( ゚д゚)のある一日のようです

61 :名も無きAAのようです :2015/07/24(金) 16:52:25 ID:duXiLW/I0
以前、総合で投下したものの続きになります。

lw´‐ _‐ノvのある一日のようです

boonzone.web.fc2.com/day_with_sur.htm

2 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:23:35 ID:BbCUkrik0


 何でそうなったのか分からない。

 彼の抵抗がそいつには何の意味をなさない。
 そいつは彼の頭を掴んで床に叩きつける。
 叩きつけられた衝撃で彼の視界がブレる。

 そいつに馬乗りにされバタバタと子供が駄々をこねるように手足を動かすことしかできない。

「やめろ! やめ―――」

 彼の懇願を意に介さずそいつは掴んでいる頭を万力のよう締め上げるだけで、助けを求める声がうめき声に変わる。
 痛みに顔を苦痛で歪めながら、指の隙間から見たそいつの目は何の感情も感じない無機質な眼はどこか虚ろだ。
 そいつ眼を見ていたら恐怖で頭がどうにかなりそうだった。

「くひゅっ!」

 そいつは慣れた手つきで、彼の首に押し当てていた刃物で魚を捌くように動かした。
 首から噴き出す血と彼の掠れた声が静かな部屋に響く。
 手足がビクッと動き、だらりと床に落ち、そして吹き出した血が床に赤一色に染めていく。

「……」

 明滅する視界の中で見えたのは、そいつが持っているコンバットナイフが血に染まり床へと滴り落ちて血溜まりを作る。
 返り血が雪のように白い純白の和服の汚す。
 返り値を浴びてもそいつは表情を変えることなく、また何とも思わない冷たい双眸で物言わね彼を見下ろしていた。

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3 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:24:50 ID:BbCUkrik0

* * *

(;-д-)「ハァ、ハァ……夢か……」

 布団から飛び起きたミルナ・ディスウェイは部屋を見渡して何か異常が起きてないかを確認した。
 何もないことに安堵して、手で頭を抑える。

 息を荒げながら、ミルナは確かめるように首を手でおさえる。
 ほとんど無意識でしたことが、それでもミルナは首が何ともないと分かって安堵していた。

 夢のことを思い出すと背筋が薄ら寒くなる。
 体にまとわりつく汗と相まって不快指数は右肩上がりだ。

(;゚д゚)「着替えるか……」
 
 まだ薄暗い部屋からミルナは風呂場へと向かう。
 布団から敷布を剥がし、汗が染みついて体に張り付くシャツとパンツを脱衣場で脱ぎ、敷布と一緒に洗濯かごに放り込む。
 ミルナも扉を開けて風呂場に入り体にまとわりついている汗をシャワーから出るぬるいお湯で洗い流す。

 さっぱりとした気分で扉を開けて風呂場から出てきたミルナは、予め置いてあるタオルで体を拭き、棚を開け置いてある着替えを取り出してパンツを穿いてシャツを着る。

 部屋に戻ってきたミルナは壁にかけてある甚平を袖に通す。

 布団を綺麗に畳んで押し入れにしまい、薄暗い部屋を照らす光がカーテンから漏れている。
 カーテンを開いて、窓を全開に開ける。
 朝焼けの光が眩しい。


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4 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:26:09 ID:BbCUkrik0

 目覚ましがなる前に目を覚ますのは珍しい。
 何時もは目覚ましがしっかりと仕事をするのに、低血圧で目覚ましに頼らないと起きられないのがなんとも情けない話だと思うが、未だ改善の兆しが見られない。

 まだ目覚めきってない体を覚ますため、肩を回し、腕を突き上げて背筋を伸ばすことで血の巡りを良くする。
 体を伸ばした時に感じる痛みが心地良い。

::\( -д-)/::「んっ、んっ~、……今何時だ?」

 目覚まし時計に表示されている時間を見てげんなりした。
 普段から時間に余裕を持って起きられるようにしているが、あの悪夢のせいで何時もより早く起きることになってしまった。

 夢占いでは自身の死ぬ夢は変化が訪れるとされ、また早起きはするとこの国の諺で早起きは三文の徳という諺があるらしい。
 うじうじと悩むのは勿体無いと頭を切り替える。


( ゚д゚)グー

( ゚д゚)「……飯にするか、準備も昨日のうちに済ませたし」

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5 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:27:59 ID:BbCUkrik0

 どんな時でも鳴る自分の腹の虫に苦笑しながら、ミルナはお腹を抑えながら台所へと向かう。

 蛇口を捻って水を出し僅かに残っている冷たい水で眠気を飛ばしタオルで顔を拭く。
 炊飯器の炊飯のスイッチを押してから冷蔵庫を開ける。
 豆腐と大根等の味噌汁の材料、卵、漬けておいたおひたしを取り出す。

