【感想】('A`)がコンビニ店員になったようです。

いわゆる、燃え尽き症候群というやつだったのだろう。
入学した瞬間何もする気がなくなったドクオは、一年通った大学に休学届けを出した。
ニヒルになって外を歩き回っていたドクオは、タバコを買おうとコンビニに入ろうとするが、そこに深夜バイトの募集の紙が貼られているのに気が付く。
どうせ、これからすることもない。
そのコンビニで履歴書も一緒に買うと、目の前の公園で記入欄をスラスラと埋めていく。
少し手を止めてから、志望動機の欄に適当に書かれた文はこうだった。

「 志望動機 : ここで、何かを見つけたいから。 」


('A`)がコンビニ店員になったようです。(オムライス)




作品紹介ぽくなってます。大胆なネタバレとかはないです。

さて、私にとってのある出来事に区切りがついたので、その締めくくりとしてこの感想を書きます。
というのも、私は昨年この作品に大いに心救われ、継続と、頑張ることへの励ましを貰い、なんとか苦難を乗り越えることができたからです。
辛い時期を乗り越えるための、まさに希望そのものだったんです。

人間、生きていれば人との出会いがある。
その出会いの尊さというか、それによる激動というか……、そういった経過を、目標や情熱を見失った一人の青年を通して描く。
これはそんな作品です。



<少~しだけ、ネタバレ注意>



読み進めていくうち、自分は今、このドクオと似たような境遇に立っているなあと共感していったのを覚えています。
正しい道の辿り方は分かっているのだけど、怖くて一歩を踏み出せない。
いつか感じた情熱を再び取り戻すには、この正しい道で本当にいいのか不安で、結局保留というどっちつかずな形を選択してしまう。
そんな時期に私も立っていたとき、この作品を読むことができたのは本当にラッキーでした。

一気にラスト近くを紹介しますが……第4部2話


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川 ゚ー゚)「君は、こんな私の夢を素敵だと言ってくれた。
    こんな私の背中を押してくれた。そんな君に素晴らしい出会いがないはずがない。
    それは大学では訪れないかもしれない。
    しかし、その先の長い人生の中で必ず訪れるはずだ。私が保証する」

('A`)「………」

川 ゚ー゚)「その先のことを考えて、大学に行ってみてはどうかね?
    つらいことのほうが多いだろう。しかし、その先には必ず何かあるはずだ」


そう言って、彼女は再び手を差し出す。
俺は………その手を握り返した。


('∀`)「出発の日が決まった教えてください。俺、必ず見送りに行きますから!」

川 ゚ー゚)「ああ。 そのつもりだ」


晴れ渡った東の空に浮かぶ朝日が、そんな俺たちを強く照らす。

今日は、暑くなりそうだ。

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このシーンが一番脳裏に焼き付いています。
特に、「つらいことのほうが多いだろう。しかし、その先には必ず何かあるはずだ」
この言葉が当時の自分の支えでしたね。
この台詞を見るためだけに何度もオムライスを訪問したりしてました……。

名言っていうのは、案外こういうありふれた文句だったりすることが多い気がする。
そのありふれた文句が出るまでの物語の経過が、名言に昇華させてくれるかどうかを左右しているんだと思いますね。
下手に狙った台詞は滑るのが怖い。


……まあ、あまり自分語りしても気持ち悪いのでこの辺にしておきます。



この作品のテーマは『出会い』。
だけど、ドクオがコンビニ店員になってから新しく出合った人って、シャキンとクーくらいなんだよね。
でもエピローグを見てみると、出合いはそれだけじゃなかったんだ、こういう出会いもあるんだなと、物語を一話目から振り返らせてくれます。

私にも、こんな出会いがあるだろうか。
明るい期待を持てたというよりは、これまでの人生を思い返させ、「どうだろうなぁ。あるといいなぁ」と、ちょっと自嘲的になって、ドクオの真似をしてタバコをふかしたりしてみたくなったりさせてくれます……。



ドクオやブーンと同じような挫折を味わったことがない人でも(私も含めて)、けれどどこかこのドクオに自分を、つい重ね合わせてしまう人は多いんじゃないかと思います。
だって、どこにでもいそうな、普通の青年だから。
その普通の青年の行動や思考に対して「うんうん、そう思うよなぁ。そうなっちゃうよなぁ」っていう、共感や同情をさせるのが上手い作品だなというのが総評ですね。

あとは……、暗に「変わりたかったらとにかく行動しろ」と、言われてる気もしました。
ドクオも「仕方ない」といって諦めたりしなかったから、出会いがあって前に進むことができたのだし。

色々なことを真剣に考えさせてくれる、だからってガチガチの地の文で説教されているわけではない。
ちょっと笑いもあって、あとバイクの乗り方講座があったりもして(笑)、新しい春を迎える前に是非読んでみてほしい作品です。


ドクオがコンビニでアルバイトを始める際に履歴書に書いた志望動機、「ここで、何かを見つけたいから」。
ドクオは結局、何を見つけることができたのか。
実はこれは明確な答えは作中で書かれていない。

まだ読まれてない方は読んでから、読了している方はもう一回読み返して、何を見つけたのか、考えてみることをお勧めします。