして小屋が建っているのを確認。のぼりには「素直」と大きく書かれている。

(;´∀`)「や、やっと着いたモナ……」

いそいそと小屋に向かうと、中では別嬪さんが着物姿で暇そうにしていた。きっと彼女が茶汲み女だろう。

唐突な美女の登場に驚きつつも、茂名は声を掛ける。

( ´∀`)「失礼するモナ」

214 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:51:54 ID:ZX.P9fxU0

川 ゚ -゚)「……あら、お客さんいらっしゃい。こんなところまでご苦労様です」

(;´∀`)「まったくモナ……もう一歩も歩けないモナよ……」

川 ゚ -゚)「それは申し訳ありません。ささ、どうぞこちらに」

席に案内されるままに座る。あぁ、もうここから動きたくない……

( ´∀`)「あ、そうモナ」

川 ゚ -゚)「?」

215 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:53:18 ID:ZX.P9fxU0

茂名はふと思い出したかのように、包んだ布を拡げる。中に入っているのは勿論、先ほど摘み取ったヨモギ。

( ´∀`)「ここの甘味はたいそう美味だと聞いているモナ」

川 ゚ -゚)「あら、そうなのですか。光栄です」

( ´∀`)「そこで一つお願いがあるんだが、このヨモギで餅を作ってくれないかモナ?」

女は目を丸くした。まさかこんな注文をされるとは思っても居なかったのだろう。
しかしすぐに、笑みを浮かべて答えてくれる。

川 ゚ -゚)「ふふ、変わったお客さんですね。分かりました、これでよもぎもちを作らせて頂きます」

(*´∀`)「やったモナ!」



―――
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216 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:54:46 ID:ZX.P9fxU0

――ここはしたらば山の頂上にある、一軒の茶屋

そこで茶を啜り、よもぎもちを食べる一人の男

甘味に関しては特に舌が肥えてる彼、茂名お墨付きの『素直茶屋』

道のりはやや大変ではありますが、それだけの価値はあると保障しましょう

一度是非、いらしてみては?



(*´∀`)「あー……しあわせモナ……」




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217 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:55:37 ID:ZX.P9fxU0
( ´∀`)茶屋を求めて、のようです AA

218 :名も無きAAのようです :2016/01/11(月) 23:56:18 ID:ZX.P9fxU0





( ´∀`)茶屋を求めて、のようです




おわり







<支援絵>
( ´∀`)茶屋を求めて、のようです

(お題:よもぎもち)




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