 事前に殆どの作業を済ませておいたので、豆腐と大根を切り鍋に入れる。
 鍋に出汁を張り、コンロに火をつける。煮立ったら味噌を入れひと煮立ちさせる。

 その間にネギを刻み、器に入れた卵を溶き少量の塩を入れ、温めたフライパンに油を入れてて全体に満遍なく広げ溶き卵を注ぐ。
  ジュワーっと卵の焼ける音を聞きながら、フライ返しで手早く形を整える。
  整え終えたらコンロの火を切って器に盛り付ける。

 蒸気口に湯気が見え始め、蓋を開け刻んだネギを刻み入れる。
 ネギが全体に行き渡るように混ぜたら、コンロの火を切る。

( ゚д゚)「味噌汁にネギは必要だからな」

 食器棚から器と箸を取り出し、玉子焼きとお浸し、鍋敷きを持って机に置く。
 あとはコンロに置いてある鍋を机に持っていく。
 後は机に並べて食べるだけ。

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6 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:29:44 ID:BbCUkrik0

「卵入れた?」


( ゚д゚)「卵? 今日は卵焼きだから味噌汁には入れない」

「そう、なら七味は?」

( ゚д゚)「……七味? 味噌汁にはあまり入れないぞ。入れるとしたら豚汁―――」

 ―――だろうと机に食器を並べているミルナの手が止まる。
 ちょっと待て、いま誰と話している?
 

lw´‐ _‐ノv「もうすぐ出来上がるんだろ。早く私に朝飯を食べさてくれ」


 そよ風のように優しい声が聞こえる。
 視線を感じ振り返る。
 春の匂いがした。

 開けっ放しの窓から吹き込む春の風に乗って桜の花びらが部屋の中に舞散る。

 ミルナは眼を見張った。
 肩まで届く黒髪のショートヘアが風に揺れ、色白でかわいらしい幼い顔立ちはあどけなさを感じさせる。
 新月の夜空を思わせる黒眼はと桜色の瑞々しい唇。
 

 凛とした佇まいが大和撫子を思わせる。
 風に揺らめくカーテンも引き立て役のようで、窓辺には目を逸らせない程の美しい雪のように白い純白の和服を着た少女がそこに立っていた。

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7 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:31:01 ID:BbCUkrik0

lw´‐ _‐ノv

lw´‐ _‐ノv「?」

 雪のように白い純白の和服を身に纏った少女が「どうかしたのか?」と不思議そうな表情で首を傾げてこちらを見ている。

(;゚д゚)

( ゚д゚ ) 

(;゚д゚)

 ミルナは驚きながら強烈な既視感を感じていた。
 何かの間違いだと思いたかった。
 それでもミルナは頭の片隅では理解していたがそれを認めたくはなかった。
 それほどまでに夢に出てきたアイツに似ているせいか背中が寒くて仕方なかった。

 炊飯器が米の炊きあがり知らせる音が聞こえる。
 目の前の光景に呆気にとられていたミルナはどうしたらいいのか分からなかった。

 
 そして何故口の端にあんこがついているのかが分からない。
 この異様な状況でもミルナは震える手で持っている食器を床に落として割らなかったことは賞賛されるべきだろう。

 唖然としているミルナを置いて、机の前に移動してちょこんと座る和服の少女が口を開く。

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8 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:32:11 ID:BbCUkrik0

lw´‐ _‐ノv「ご飯まだ?」

( ゚д゚)「はっ?」

 何でいるのか、どこから入ってきたのか、おそらく開けっ放しの窓からだと思うがそれでもいくつか疑問が残る。
 唖然としているミルナを置いて―――

lw´‐ _‐ノv「いい匂いに釣られて此処に来てみれば私が望んだ朝食の風景が此処にはあるじゃないか。これからご飯を茶碗によそって食べるんだろう? 熱々の味噌汁を飲みながら……、おお、これはお浸しじゃないか、さぁ私に炊きたての白いご飯を早く」

( ゚д゚)「……」

 朝飯をねだる和服の少女の表情は喜色満面で、目の前の光景に喜びを隠そうともせず目を輝かせている。
 
lw#´‐ _‐ノv「もういい、私がやる!!」

 我慢の限界を超えたのか和服の少女は棒立ちのミルナを通り過ぎて台所へと進んでいく。
 食器棚や冷蔵庫を開け、台所を散らかしている。
 何かが割れる音で我に返ったミルナの耳に、探しても見つからないことに業を煮やした和服の少女が「お櫃はどこだ!」と聞いてくる。

