居酒屋事件簿のようです 事件編

2 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:43:10 ID:sR.GwSq2O

食事とお酒が楽しめる居酒屋


『設楽羽』



( ^ω^)⊃ガラララ



(,,゚Д゚)「いらっしゃいませー!!」



(-@∀@)「っしゃいませー!!」



( ^ω^)v「おっ、二人だお。もう一人は後から来るお!」



(,,゚Д゚)「はい!カウンターお二人様ご案内!」



(*^ー^)「いらっしゃいませ!」

3 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:44:26 ID:sR.GwSq2O
( ^ω^)(うん。所長から聞いて正解だったお)



( ^ω^)(僕があの事務所に転職してから早一か月。仕事にはなかなか慣れないけど、なんとかクビにならずにすんでいるお)



≡( ^ω^)ヨッコイ ショウイチ



( ‐ω‐)(今日は久しぶりの休み。不定休な仕事だから、たまには羽を伸ばそうぜって所長……茂良さんから紹介してもらったけど)



(-@∀@)「飲物、先に聞いていいっすか?」



( ^ω^)「おっ!とりあえず生中ひとつくださいお」



(-@∀@)「はいっす!」



( ^ω^)(店員さんもはきはきしてるし、良い店だお。さすが所長だお)

4 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:45:12 ID:sR.GwSq2O
( ^ω^)(……それにしても、とりあえず生中、か。数年前はとりあえずなんて言わなかったのに、僕もおっさんになったお)



(-@∀@)⊃「お待たせしましたっす!生中です!」



( ^ω^)⊃「ありがとお」



( ^ω^)ゴクゴクッ



( ゚ω゚)プハァア!



(* ゚ω゚)(でも、この旨さはおっさんにしかわからないおっ!)



(* ^ω^)「五臓六腑にしみる……」



「おいおい、若造がそんな言葉つかってるんじゃないぞ」



(^ω^ )「えっ、だ、誰だお!?」

5 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:46:37 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「俺の名はイトーイ。さすらいの食べロガーさ」



( ^ω^)「は、さすらいの……なんて?」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「さすらいの食べロガー」



( ^ω^)「……」



( ^ω^)「ああ、ユーチューバー的な無職か」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以⊃[]ポチポチポチ



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「お前は俺の逆鱗に触れた。炎上させてやる」

6 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:47:31 ID:sR.GwSq2O
( ^ω^)「笑わせんなお。自慢じゃないけど、ネットリテラシーとかは仕事柄、完璧だお。僕を炎上させるなんて不可能──」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「大将!」



(,,゚Д゚)「はい!?」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「今から俺はこの店の評価を五段階中最低の一評価にする」



(,,゚Д゚)「えっ!?な、なにか不手際が!?」

7 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:49:16 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以⊃[]「そこに座っている若造が気に入らん。レビューの書き出しとしてはこうだ」



ィ'ト―-イ、
以`-益-以『夕日が僕を照らす黄昏の始まり。



僕は、一つの止まり木で羽を休めた。



──居酒屋 設楽羽。ひと時のオアシス。



そこにあるのはたくさんの料理と、愉快な仲間たち。



僕の心はホーリーグレイルで満たされるのさ。



そこに悪魔がいなければ──』





( ^ω^)(ポエムやん)

8 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:50:04 ID:sR.GwSq2O
(,,゚Д゚)「この書き口……あ、あんたもしかしてさすらいのイトーイ!?」



(; ^ω^)(有名なのかお!?)



(-@∀@)「まさか……わけのわからないレビューが一部ネット掲示板に受けてカルト的な人気を誇るあの……」



((((,, Д ))))



(-@∀@)「た、大将が……」



(*゚ー゚)「震えてるわ……」



( ^ω^)(あーなるほど、そりゃ震えるわ。ホーリーグレイルだもんなぁ)

9 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:51:04 ID:sR.GwSq2O
(,,゚Д゚)「お、お客さん……その……」



( ^ω^)「おっ……」



( ^ω^)(なるほど、僕が謝らなければこの店に汚点がつく。大将としては謝ってほしいところ)



( ^ω^)(仮に謝らなければ、今後僕がこの店に入るとき……ものっそい気まずいムードが流れる可能性大、と)



( ^ω^)(……腑に落ちないけど、大将のためにもさっさと謝っとこ)



( ^ω^)「す、すみませんでしたお、イトーイさん。僕の不注意でしたお」



ィ'ト―-イ、
以`-益-以「フン、わかればいいんだよ」



(,,-Д-)ホッ



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「君の名前は?」



( ^ω^)「西川っていいますお」



( ^ω^)(偽名だけど。こんな奴に本名教えたくないお)

