風神さまへの捧げ物のようです

133 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 01:52:04 ID:ITQ4/DGk0

風神さまへの捧げ物


忘れちゃならぬは、大好物のみたらし団子

甘味がお好きな風神さまへの捧げ物


忘れちゃならぬは、お召し物

藍色好む風神さまへの捧げ物


捧げ物の中でも、一番忘れちゃならぬのは

村一番の美しい娘っ子


寂しがり屋の風神さまへの花嫁を捧げ忘れたその時は

きっと恐ろしいことに…


忘れちゃならぬ、忘れちゃならぬ

134 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 01:52:44 ID:ITQ4/DGk0



風神さまへの捧げ物のようです

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135 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 01:53:24 ID:ITQ4/DGk0
/ ,' 3「前の捧げ物をしてから五十年…ついに風神様に捧げ物をする年が訪れてしまったな」

( ФωФ)「みたらし団子はどこの物を捧げるであるか?」

/ ,' 3「満腹堂のみたらし団子がええじゃろう、最近はあそこのみたらし団子が一番評判がええし」

( ФωФ)「お召し物はどうするであるか?」

(-@∀@)「それなら素直屋の着物を捧げましょうよ」

/ ,' 3「そうじゃな、素直屋の着物は村一番じゃからな」

(-@∀@)「そりゃあ、なんたって村唯一の呉服屋ですからね」

136 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 01:55:02 ID:ITQ4/DGk0
( ФωФ)「甘味とお召し物はそれでいいとして…」