 散らかっていく台所を見ながら「一体誰がこれを片付けるんだ?」ミルナはボヤきながら和服が皺にならないように襟首を掴む。
 
( ゚д゚)「まったく炊飯器を知らないとはいつ時代の人間だ」

 散らかった台所の残状にうんざりしながらミルナは和服の少女を机に引きずっていく。

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9 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:33:19 ID:BbCUkrik0
 
lw´; _;ノv「何をする! さては私に飯を食べさせないつもりか! 後生じゃ、炊きたてのご飯と味噌汁を食べさせてくれ」


 嫌だ、嫌だと駄々をこねるその姿が子供のようだ。
 目を見張るような美しさと、引きずられる姿はミルナの中では結びつかない。
 なんか残念だ。

( ゚д゚)「配膳がまだ終わってないからそこでおとなしく待ってろ」

 足の踏み場もないほど散らかった台所に割れた茶碗を踏まないように足元に気をつけながら、もう一人分の食器を取り出す。
 それを机に持っていって和服の少女の前に置く。

 炊飯器の延長コードを限界まで引っ張り机の近くに寄せ、持ってきた味噌汁の鍋を置く。

 炊飯器の蓋を開けば、炊きたての香りが周囲を満たす。
 ミルナは慣れた手つきでしゃもじでご飯をかき混ぜる。炊きたての香りを敏感に感じ取った和服の少女の復活は早かった。

lw´‐ _‐ノv「おっ、おお~」

 炊きたてのご飯を和服の少女は食い入るように見つめている。
 そんなに腹が減っているのか、と思いながらミルナは気持ち多めに和服の少女の分をよそう。
 茶碗に盛られた白い山に和服の少女はうっとりとしている。

 自分の分を茶碗によそい、次に味噌汁をお椀によそう。
 和服の少女がご飯に奪われていた視線が味噌と出汁の香り敏感に感じ取り眼がそっちへと向く。

lw´‐ _‐ノv「味噌汁と葱の彩りが美しい……」

(;゚д゚)「……そ、そんなに腹が減っているのか?」

 ミルナがひもじい思いをしてたんだなと和服の少女の勝手なイメージを浮かべていると。

lw´‐ _‐ノv「ここに来る前に大義堂のたい焼き食べてきた」

( ゚д゚)「おい……」

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10 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:34:49 ID:BbCUkrik0

 あっけらかんと言う和服の少女に味噌汁をお椀によそうミルナの手が止まる。
 心配して損した、とミルナは味噌汁を多めに入れていたお玉を一旦鍋に戻して何時もより少なめによそってやる。
 お椀によそわれた少ない味噌汁を見て、和服の少女は不満を隠そうともせずミルナを見る。

( ゚д゚)σ「……今まで黙ってたが口の端にあんこが付いてるぞ」


∑lw´‐ _‐ノv


 そう指摘され、袖で口元を拭おうとするのをミルナが「ちょっと待て!」と慌てて止める。
 ティッシュを渡してそれで拭いてもらう。口元を拭っている和服の少女にミルナが呆れる。

( ゚д゚)「いきなり着物で拭こうとするな。和服が皺になって汚れるんだぞ……、よくそんな高そうな和服を雑に扱えるな」

 雪のように白い和服を指差すミルナの疑問に和服の少女はなんでもないように―――

lw´‐ _‐ノv「これは貰いものだ。だからこれの価値はよく分からん」

 それよりも早く食べさせろ、と話し強引に打ち切ってミルナを催促する。
 散らかった台所の残状を鑑みた考えた上で、てっきり一人でさっさと食べ始めるものだと思っていたミルナは、自分の準備が終わるのをじっと待っている和服の少女をみてその考えを改める。
 食べかけのご飯と味噌汁を机に置いて。

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11 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:36:11 ID:BbCUkrik0

( ゚д゚)「おかずが玉子焼きとお浸ししかない。おかずを分け合うことになるけどいいか?」

lw´‐ _‐ノv「別にいい、早く」

 別の皿に玉子焼きとお浸し分ける。
 机には豆腐と大根の味噌汁と玉子焼き、お浸しが机の上に並ぶ。
 
 じっと待っていても和服の少女は逸る気持ちは抑えられないのかどこかソワソワしていて落ち着きがない。
 焦ったって朝飯は逃げたりしない。
 それでは手と手を合わせ―――

lw´‐ _‐ノv「いただきます」(゚д゚ )


* * *

 味噌汁の風味と出汁を味わいながら食べ進めるミルナと対照的に、和服の少女は最初に炊きたてのご飯と味噌汁を味わいながら食べていた。
 堪能していたのも束の間、ご飯を食べていた和服の少女は違和感を感じ取ったのか固まった動かない。
 口に合わなかったのか? ミルナは一向に動かない和服の少女を見る。彼の視線に気づかない和服の少女は確かめるようにもう一度ご飯を口に入れる。
 違和感の正体が分かったのか、和服の少女は満面の笑みをミルナに向けた。

 笑みの理由が解らないが、和服の少女の口にあったらしい。
 よかった、と安堵する彼をよそに和服の少女は熱々の味噌汁を水でも飲むように飲んでいた。
 
.