10 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:51:49 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「西川君か。どうだい、よければ俺が『食』というものを教えてあげてもいいが」



( ^ω^)「ハハハ、気さくな方ですね」



( ^ω^)(断りてぇ)



ィ'ト―-イ、
以`^益^以「よし、こっちにきたまえ。一緒にホーリーグレイルを交わそう」



( ^ω^)「あ、ホーリーグレイルって生中なのな」

11 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:53:28 ID:sR.GwSq2O
~~~

イトーイのオススメ注文後



(*゚ー゚)⊃「お待たせしました!」



( ^ω^)σ「魚……なんだおこれ。刺身かお?ちょっとしかないお」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ふふん、サバの冷燻(れいくん)だよ」



( ゚ω゚)「サバのレイ君?このサバ、レイって名前なのかお!綾波かお!?ブレスかお!?それともお遊戯会かお!?」



ィ'ト―-イ、
以;゚益゚以「もう酔ったのか!?」



( ^ω^)「えっ、違うのかお?」



(,,゚Д゚)「燻製ですよ」



( ^ω^)「お、燻製」

12 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:54:27 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「燻製にはおおまかに熱燻、温燻、冷燻と種類があるんだ。このサバは冷凍燻製で仕上げてある」



( ^ω^)⊃「触ってみると冷たいですお。歯がキーンってしそうだお」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「そこがポイントだよ。言葉は要らない。まずは頭の中で君が普段食べているサバを思い浮かべてごらん」



( ‐ω‐)「おっ……」

13 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:55:19 ID:sR.GwSq2O
サバ……ご飯と一緒にいただくのならば、間違いなくサバの味噌煮が筆頭となるだろう。



一緒に煮込まれた煮汁が、まるで本体を隠すようにトロリと包み込む家庭料理のそれは、ともすれば単品でも大変美味。



しかし、甘辛く、肉厚の身を口に運ぶとどうしても欲しくなるものがある。ホカホカの白飯。茶碗に盛られた銀シャリ。



余計な骨は少なく、プリップリの魚を口内で味わえば、次に箸を運ぶはご飯以外にありえないのだ。



米に合うおかずの筆頭。ししとおがらしで彩も添えて。
\_  ________/
  ヽノ
   ○
   o
( ‐ρ‐)「おっ……」ジュルリ

14 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:56:15 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「フッ、君が頭の中に思い浮かべたのは……サバの味噌煮込かな?」



(; ^ω^)「っ!?な、なぜそれを……」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「サバの冷凍燻製を見てこれは何か?と聞いてきた。つまり普段はあまりサバ料理を食べないか、意識していない」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「加えて、一品料理に対し、ちょっとしかないという感想を抱いた。これはもっと食べたいという空腹もしくは食いしん坊特有のセリフ」



ィ'ト―-イ、
以`-益゚以σ「さらに君は薬指に指輪をしていない。よって、思い出されるサバ料理の可能性としては母親が作る家庭料理でポピュラーなサバの塩焼き、もしくはサバの味噌煮込が第一に考えられる」



(; ^ω^)「な……ちょ、ちょっと待ってお!ならサバの塩焼きを頭に思い浮かべた可能性も否定できな──」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「空腹ならば白飯とセットでという考えに基づいたイトーイ理論の帰結としては、味噌煮込に軍配が上がったからだよ」

15 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:57:39 ID:sR.GwSq2O
(; ^ω^)「さ、さすらいの食べロガー……!恐るべしだお……!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「たまたまだよ。蓋然性の問題さ。さぁ、役者はそろった。未知のサバを食しに行くんだ西川君。アーユーレディ?」



( ^ω^)「おっ……!」



パクッ



( ^ω^)「!」



( ^ω^)「しゃ」



( ^ω^)「シャリシャリしてるお……なんだおこれ、まるで魚のシャーベットみたいだお……」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ほう、良い表現だ。俺はこれを真空のマテリアルと呼んでいるんだがね」



( ^ω^)「真空の……マテリアル……!」



(,,゚Д゚)(こいつら普通に食えねえのかなぁ)

16 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 12:58:21 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「最初の一口で感じる食感としては、冷たさとシャリシャリ感が最も大きい」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「それもそのはず、冷凍燻製の手法として、冷やした煙をサバに吹き付けているからね」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「これによって、表面的な冷感がそのまま食感……美味しさや不思議につながる」



( ^ω^)「確かに不思議でしたお。でも、正直言うと……」



ィ'ト―-イ、
以`-益-以「物足りない」



( ^ω^)〃コクリ

17 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:00:35 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`-益-以「だろうな。サバ本来の身がぷりぷりっとしたあの肉厚感……なまじ、味噌煮込と戦うにはレヴェルが足りない」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「だが……そろそろ良いだろう」



( ^ω^)「お?」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「マテリアライズさ、もう一度食べてごらん」



( ^ω^)「マテリアライズってなんだお……」パクッ





!!!!( ゚ω゚)!!!!!





(; ^ω^)「こ、これはなんだお!?さっきまでシャリシャリしていた食感が──」



( ^ω^)「一瞬にして、プリプリ感を醸し出しているお……!!」

18 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:01:37 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「溶けたのさ、マテリアルがね」



( ^ω^)「溶けた……ハッ!!」



( ^ω^)(よく見ると、さっきまで白っぽかったサバが……薄いピンク色になっているお……!)



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「冷凍燻製の最大の特徴は、内部に余分な熱が加わることがなく、表面は香ばしく、中はしっとりジューシーな二段階の旨さを持っていること」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「逆に言えば、提供された半冷凍状態から、少し時間を置いて自然解凍された本来のサバに戻った時。身も心もさらけ出した肉のうまみが存分に引き出される状態」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「家庭で食べた、あのサバが、こんな一面も持っていたと気づかされる瞬間だね」

19 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:02:41 ID:sR.GwSq2O
(* ^ω^)(お、おいしいお……!シャリシャリしていたつまみ感覚の最初と)



( ^ω^)(自然解凍によって身のプリプリ感が戻ったこの状態……言うならばつまみではなくご飯のおかず足り得るまぎれもないサバ本来の味)



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「どうだい。白飯をがっつくためのおかずも大変結構だが、こういう大人のたしなみも悪くないだろう」



( ^ω^)パクパク



(*^ω^)「おいしいおー!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ちなみに合わせる酒はなんでもいい。ビールはもちろん、日本酒、焼酎、ワイン、果ては洋酒でも構わん。個人的にはヨード香……潮の香がするスモーキーなアイラモルトがお勧めだがね」

20 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:03:31 ID:sR.GwSq2O
( ‐ω‐)「……イトーイさん。僕が若造でしたお」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「誰でも最初は坊やさ。俺の弟子だって君みたいに駆け出しのときはあった。今じゃ立派にやってるみたいだがね」



( ^ω^)「お……イトーイさん。僕も弟子にしてくださいお。というかもっとおいしい物教えてくださいお」



ィ'ト―-イ、
以`-益-以「フッ……黄昏の始まりにいたのは、一羽のひな鳥というわけか。ぴーちくぱーちく騒がしく、愛おしい……」



( ^ω^)(その表現だけは教えてもらっても忘れよう)

21 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:04:30 ID:sR.GwSq2O
~~~