/ ,' 3「うむ、問題なのは生贄に捧げる娘を誰にするかということじゃ」

(-@∀@)「村一番の美しい娘っ子なんですよね?」

/ ,' 3「ペニサスとかどうじゃ?」

(-@∀@)「風神様が怒りますよ、あんな娘捧げたら」

( ;ФωФ)「そ、そうである!ペニサスは器量がよくないである!」

/ ,' 3「冗談じゃよ。それに杉浦がペニサスに惚れとるしな」

( ;ФωФ)「そんなことはないであるが…」

(-@∀@)「物好きですねぇ」

/ ,' 3「アサピー、お前は誰がええと思う?」

(-@∀@)「…うーん。満腹堂のツンとか、素直屋のクーとか?」

( ФωФ)「確かにあの二人は器量が良いであるな」

/ ,' 3「どっちにしようかのう」

(-@∀@)「それは悩み所ですね、いつも二人とも美しさで競ってますし」

( ФωФ)「仲悪いからなぁ、あいつら」

137 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 01:55:43 ID:ITQ4/DGk0

/ ,' 3「はぁー、風神様も名指しで指名してくれればいいのにのぅ」

( ФωФ)「欲がそんなにない方なんであるよ、きっと」

(-@∀@)「そうですよ。三つ隣の村なんか、雷神様に三年に一度は大量の捧げ物を用意しなきゃいけないそうですよ」

/ ,' 3「なんと。大変じゃな…」

( ФωФ)「それに比べて、風神様はお優しい方であるな」

(-@∀@)「みたらし団子とお召し物と娘一人ですからね」

/ ,' 3「あぁ、ありがたやありがたや…」

138 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 01:56:47 ID:ITQ4/DGk0



(-_-)「えーと、ここが満腹堂か…」



(-_-)「ごめんくださーい」

ξ゚⊿゚)ξ「…」

(;-_-)「あのぉ、ごめんくださいまし…」

ξ゚⊿゚)ξ「……何か?」

(;-_-)「えっと、満腹堂はここであってますか?」

ξ゚⊿゚)ξ「暖簾みりゃわかるでしょ、馬鹿なの?」

(;-_-)「す、すいません」

ξ゚⊿゚)ξ「何、あんた客?」

(-_-)「は、はい!満腹堂のみたらし団子は絶品だと聞きまして…」

ξ゚⊿゚)ξ「貞子ー!客よ、客!」

川д;川「はいはい!あぁ、いらっしゃいませ、お客さま!どうぞ奥の部屋が空いてますので、こちらへ…」

(;-_-)「うん、ありがとう」

139 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 01:57:34 ID:ITQ4/DGk0

川д川「はい、ご注文のみたらし団子3本です」

(*-_-)「美味しそうだねぇ」

川д川「なんたって、風神様への捧げ物として選ばれるくらいですからね。折り紙付きですよ」

(*-_-)「そりゃあすごい」

川;д川「それにしても、さっきはすいませんね。ツンお嬢さん、ちょっと機嫌が悪くって…」

(-_-)「あぁ、あの娘が村一番の美しい娘っ子と評判のツンなのかい」

川д川「えぇ、えぇ、その通り。私はツンお嬢さんこそ、村一番美しい娘だと思っていますよ」

(-_-)「じゃあ、あの子が花嫁として風神様に捧げられるのかい」

川;д川「いえ、それはその…」

(-_-)「なんだい、違うのかい?」

川;д川「実はですね…」

140 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 01:58:20 ID:ITQ4/DGk0



/ ,' 3『今年は風神様への捧げ物をする大切な年じゃ』

( ФωФ)『そこで、みたらし団子を捧げる役目を満腹堂』

ξ゚⊿゚)ξ『ふふん、当然よね』

川*д川『名誉なことですね』

川 ゚ -゚)『満腹堂のみたらし団子なんて、風神様のお口に合うんだろうか?』

ξ゚⊿゚)ξ『いやねぇ、クーったら、僻みかしら?』

川 ゚ -゚)『僻みなんかじゃないさ、風神様のことを思っての発言さ』

川;д川『まぁまぁ、お二人とも…』

141 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 01:59:26 ID:ITQ4/DGk0


(-@∀@)『そして、お召し物を捧げる役目に素直屋』

川 ゚ -゚)『承知した。素敵な藍色のお召し物を用意する』

ξ゚⊿゚)ξ『風神様も可哀想に、素直屋の着物だなんて』

川;д川『まぁ、村唯一の呉服屋さんですから…』

川 ゚ -゚)『貞子。お前も幼馴染の縁だからといって、満腹堂なんかで働かなくてもいいんだぞ?うちで雇ってやる』

ξ゚⊿゚)ξ『はぁ?貞子があんたのとこなんで働くわけないでしょ、馬鹿なの?』

川 ゚ -゚)『ツンとは違って優しいぞ?私は』

ξ゚⊿゚)ξ『やめときなさい、貞子。あいつはあんたに対して下心があるんだから』

川 ゚ -゚)『下心なんかない。手が滑ることはあるかもしれんが』

ξ゚⊿゚)ξ『それが下心っていうのよ、私の幼馴染に手出したらはったおすぞ』

川;д川『わ、私は満腹堂で働くのが好きですので…』

川 ゚ -゚)『そうか、残念だ』

142 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 02:00:50 ID:ITQ4/DGk0

/ ,' 3『相変わらずじゃなぁ、お主らは』

川 ゚ -゚)『まだいたんですか、話は終わったのでは?』

/ ,' 3『泣くぞ』

( ФωФ)『一番大切な捧げ物についての話がまだ終わってないのであるよ』

川д川『それって確か、村一番の美しい娘っ子のことでは…』

ξ;゚⊿゚)ξ『そんな…!いやよ、私、生贄だなんて…!』

川; ゚ -゚)『花嫁になるだなんて嫌だ…、風神様が女の神様なら喜んで受けるが』

ξ゚⊿゚)ξ『…は?なんであんたが風神様の花嫁になる気満々なのよ』

川 ゚ -゚)『そういうお前こそ。なんだ?まさか私を差し置いて一番美しいとでも思ってんのか?』

川;д川『そ、村長!どっちを風神様の花嫁として捧げるんですか?』

143 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 02:02:12 ID:ITQ4/DGk0


/ ,' 3『いやー、どっちもべっぴんさんだから困っているんじゃ』

(-@∀@)『それにどっちが美しいか決めたら、選ばれなかった方に殺されそうだし』

( ФωФ)『どっちでもいいから、風神様の花嫁になってくれんであるか?』

ξ゚⊿゚)ξ『なりたくはないけど、風神様が村一番美しい娘をお望みなら仕方ないわ…私が花嫁になるわ』

川 ゚ -゚)『神様なんだから性別変えられる術とかあるかもしれないし、花嫁になってもいいぞ。なんたって、風神様は村一番美しい娘をお望みなのだからな』

( ;ФωФ)『…どうするである?村長』

/ ,' 3『えぇい、仕方ない!こうなったら二人とも一応捧げ物として捧げて、風神様に選んでもらおう』