12 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:37:11 ID:BbCUkrik0
 
 舌を火傷しないのか、ミルナはそんなことを思いながら味噌汁を啜る。
 料理が出来ない当初と比べて、自分のイメージ通りの味に仕上がっていること、この国に来て数年になるが、来た当初と比べれば雲泥の差がある。
 これも教授のお陰だなと思いながら、ミルナはもう一度味噌汁を啜る。
 ミルナは味噌と出汁の旨味を口いっぱいに味わう。 
 

lw*´‐ _‐ノv「味噌汁が美味いな。玉子焼きもふんわりと焼けていて、お浸しも出汁をよく吸っていい塩梅だ。炊きたてのご飯も相まって箸が進む」

( -д-)「それはどうも……」


 自分が作った料理を美味しい、美味しいと言って食べている和服の少女。
 人に料理を振る舞うのは初めての経験だ。
 嬉しさと戸惑いが入り混じった感情にミルナは戸惑っていた。

 空になった茶碗を持って、机近くに置いてある炊飯器の蓋を開けごはんをよそう。
 お代わりをしているミルナを見ていた和服の少女は「私も」とミルナに茶碗を差し出して、見てたなら自分でよそえと思いながら渋々といった感じでミルナは茶碗にご飯をよそう。
 
 茶碗に盛られているご飯を見つめる表情はうっとりとしていた。

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13 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:38:50 ID:BbCUkrik0

 それから何度かご飯をお代りした和服の少女は、味噌汁、お浸し、玉子焼きと食べ進めていく。
 先ほどとは打って変わってご飯をかっこむように食べる和服の少女のが手が止まる。 

lw;´ _ ノv「んっ、んんん」

 和服の少女のうめき声を聞いたミルナは何があったのかとそこに目を向ける。
 胸を押さえて苦しんでいる和服の少女の顔が青い。
 どうやら食べ急いたのが原因で喉につまらせたらしい。

( ゚д゚)「……ほらお茶だ」

 言わんこっちゃないと思いながらミルナが湯呑に注いだお茶を差し出すとひったくるように奪い取って一気飲みする。

lw;´ _ ノv「ゴホッ、ゴホ」

 喉に詰まったものを無理やりお茶で流し込む。
 喉の詰まりから解放されても、まだ息苦しいのか和服の少女は咽てるのを尻目にミルナは弁当の分が残っているかを炊飯器の蓋を開けて中を確認していた。

lw´‐ _‐ノvっ「おかわりを」

( ゚д゚)「そんなものはない」

lw´‐ _‐ノv「え?」
 
 さっきお代わりしたばっかりなのにもう食べ終わったのかと内心で呆れる。
 いつの間にか復活した和服の少女が差し出す空の茶碗を見ず、ミルナは炊飯器の中を見ていたままを答える。
 ミルナの言葉にそんな馬鹿な、と、この世の終わりのような表情の和服の少女の食欲の旺盛さに呆れながら、炊飯器の蓋を開けて中が分かるように和服の少女に見せる。

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14 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:40:07 ID:BbCUkrik0

( ゚д゚)「よく見ろ、お釜の中は米粒一つも残ってないぞ」

lw´‐ _‐ノv「私の分がないだと……」

( ゚д゚)「もともとお前の分なんて存在しない。……ったく、四合炊いたんだぞ。ああ、殆どのおかずも食べられてる」

 これはもう今日の昼飯は学食で食べなければならない。
 慌ただしく食べる昼飯よりは、静かな所でのんびり食べたいのだ。
 
 そんなことを考えながら食器を片付けるために席を立とうとしたその時―――


ヒュッ ( ゚д゚)


 何かがミルナの頬を掠め、ストンッと腰が抜ける。


lw´‐ _‐ノv
    ⊂彡

タラー (¬゚д゚)

 頬と触ると痛みが走る。
 確かめるように手を見ると血が付いていた。
 腰が抜けて立てなくなったミルナに追い打ちをかけるように、和服の少女がミルナめがけて空の茶碗が投げつける。

.