( ^ω^)「次はなんですかお!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「そうだな……大将、フェニックスを」



(,,゚Д゚)「えっ!?」



(-@∀@)「焼き鳥じゃないっすか?」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以σ「君、焼き鳥じゃない。フェニックスだ。確かに鳥を焼くという工程に関してはやぶさかではないが、和名なら不死鳥と言いなさい」



(-@∀@)「焼き鳥っすね。うちなら手羽先っす」



(,,゚Д゚)「うん。浅井くん、手羽先持ってきてくれる?」



(-@∀@)「はい」

22 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:05:38 ID:sR.GwSq2O
(@∀@-)≡タッタッタ



(^ω^ )「お?彼はどこに行ったんですかお?」



(,,゚Д゚)「ああ、倉庫に手羽先を取りにいったんだ」



( ^ω^)「一狩り行ったんですかお?ソロで?」



ィ'ト―-イ、
以;゚益゚以「バカなっ!フェニックスは神獣だぞ!?彼一人では危険すぎる!!」



(,,゚Д゚)(こいつら早く帰らねぇかな)

23 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:06:45 ID:sR.GwSq2O
(,,゚Д゚)「……うちは一部の材料を冷凍してるんで、それを取りに行っただけですよ」



( ^ω^)「あーなるほど。でもちょっと遅くないかお?」



ィ'ト―-イ、
以`-益-以「フッ……フェニックスの防御力は非常に高い。それを人の口に入れるためのサイズにするにはそれなりの経験と時間が必要なのさ」



(,,゚Д゚)「冷凍したままだと袋の中の手羽先がくっついちゃうんでね。ある程度バラバラにしてからじゃないとこっちで調理できないんだ」



( ^ω^)「ふーん。色々手間がかかってるんだおねぇ」

24 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:07:40 ID:sR.GwSq2O
≡(-@∀@)⊃「大将、お願いします!」