ξ゚⊿゚)ξ『つまり、残された方が器量が悪いってことね』

川 ゚ -゚)『風神様は正しいお方だからな、選ばれるのは私だな』

ξ゚⊿゚)ξ『ざけんなよ、あぁ?はったおすぞ』

川;д川『まぁまぁ…』

144 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 02:03:54 ID:ITQ4/DGk0


川д川「ということがありまして…」

(;-_-)「なるほど、それであんなに機嫌が悪いんだね」

川;д川「風神様がどっちを選ぶか心配してるんだと思います、選ばれなかったら負けだと思っていますので…」

(;-_-)「風神様も責任重大だなぁ…」

川д川「それにどちらも美人ですから、選ぶのも大変ですよね」

(-_-)「でも二人とも性格に大分難があるようだけどね」

川д川「まぁ、綺麗な花には棘があるといいますから…」

(-_-)「というか、別に村一番美しい娘っ子っていうのは、決して容姿のことじゃないと思うんだけどなぁ…」

川д川「え?そうなんですかね?」

(-_-)「うんうん。それに風神様もそんな二人の美しさ勝負に巻き込まれるのは困ると思うんだよね」

145 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 02:04:36 ID:ITQ4/DGk0

川;д川「確かにそうですね。でも、風神様が名指しで指名してくれればこんなことにはならなかったのに…」

(-_-)「ふーむ。あ、ところで、おかわり良いかな?5本ほど」

川д川「はい、ありがとうございます!」

(-_-)「あと、もう一つ注文いい?」

川д川「えぇ、他の甘味も美味しいですよ」

(-_-)「それはよかった。それじゃあ…」

146 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 02:05:16 ID:ITQ4/DGk0



/ ,' 3「しかし、どちらが選ばれるかのう」

( ФωФ)「クーじゃないであるか?」

(-@∀@)「僕はツンだと思うなぁ」

コンコン…

/ ,' 3「おや、客かの?」

(-@∀@)「僕が行ってきますよ」

147 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 02:08:10 ID:ITQ4/DGk0

( ФωФ)「しかし、ツンもクーも、風神様に迷惑をかけなければいいのですが…」

/ ,' 3「うーん、この村の娘は昔から美しい者はみんな性格に難があるようじゃからなぁ」

( ФωФ)「そうなのであるか?」

/ ,' 3「昔から風神様に花嫁として捧げられた娘はあんまりに性格に難がありすぎて、すぐに離縁されて、遠くで暮らしているとも聞くがのう」

( ;ФωФ)「それはなんとまぁ…」

/ ,' 3「だから風神様はずっと求めておるんじゃろうて、自分に相応しい本当の花嫁を…」

( ФωФ)「寂しい話であるな…」

148 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 02:09:45 ID:ITQ4/DGk0
(;-@∀@)「村長!大変ですよ!」

/ ,' 3「どうしたんじゃ?」

(;-@∀@)「玄関にこんな手紙が!!」

/ ,' 3「えーと、何々…」

( ФωФ)「我輩が読むであるよ、えーと、『捧げ物の花嫁について、もめていると風の噂できいたので、今年は自ら選ぶことにした。もう花嫁はいただいたので、みたらし団子と着物だけを捧げよ。風神より』」

/; ,' 3「なんじゃと!」

( ;ФωФ)「ど、どちらが選ばれたのであるか?!」

149 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 02:10:32 ID:ITQ4/DGk0


川; ゚ -゚)「村長、大変だ!」

/; ,' 3「おぉ、クー!」

(-@∀@)「ということは、やっぱり連れて行かれたのはツン…」

( ;ФωФ)「お、落ち込むでないであるよ、クー」

川 ゚ -゚)「はぁ?」

/ ,' 3「そうじゃぞ、クー、お主だってツンに負けないべっぴんさんじゃからのう…」

150 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 02:12:39 ID:ITQ4/DGk0

ξ;゚⊿゚)ξ「村長、大変なのよ!」

/; ,' 3「ふぉわっ!?」

( ;ФωФ)「え、なんでツンがいるであるか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「それが…」


川 ; -;)「私の愛しい愛しい貞子がいなくなってしまったんだああああ!」

/; ,' 3「さ」

( ;ФωФ)「だ」

(;-@∀@)「こ?」



「「「ええええ!?貞子ぉおおお!?」」」


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151 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 02:13:22 ID:ITQ4/DGk0

川;д川「と、飛んでる。本当に飛んでる…落ちたら死ぬ…!」

(-_-)「どうだい、空の旅は」

川;д川「すごすぎて怖いです」

(-_-)「風の力を操ればこんなことお茶の子さいさいなんだよ」

川;д川「流石風神様…」

152 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 02:14:56 ID:ITQ4/DGk0

(*-_-)「それにしても、やっと結婚できるよ!」

川;д川「風神様は花嫁をたくさんもらっているのでは?」

(-_-)「みんな性格に難がありすぎて、結婚したことないんだよね、実は」

川;д川「そうだったんですか…」

(-_-)「うん、でも長い間待った甲斐があったよ。僕は君みたいに優しい子が好きだからね。これから末長くよろしくね」

川*д川「は、はい、私なんかでよければ…」

153 :名も無きAAのようです :2016/01/10(日) 02:17:04 ID:ITQ4/DGk0



風神さまへの捧げ物

忘れちゃならぬは、大好物のみたらし団子


甘味がお好きな風神さまへの捧げ物

忘れちゃならぬは、お召し物


藍色を好む風神さまへの捧げ物




捧げ物の中でも、一番忘れちゃならぬのは

風神さまの奥方への、手向けの花束



風神さまは村一番美しい娘っ子であろうとも、もう新しい花嫁は求めない

風神さまの愛しい奥方は、この世でたったひとりきり

寂しがり屋の風神さまは、今日も一人で死んだ奥方に想いをはせる

だから、奥方への花束だけは

忘れちゃならぬ、忘れちゃならぬ…







<支援絵>
風神さまへの捧げ物のようです



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