15 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:41:33 ID:BbCUkrik0


lw´‐ _‐ノv       ー二三□      Σ(゚д゚ ) 
     ⊂彡


(;゚д゚)「うぉっ」

 腰が抜けたてない状態で茶碗を避けられた自身の反応の速さに驚きながら、後方から茶碗の割れる音が響く。
 和服の少女が机から乗り出すようにして箸をミルナに向かって突き立てる。

lw#´‐ _‐ノv「ていっ!」

(;゚д゚)「うおっ、危ねぇ! 箸で目潰しとか危ないだろうお前!!」

lw#´‐ _‐ノv「ちぃ、外したか! なら」

 これで、と。
 和服の少女が机を飛び越えミルナに向かって飛びかかってくる。
 和服の少女は、少女の力とは思えない程の力で頭を掴まれ、どうすることも出来ないまま床に叩きつけように押し倒される。
 叩きつけられた衝撃でミルナの視界が歪む、和服の少女はミルナに逃げられないように馬乗りになる。

 和服の少女にマウントポジション取られても、掴まれてる手を両手で引き剥がそうと抵抗してもなんの意味もなかった。

(;д)「……なんつう馬鹿力だよ」

lw#´‐ _‐ノv「さぁ、私に炊きたてのご飯を」

(;д)「だからねえよ!」

lw#´‐ _‐ノv「だったら今すぐ作れ!」

 お前は炊飯器の中をちゃんと見てないのかよ、そして応じないなら力づくか、押し倒しておいて飯作れとかいったいどういう神経してるんだ、と胸中で毒づくミルナ。

.

16 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:43:50 ID:BbCUkrik0

(;д)「だれか助けてくれ!」

lw´‐ _‐ノv「作る気はないか、なら……」

 大声で助けを呼ぼうとす叫ぶミルナを見た和服の少女はどこか残念そうに「作る気はないのか」と和服の少女はミルナには聞こえない小声で言うと、頭を掴んでいた手を離して後ろに隠す。
 この状態から解放されると思って安堵していたミルナの予想を裏切る物が、和服の少女が後ろ手から取り出した物を見たミルナは全身から血の気が引いていくのを感じた。


lw´‐ _‐ノvっ=iニ二ニ二フ + キラーン


(;д)

 怪しく光る刃物を持った少女は笑う。
 物騒な刃物は今朝夢で見たものと形が似ている。

(;゚д゚)「そんなもん何に使うんだよ!」

lw´‐ _‐ノv「え? これで無礼者の首を裂こうと……あっ、間違えた」

(;゚д゚)「何とだよ?!」

 ミルナの問に物騒な答えが返ってくる。
 和服の少女が持つコンバットナイフが日の光を受けて鈍く反射する。 
 あんなのに刺されたら無事じゃすまない。

 和服の少女がコンバットナイフをまじまじと見つめ考え込んでいる。
 何と間違えたんだ、と疑問が頭を駆け巡る。

lw´‐ _‐ノv「……まあいいか」

 どうやら和服の少女の中で悩みは自己完結したらしい。

(;゚д゚)「ちっとも良くない! 誰か助け―――」

.

17 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:45:03 ID:BbCUkrik0

 そう叫びたかったが、最後まで言うことができなかった。
 和服の少女がミルナの首に刃を押し当てられ、それ以上喋るなと首に刃を喰いこませる。
 このまま喰い込ませた刃を横に動かせば首から血が噴き出してミルナが夢のとおりになる。

 なのに。

(;д)

 ミルナは抵抗出来なかった―――しなかった。
 和服の少女に魅入っていた。いまにも自分が殺されるかもしれないというのに、ミルナは指の隙間から見える新月の夜空を思わせる黒眼から眼を離すことが出来なかった。
 光すら飲み込むその黒眼から。
  
* * * 

 救いの神が存在するならそいつは絶対遅刻魔なんだろう。
 玄関を開けて入ってきたのは救世主―――ではなく後輩のまたんきが怒鳴り込んできた。
 隣の騒ぎを聞きつけて駆けつけてきたらしい。

(・∀ ・#)「うるせぇぞミルナ! こんな朝っぱらから何を騒いで―――」

(;゚д゚)「またんき助けてくれ」

lw´‐ _‐ノv「……っ」

(・∀ ・)「……」

 玄関扉から入ってきたの闖入者を見つめる和服の少女の眉根が少しだけ動いたように見えた。
 乱入してきたまたんきとシュールを交互に見るミルナのことは眼中に入ってないのか、互いに見つめる彼等を見ていたミルナはふと我に返った。

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18 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:46:57 ID:BbCUkrik0

 ミルナは和服の少女に押し倒されている―――この痴態を傍目から見ればこの状況はどう映る?
 騒ぎを聞きつけて駆けつけたまたんきはこの状況を正しく理解できるのだろうか。
 ひょっとしたらあらぬ誤解をまたんきがするかもしれない。

 それでも、大事なのは恥よりも命。

(;゚д゚)「またんき助け―――」

 希望的観測になるが、一歩間違えば死ぬかもしれないこの状況なら、駆けつけてきたまたんきは分かってくれると、様子をうかがうようにこっちを見ているまたんきを信じるしかない。