(,,゚Д゚)「おっ、ありがとう。さて、どうします?」



( ^ω^)「お?どうって?上手に焼いてくれお」



(,,゚Д゚)「じゃなくて。タレにするの?塩にするの?」



( ^ω^)「選べるのかお!じゃあ……イトーイさんはどっちにします?」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ツヴァイ式フェニックス・ヘル・ファイアーだ」



(,,゚Д゚)「あ?」



(-@∀@)「から揚げを二本じゃないっすかね。ドイツ語でツヴァイって二って意味だし」

25 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:08:32 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以σ「君、いい加減にしたまえ。ナンセンスにもほどがある。炎上させるぞ」



(-@∀@)「……すみません。でも合ってますよね」



ィ'ト―-イ、
以`-益-以「フンッ……」



(-@∀@)「あってるっす」



(,,゚Д゚)(浅井君の翻訳能力を考えるとうちで働いている必要性に疑問を抱くな……)

26 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:09:21 ID:sR.GwSq2O
( ^ω^)「か、から揚げ……!?そういうのもできるんですかお!?」



(,,゚Д゚)「うん、できるけど」



(* ^ω^)「えっと、じゃあイトーイさんがから揚げ二本で、僕は塩を二本とタレを二本、あと一本はから揚げでお願いしますお!」



(,,゚Д゚)「はいよ!」

27 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:10:06 ID:sR.GwSq2O
~~~



( ^ω^)⊃「おお、手羽先だお!はい、イトーイさんのから揚げ!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ありがとう」



( ^ω^)⊃「いただきますお!まずはタレから……」



パクッ



(* ^ω^)「うーん!おいしいですお!焼きあがった手羽先の香ばしい匂いと、肉に絡む甘辛のタレが絶妙ですおぉ!」



( ^ω^)アムアム
  ⊃|⊂

28 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:10:58 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「西川君。君は本当に貪り食うのが好きだな」



( ^ω^)「お?だって、もったいないじゃないですかお。両端の肉のついた部分とか。これがまた旨いんですお!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以⊃「フッ……これをみたまえ」



( ゚ω゚)「……!!」



( ^ω^)「二本とも……ものすごくきれいに食べてあるお……しかも僕が一本に集中している間に……!?」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「四大奥義だよ」



( ^ω^)「四大……奥義……ッ!?」

29 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:11:51 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「確かに手羽先は肉が残る。だが、それは食べ方の問題でもあるのさ」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「俺が使った奥義、それは手羽先をおいしく、かつきれいに食べる方法なんだよ」



( ^ω^)「お、教えてくださいお!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「イトーイ流四大奥義が壱」





ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「屈折する喰人(クラウド)」

30 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:12:53 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「まず、手羽先の両端をつかみ関節部分を下へ折り曲げる」



( ^ω^)「おっ!折り曲げましたお!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「すると、骨が出てくるだろう。それを下までグッと引くんだ」



( ^ω^)「おおぉっ!身がポロリと取れましたお!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「さぁ、君は喰人(クラウド)だ。存分に骨抜きとなった身を味わうがいい」



(* ^ω^)「あむっ!うーん!肉だけが口の中に広がって、ぜいたくな気分だお!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「最もベーシックかつ、手軽な奥義だ。これ一つ覚えておくだけでだいたいの手羽先は片付く」



( ^ω^)「お……でも、僕は骨をしゃぶしゃぶするのも好きですお」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「案ずるな。イトーイ流四大奥義が弐」

31 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:14:38 ID:sR.GwSq2O





ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「痛み分けの我欲(デザイア)」





( ^ω^)「お?」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「今度は、関節の端をとり除き、2本の骨をそれぞれ…」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「左右に分ける」



( ^ω^)「割りばしみたいだお!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「これによって、骨の場所が多くなり、必然的に片方へ集中することになるだろう?」



( ^ω^)「あ、じゃあ骨が邪魔して食べにくい場所も減って……」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「我欲(デザイア)をむき出しにできるというわけさ」



(* ^ω^)「ハムッ!はふはふ!ほんとですお!骨のジューシーさを味わいながら、身の食感も楽しめる!僕向きの奥義ですお!」

32 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:15:29 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「この奥義なら家族で手羽先を食べるときにも、子供が食べやすいからな。覚えておいて損はない」



( ^ω^)「はいですお!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「さて、次はイトーイ流四大奥義が参」





ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「螺旋(ラセン)だ」





( ^ω^)「らせん……!?え、えらいシンプルな名称ですお」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「侮るなかれ。これはテクニカルな奥義だ」

33 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:17:04 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「まず、関節の端をとり除く。ここまでは先ほどまでと変わらん」



( ^ω^)「お!取り除けましたお!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「そのあと、骨を1本くるりとねじる。スッと抜けるだろ?」



( ^ω^)「おお、面白いお!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「そのまま残りの1本も抜き取るんだ。慎重にな」



( ^ω^)「お……お……抜けましたお……!!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「肉だけ食べる」



パクッ



( ^ω^)「……」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「……」



( ^ω^)「この奥義、屈折する喰人(クラウド)と一緒じゃ──」

34 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:19:00 ID:sR.GwSq2O





ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「アルテマ(アルテマ)」





( ゚ω゚)「アルテマ!?!?」

35 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:22:27 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「イトーイ流四大奥義が終さ」



(; ^ω^)「ああ、奥義名……って終!?四じゃなくて終!?」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「例によって関節の端をとり除く」



( ^ω^)「はい」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「手羽先を口にパックリくわえる」



( ^〇^)「ふぉあい」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「骨だけ抜き出す」



( ^~^)「もぐもぐ……」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「揚げたてであればよりキレイに食べられるぞ」



( ^ω^)「ごっくん……」



( ^ω^)「……」

36 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:23:14 ID:sR.GwSq2O
(*゚ω゚)「アルテマすげぇ!イトーイさんパネェお!」



ィ'ト―-イ、
以`-益-以「フッ……」



(,,゚Д゚)「……」



(,,゚Д゚)(全部、元祖焼き鳥屋の風来坊のウェブページに食べ方書いてあるんだよなぁ……)

37 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:24:13 ID:sR.GwSq2O
~~~



( ^ω^)「おいしかったお!面白い食べ方も教わったし、幸せだお!」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「そろそろメインディッシュといこうか」



( ^ω^)「お?まさか……」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「そう、主役は遅れてやってくるものさ」



( ^ω^)「ま、まさかっ……!」



(,,゚Д゚)(なんだ、何がくるんだ……)



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「大将──」



(-@∀@)「あー、ご飯ものっすね。なんにします?」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以



(,,゚Д゚)(先読み!?)



( ^ω^)(ポロロッカ並のスピードだお……!)

38 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:25:53 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以` 益 以「……君、浅井君といったな」



(-@∀@)「はい。なんすか」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「刻んだ」



(-@∀@)「はぁ」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「確かに刻んだからな」



(-@∀@)「なんにします?」



ィ'ト―-イ、
以`-益-以「愚問だ……とはいっても、貴様らにはわかるまい」



(-@∀@)(はやく言えよ)





ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「T・K・G」

39 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:26:47 ID:sR.GwSq2O
(-@∀@)「卵かけごはん一丁!」



(,,゚Д゚)「はいよ!」



ィ'ト―-イ、
以;゚益゚以「何!?」



( ^ω^)(これは僕にもわかったお)



(-@∀@)「西川さんはどうします?」



( ^ω^)「君って人間の扱い方に慣れてるおね。えーと……」



( ^ω^)「……!」



(  ω )「あるじゃないか」



(-@∀@)「は?」

40 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:29:24 ID:sR.GwSq2O
( ^ω^)「僕を本気にさせるサムシングが」



(-@∀@)(感染した)



( ^ω^)σ「これにするお。この……」





( ゚ω゚)「ウルトラ大盛りカツ丼!30分で完食できたらお連れ様含めその日の食事タダキャンペーン!!」





(-@∀@)(!)



(,,゚Д゚)(!)

41 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:32:36 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「大食いキャンペーン、か。限られたものだけが挑戦できる、ヴァルハラへの扉……」



(,,゚Д゚)「西川君……いや、西川さん。本当に後悔しないんだね」



( ^ω^)「侮ってもらっては困りますお。これでも僕、そこらの大食い選手権で残したことはないんですお」



(,,゚Д゚)「そう言って散っていった人を何人も見て来たよ」



( ‐ω‐)「弱かったんですお。強いものが生き、弱いものが死ぬ。自然の理だお」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「フッ……これも若さ、か」



(,,゚Д゚)「うちのウルトラカツ丼は、メニューに書いてある通り、ご飯10合、とんかつ30切れの規格外だよ」



(  ω )「……」



(,,゚Д゚)「怖気づいたかい?」



(  ω )「……ハッ」





( ^ω^)「それがどうした」




(,,;゚Д゚)「ッ!」

42 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:33:33 ID:sR.GwSq2O
ィ'ト―-イ、
以;゚益゚以(この男……先ほどまでのにやけ面な小僧とは違う)



ィ'ト―-イ、
以;゚益゚以(例えるなら侍。それも、有象無象のそれとは違う、本物の……サムライ……!)