* * *

 しかし現実は―――。


(;∀ ;*)「何の騒ぎと思ってきてみれば、プッ、ククク……もう無理」

 
 またんきは笑いを堪えているが、堪えきれない部分が体の震えと現れている。
 我慢の限界を超えたまたんきはミルナの痴態を抱えて大笑いし、ミルナが必死に助けを求めても、またんきには滑稽にしか映らない。
 笑いすぎて悶え苦しみ、目に涙を浮かべているまたんきにミルナは、今すぐ自由になれるならまたんきに「お前は一体何しにここに来たんだ」と小一時間問い詰めたかったがそれも叶わない。

(・∀ ・)「……」

(;゚д゚)「……」

 人の家の玄関で抱腹絶倒しているまたんきをミルナは冷ややかな眼でみつめ、和服の少女は突如現れた闖入者をジッと見ている。
 二人に見られていることに気付かないまたんきは、笑いすぎて息苦しいのか息が荒くなっている。
 ようやく落ち着いてきたのか、またんきは目に浮かべていた涙を指で拭い、ポケットからスマートフォンを取り出したまたんき何を思ったのかミルナの痴態を撮影し始めた。 

.

19 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:48:43 ID:BbCUkrik0

([◎  ]・) パシャ、パシャ

(;゚д゚)「え? おい、またんき何を―――」


 している?
 とは言えなかった。

 怒鳴り込んできて、大笑いした挙句、友人が首にコンバットナイフを突きつけられ今にも殺されそうだというのに、助けようともしないで撮影しているまたんきの無神経ぶりに呆気にとられていた。
 言葉も出なかった。
 何も言えないでいるミルナを尻目にシャッターを切っていたまたんきは嫌味をたっぷりな含ませた声音で話し出す。


(・∀ ・)「ミルナ~、……お前ロリコンだったんだな」

(#゚д゚)「またんきそれは誤解だ! お前には首に突きつけられてるコンバットナイフが見えないのか!」 

(・∀ ・)「分かってる、分かってる、そういうプレイなんだろ」


 刃物プレイって何だよと思いながら、助けもしないでスマホで撮影しているまたんきにミルナは怒っていた。 
 声高に「お前はこの状況が分からないのか!」や「お前の目はは節穴か」と罵詈雑言並び立ててミルナはまたんきに怒鳴り散らしたかった。

.

55 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:50:24 ID:BbCUkrik0
 
(・∀ ・)「今撮影したこの画像を第三者が見ればどう思うだろうな?」

(;゚д゚)「誰がどう見ても襲われているようにしかみえないだろ!」

(・∀ ・)「そうだろうな。ちょっと画像を加工して、嘘八百並べ立ててSNSに上げればどうなる?」
 
(;゚д゚)「鬼かお前は!」


 そんなことされたら確実にミルナの大学生活が終わる。
 スマホを手に持って遊ばせているまたんきは愉快そうに嘲笑っている。


(・∀ ・)「流石にそこまでのことはしないさ、責任負いきれないからそこまでするつもりはない。
      だが俺に隙を見せたお前が悪い、俺は誂えるネタを手に入れた。授業料だと思って―――」ヒュッ


lw´‐ _‐ノv
    ⊂彡


(・∀ ・¬)「え?」タラー


lw´‐ _‐ノv「話が長い」

21 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:51:00 ID:BbCUkrik0

 それまでまたんきをずっと観察していた和服の少女は長々と話しているまたんきを黙らせた。
 頬を掠めるように投げられた棒手裏剣によって。
 何が起こったのかまたんきには理解できず、糸が切れた人形のように地面にへたり込む。
 恐る恐るといった感じでまたんきは頬に手を当てている。


::(∀ ;)::「―――これ? 何だこれ?! 着いてる。手のひらに血が着いてる。血が、血が……」

lw´‐ _‐ノv「またんきと言ったな童? 手管、搦手は老獪な人間がやることだ。若いうちに覚えることじゃない」

::(∀ ;)::「あっ、あっ、あ」

lw´‐ _‐ノv「そして私は今は虫の居所が悪い。童がそこで大人しくしているなら何も言わない。ただ―――」

 
 邪魔はするなよ?
 脅すような低く冷たい声ではなく、何の感情も感じさせない平坦な声。
 新月の夜空を思わせる双眸がまたんきを射抜く。  

 声に驚いたまたんきは、ひっ、と悲鳴を上げた。
 へたり込んだまま立とうとせず、恐怖からなのか震える体を抱いている。
 へっぴり腰で立とうとしたまたんきは足を縺れさせながら逃げるように玄関から出ていった。


( ゚д゚)「……」


.