(,,゚Д゚)(ご飯十合とカツ30切れ……文字で読むだけならまだいい。しかし、言葉にして耳から聞いたその『重み』に耐えるどころか……意に介さない)





((( ^ω^)))ブルル





ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以(ん……!?挙動がおかしい。震えている、のか……自身が放った傾きに、心が追いついていないのか……?)



(,,゚Д゚)(いや、まさか……これが、これこそが本当の──)



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以(武者震い……!)(゚Д゚,,)

43 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:34:18 ID:sR.GwSq2O
(  ω )「……イトーイさん、大将。安心してくださいお。この震えは、武者震いなんかじゃありませんお」



ィ'ト―-イ、
以;゚益゚以「な、なに……っ!?では、その震えはいったい……!?」



( ‐ω‐)「これは──」





(* ^ω^)「お手洗いですお///」





ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「大将、ホーリーグレイル」



(,,゚Д゚)「生中一丁!」



(-@∀@)「はーい」

44 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:35:16 ID:sR.GwSq2O
~~~

店外



\( ^ω^)/「トイレは外かおー、すっかり夜になっちゃったお……うーん、夜風が気持ちよくて、ちょうどいい気温だお~」



( ^ω^)(ん……?)



(*゚ー゚)
⊃\__/⊂
ヨイショ、ヨイショ



( ^ω^)(うわー、大きいお……あれは器だけでも相当な感じだおね。めっちゃ頑丈そうだお)



(*゚ー゚)ヨイショット



( ^ω^)(でもさすが、こういう仕事してるだけあって全然重そうじゃないお。力持ちだお)



( ^ω^)「手伝いましょうかお?」



(*゚ー゚)「よいしょ……あら、お客さん。大丈夫よ、ありがとう。この器って、ひとつしかないから、お客さんに持たせるの悪いわ」

45 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:36:06 ID:sR.GwSq2O
( ^ω^)「おー、それはそれは。お力になれず申し訳ないお。えっと、おかみさんだおね」



(*゚ー゚)「ええ。しぃって言います。よろしくね」



( ^ω^)「おっ!僕は内藤だお!」



(*゚ー゚)「あら?貴方たちの会話、少し聞こえてたけど、西川さんじゃなかったかしら」



( ^ω^)「おっおっ。職業柄偽名を使うことが多くて」



(*゚ー゚)「……あー、確かにあの人に本名を知られるのはちょっとねぇ……」



( ^ω^)「ハハハ、バレましたかお。内緒にしておいてくださいお」

46 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:36:58 ID:sR.GwSq2O
(*゚、゚)「んー、どうしよっかなぁ」



( ^ω^)+「大丈夫だお。おかみさんはきれいだお。きれいな人はつまらない嘘をつかないって相場は決まってるんだお」



(*゚ー゚)「あら、お上手ね。水商売の方?」



σ( ^ω^)「この顔で?」



(*^ー^)フフフ オッオッオ(^ω^ )



(*゚ー゚)「もちろん黙っておくわ。でもそのかわり約束してほしいの」



( ^ω^)「お?」



(*゚ー゚)「またうちに来てくださる?」



( ^ω^)「もちろんだお!上司がここのことを教えてくれたんだお。次回も一緒にくるお!」



(*゚ー゚)「フフ、ありがとう。そういえば、お連れ様の……上司の方かしら、まだ見えないわね」



( ^ω^)「おん……もうすぐ来るはずなんだけどお、まだこないお。時間にルーズな所長なんだお」

47 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:37:42 ID:sR.GwSq2O
(*゚ー゚)「それはそれは、大変ねぇ。うちは旦那と一緒にやってるからまだやりやすいけど」



( ^ω^)「いやいや。きっとおかみさんも苦労なさってるんでしょうお」



(*゚ー゚)「フフフ。あんまり上手なことばっかり言ってると、口説いちゃうぞ」



( ^ω^)「ご冗談お」



(*゚ー゚)「きれいな女はつまらない嘘をつかないんじゃなかったかしら?」



( ^ω^)「おっ、こりゃ参りましたお。僕はおしっこにいってくるから水に流してくださいお。また後で」



(*゚ー゚)「ふふ」

48 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:38:32 ID:sR.GwSq2O
~~~