22 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:51:58 ID:BbCUkrik0

 それまでまたんきをずっと観察していた和服の少女は長々と話しているまたんきを黙らせた。
 頬を掠めるように投げられた棒手裏剣によって。
 何が起こったのかまたんきには理解できず、糸が切れた人形のように地面にへたり込む。
 恐る恐るといった感じでまたんきは頬に手を当てている。


::(∀ ;)::「―――これ? 何だこれ?! 着いてる。手のひらに血が着いてる。血が、血が……」

lw´‐ _‐ノv「またんきと言ったな童? 手管、搦手は老獪な人間がやることだ。若いうちに覚えることじゃない」

::(∀ ;)::「あっ、あっ、あ」

lw´‐ _‐ノv「そして私は今は虫の居所が悪い。童がそこで大人しくしているなら何も言わない。ただ―――」

 
 邪魔はするなよ?
 脅すような低く冷たい声ではなく、何の感情も感じさせない平坦な声。
 新月の夜空を思わせる双眸がまたんきを射抜く。  

 声に驚いたまたんきは、ひっ、と悲鳴を上げた。
 へたり込んだまま立とうとせず、恐怖からなのか震える体を抱いている。
 へっぴり腰で立とうとしたまたんきは足を縺れさせながら逃げるように玄関から出ていった。


( ゚д゚)「……」


.

23 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:52:56 ID:BbCUkrik0
 
( д)「……な」

lw´‐ _‐ノv「ん?」
  
(#゚д゚)「巫山戯んなまたんき!」


 ミルナは駄々をこねる子供のようにジタバタと体を動かした。
 ミルナの思いもよらぬ行動に驚いた和服の少女はバランスを崩す。 

lw;´‐ _‐ノv「あっ、こら、暴れるな」

 倒れないように踏ん張っていた和服の少女は、ミルナに向かって倒れ込む。

 ミルナは忘れいた。
 自分の状況を、和服の少女は抜き身のナイフを持って馬乗りになっていることを。
 その状態でミルナが暴れれば和服の少女がバランスを崩すことを。


「あ」


 和服の少女とミルナの声が重なる。
 黒光りする刃が日の光に反射して妖しく光る。 
 ミルナが「あっ、死んだな」と思い恐怖から目をつむる。
 命を刈り取るコンバットナイフがミルナめがけて振り下ろされ―――。

.

24 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:54:12 ID:BbCUkrik0

* * *

 ガンッ、と何かが床に刺さった音が静かな部屋に響く。
 そしてミルナに伸し掛かって重さは消えた以外の異常は何も感じなかった。
 恐る恐る、瞑っている目を開ける。

(;-д-)

(;゚д゚)

 薄っすらと目を開けて、視界には馬乗りになっていたはずの和服の少女の姿は消えていた。
 助かった、と疲れを吐き出すような溜息をこぼすミルナ。
 なんの気無しに首を横に向けると、床に深々と刺さっているコンバットナイフが見えた。
 これが自分に刺さらなくて良かったと安堵する。

(;゚д゚)「何だったんだ一体」

 和服の少女との出会いを夢だと思いたかった。
 夢なら醒めてくれ、と心から願った。
 ミルナの願いは天に届くことはなく、だるい体を起こして床に刺さっている少女の忘れ物であるコンバットナイフを床から抜く。

 手に持つとコンバットナイフの重さとズシリと感じる。
 壁に刺さっている棒手裏剣を抜く、助けもしないで取るだけ撮って帰っていたまたんきの顔が浮ぶ。

( ゚д゚)「またんきめ、覚えてろよ」

 少しでもまたんきを信じた自分が恨めしい。
 そんな苛立ちからミルナはコンバットナイフを無意識に握りしめていた。
 生まれて初めてのコンバットナイフなんて物を持ったのに、妙に手に馴染む感覚が気持ち悪かった。

 それを机に置いて、和服の少女が足の踏み場もないほど散らかした台所の後片付けをした。
 本当は今すぐにでもコンバットナイフなど捨てたかったが、そうすることはなぜか憚られた。

.