店内



ィ'ト―-イ、
以*゚益゚以「遅い」ヒック



( ^ω^)「出来上がってますおね……」



ィ'ト―-イ、
以*゚益゚以「まったく、なぁ大将。この若造に言ってやれ。早寝早飯早糞は料理人の基本だって」



(,,゚Д゚)トントントン「いや、イトーイさんこの人料理人じゃないですよ」



ィ'ト―-イ、
以*゚益゚以「むー……なら奥さん。いや、ミセス」



(*゚ー゚)「なにかしら?」



ィ'ト―-イ、
以*゚益゚以「俺と一緒に食べロガーにならないか。手始めに君の女体盛りをレビューしたい」



(*゚ー゚)「嫌です」



ィ'ト―-イ、
以*゚益゚以「なんでだ!炎上させるぞ!ひっく!」



( ^ω^)(絡み酒かお……うっとおしいおねぇ……)

49 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:39:40 ID:sR.GwSq2O
(-@∀@)⊃「どうぞ、イトーイさん。僕からのおごりです」



ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ん……これは……?」



(-@∀@)「染まることない純真……といえば、わかりますか」



ィ'ト―-イ、
以`-益-以「……フッ、いただこう」



( ^ω^)(ただのお冷じゃねぇか)



(-@∀@)「西川さん」



( ^ω^)「お」




(-@∀@)b「憂いは絶ちました。頑張って」グッ



( ^ω^)(こいつほんと人間の扱いに慣れてんなおい)



(,,゚Д゚)⊃「はい、お待ちどおさま!出来たよ!」



( ^ω^)「おっ!来たおね!」



(*゚ー゚)「ウルトラとんかつ丼です!」

50 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:40:17 ID:sR.GwSq2O



ドーーーーンッ





 ./⌒⌒肉⌒ヽ
 (∵::::∴)
(∴肉肉肉肉肉∴)
(∴肉肉肉肉肉肉∵.)
(:肉肉肉肉肉肉:)
(∴肉肉肉肉肉肉∵.)
(∴肉肉肉肉肉肉∴)
\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
 \ξξξξξ/
  \___/
    ̄ ̄ ̄





( ^ω^)

51 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:41:20 ID:sR.GwSq2O
内藤は思い出していた。



かつて、ギネスに認定された日本一の大きいとんかつを提供する店を。



とんかつ7人前──1人前のとんかつの厚さおよそ5センチ=7人前およそ35センチ分──が覆いかぶさる最強のとんかつ。



それを記す品書きに、一瞬、誤植かと錯覚する飲食店では見慣れない金額──20,860円



極めつけは、ご飯 超大盛(死にます)などという限界まで突き抜けたそれ。



どれをとっても突き抜けているその姿勢に、なるほどギネスもうなずけると以前の内藤ならばうなずいたであろう。

52 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:42:05 ID:sR.GwSq2O
しかし、目の前にしているのはそれを上回る──宇宙。



ご飯10合、これは米1合あたりを重さ150グラムとしたとき、およそ1.5キロの重さとなる。



銀世界は鶺鴒の優しさに抱かれ、その上に降り注ぐダークマターの数、厚さは目測で7センチ、数にして30切れのそれが特異点を引き起こす。



総摂取カロリー、5000以上──成人男性の一日の平均摂取カロリーは2500である──。



むろん内藤はプロではない。本物の大食い選手は一食で万を超えるカロリーを摂取するのだ。上には上がいる。



しかし、今、まさに、近場で見ることができるという数奇な、それでいて神秘的な……



そう、ビックバンを起こそうとしていた。



(,,゚Д゚)⊃「今は……9時か。じゃあ、30分後の9時半までね。はいスタート」

53 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:42:52 ID:sR.GwSq2O
~~~

10分後



( ^ω^)人「ご馳走様でしたお」



それは、ビックバンではなかった。



全ての始まりであり、終わりである存在。



『無』である。



(*;゚ο゚)「えっ……たった、たった10分で……」



(-@∀@)「どうなりました?」



(,,゚Д゚)「ああ、浅井君か……見ればわかる……西川君が勝ったよ」



(-@∀@)「眼鏡が曇ってて見えないっす」



(*゚ー゚)「外せばいいじゃない」



( θ∀θ)「はい……おお、本当だ。米粒一つ残っていない」

54 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:43:41 ID:sR.GwSq2O
ここでいう、無とは、空になった丼を指す写実的なそれと、彼の主観的意識における時間の進み具合である抽象的なそれに分かれる。



感嘆の意というよりは畏怖か。大将含む三人はただただ、内藤が爪楊枝で戦後の処理を行っている様子を見つめているほかなかった。



そこには確かに相対性理論を無視したなにかがあった。彼の周りの時間はまさに止まっていたのである。



故に。



( ^ω^)「どうですかお、イトーイさん!これで僕のことも見直して……あれ?」



(*゚ー゚)「ああ、イトーイさんならさっきトイレに行ったわ」



( ^ω^)「え、見てなかったの」

55 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:44:36 ID:sR.GwSq2O
(,,゚Д゚)「むしろちょっと見て吐き気を覚えたんじゃないかな。けっこう飲んでたし」



( ^ω^)「あー、そういう。全然気づきませんでしたお」



(,,^Д^)「なんにせよ、おめでとう西川君。君はすごいな」



( ^ω^)「いえいえ。ところで、これで今日の食事はタダなんですおね?」



(,,゚Д゚)「もちろんだ。いやぁ、良い食べっぷりだった」



(  ω )「じゃあ」





( ゜ω゜)「追 加 注 文 し て い い で す か ?」

56 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:45:37 ID:sR.GwSq2O
~~~

さらに15分後



(* ^ω^)「ぷはぁ、食った食ったお!手羽先に魚に野菜に……いやぁ幸せだお!」



(-@∀@)「たまにいるんだよな……食べた後に腹減ったっていう奴」



(*゚ー゚)「あなた、明日の仕込みは……」



(,,゚Д゚)「言うな。これだけ旨そうにたくさん食べる人は今どき珍しい」



(,,-Д-)「今は……この感動に浸らせてくれ」



(*゚ー゚)(感染したか……)

57 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:46:26 ID:sR.GwSq2O
( ^ω^)「ん、そういえば……イトーイさん遅いですおね」



(,,゚Д゚)「そうだな、もう30分くらいはトイレにいる」



(-@∀@)「グロッキーっすね」



(^ω^ )「ちょっと様子見てきますお」



(*゚ー゚)「ごめんねぇ」

58 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:47:06 ID:sR.GwSq2O
~~~

店外


トイレ前



( ^ω^)「うわ、もう9時半だお……まったく、所長も遅いし、イトーイさんも戻ってこないし……」



( ^ω^)「イトーイさーん、おーい。おーい」



( ^ω^)「……おかしいお。イトーイさーん、大丈夫ですかぁ」



( ^ω^)「……酔いつぶれてますかぁ!?開けますよー!」



ガチャ



( ^ω^)「……いない」

59 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:47:58 ID:sR.GwSq2O
(^ω^ )≡( ^ω^)「どこ行ったんだお……?食い逃げかお」



( ^ω^)「ん?」



( ^ω^)⊃「このドア、ちょっと開いてるお。きっと、酔っ払ってここに入ったんだおね」



( ^ω^)「イトーイさーん!」



コツン



( ^ω^)「あれ、なんだこれ……バール……?」



( ^ω^)「あ」





ィ'ト―-イ、
以 益 以

60 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:48:48 ID:sR.GwSq2O
( ^ω^)「もう、イトーイさん、こんなところで寝てぇ。ここお店の倉庫っぽいですお?」



( ^ω^)「イトーイさん!」



( ^ω^)「イトーイさんったら──」












( ゚ω゚)「う、うわああああああああっ!」

61 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:50:06 ID:sR.GwSq2O
~~~

店内



≡( ゚ω゚)ダダダダダダッ!!



(*;゚ー゚)「あら西川さん、イトーイさんは……って、ど、どうしたのそんなに血相を変えて!?」



(-@∀@)「まさか食い逃げ!?」



(,,゚Д゚)「よし、浅井君。110番だ」



(  ω )「ハァハァ……ち、違うお。食い逃げじゃないお……!うおっ、気持ちわるっ……」



(,,゚Д゚)「浅井君、110番やめて119番!」



(-@∀@)「はい!」

62 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:50:43 ID:sR.GwSq2O
(;  ω )「ハァハァ……いや……110番も……しないといけないお……」



(,,゚Д゚)「はっきりしてくれよ。何があったんだ」





(  ω )「し──」






( ^ω^)「死んでるんだお、イトーイさんが」

63 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 13:51:44 ID:sR.GwSq2O
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【居酒屋事件簿のようです】



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