25 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:55:48 ID:BbCUkrik0

( ゚д゚)「(……でも)」


 思ったことを頭から追い出すように振り払う。
 またあの和服の少女と会うことになる、と確信めいた予感が頭から離れなかった。

 早起きは三文の徳という諺は一体何だったのかと思いながら、台所の片付けに勤しんでいたミルナは何気なく見た時計を見た。大学に行く時間を過ぎていることに気づいたミルナは慌てて甚兵衛から私服に着替えて家を出た。
 隣の202号室に住んでいるまたんきが居れば、嫌味の一言くらい言いたかったが既に居なかった。

 床や壁に刺さったナイフの痕を大家さんにどう説明すればいいのかミルナの頭を悩ませる。
 和服の少女、またんき、悩みが増えていくばかりでミルナは頭が痛くなってきた。

* * *

 自宅から大学への道のりは遠くないが足取りが重い。
 山間にある創大はまだ春季休講中だが、提出物があるため大学に顔を出さないわけには行かなかった。
 
 行方知らずのまたんきのことを思うと気が気でない。
 SNSにアップされてるかもしれないと不安になるが怖くてスマホを見ることができない。
 キャンパス内に咲く桜が風に揺らめいているが、今のミルナは風に揺られてる桜の気ままさが羨ましくて仕方なかった。

 出すもの出して早く帰ろうとミルナはこそこそとキャンパスを通り抜ける。
 民俗学科が入っている棟を目指す。

( ^Д^)「あれ、ミルナ?」

(;゚д゚)「うぉっ!」

 泥棒のようにこそこそと構内に入ろうとするミルナに誰かが声をかける。
 それに驚いたミルナが体を硬直させる。

.

26 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:56:56 ID:BbCUkrik0

(;-д-)「何だプギャーか……、驚かせるなよ」 

( ^Д^)「驚くも何もお前が勝手に驚いたんだろう。俺は普通に声をかけただけだぞ。そっちこそ何をこそこそしてんだよ。何かやらしたのか?」

 またんきに弱みをにぎられてます。とは言えないミルナ。

( ゚д゚)「今日は課題を出しに来ただけだ」

( ^Д^)+「俺はもう出した」

( ゚д゚)「別に凄いことじゃないだろう」

 ドヤ顔のプギャーをバッサリと斬ったミルナは大学の構内をプギャーと歩いていた。
 
( ゚д゚)「プギャー、大学で何か変わったことは無かったか?」

( ^д^)「変わったこと?」

 友人を疑ってかかることは心苦しいが、今は少しでも情報がほしい。
 プギャーのう~んと考え込む仕草から鑑みるに何か変わったところはないらしい、既に画像の事を知ってて黙っている可能性も考えられるが、そればかりを気にしてられない。


( ^Д^)「変わったことで言えば……またんきを見たぞ」

( ゚д゚)「またんきを?」

( ^Д^)「ああ、見たといっても遠くからだが……、逃げてる感じがしたぞ」


.

27 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:58:01 ID:BbCUkrik0

 プギャーからもたらされた情報によるとまたんきはいまキャンパス内にいるらしい。
 何故逃げてるかは分からないが、むしろミルナがまたんきを追い掛け回したい。
 またんきがキャンパス内にいるのは都合がいい。


( ^Д^)「あいつ何かやらしたのか?」

( ゚д゚)「大方レポート未提出で母者教授の怒りを買ったのかも」 


 プギャーの疑問を適当に返したミルナの答えに納得したのか、そうかもなと頷くプギャー。
 そうこうしているうちにカーチャン教授が居る準備室の前に付いた。

( ゚д゚)「カーチャン教授に課題を出してくるから待っててくれ」

( ^Д^)「ああ、分かった」

 プギャーに待っててもらうように頼んで教室の中に入っていく。


* * *

J( 'ー`)し「あら、ミルナ君いらっしゃい」

( ゚д゚)「失礼します教授……カウ先輩?」
  

 準備室にはどうやら先客が居たようだ。
 その特徴的な姿はミルナのよく知る人物だった。

.

28 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 02:59:42 ID:BbCUkrik0

||‘‐‘||レ「あらミルナじゃない、カーチャン教授に用なの?」

 
 カウ先輩と呼ばれる女性は晴れ渡る晴天の空を思わせる青色の眼がミルナを射抜く。
 カウガールファッションに身を包むカウ先輩は、他とは違ってグラビアアイドルが着るような水着みたいな格好だ。
 只でさえ目のやり場に困るのに、カウ先輩は出るところが出て、締まるところは引き締まってる、所謂ボン、キュッ、ボンであり誰もが羨ましがるスタイルと美貌を持っている。
 特に男子学生には目の毒だ。


( ゚д゚)「用と言ってもすぐに終わりますカウ先輩。課題を出しに来ただけなので」


 鞄から春季のレポートを出したミルナはレポートをカーチャン教授に手渡す。
 レポートを受け取ったカーチャン教授はいつもミルナ君が一番ね、と微笑む。
 失礼しましたとミルナは教室から出ようとする。


J( 'ー`)し「ちょっと待ってくれないミルナ君? カウちゃんにも話したんだけど、二人共私の助手になってくれないかしら?」

||;‘‐‘||レ「ちょっ、教授」


 声をかけられたミルナは振り返る、微笑む教授と慌てた様子のカウ先輩。


( ゚д゚)「助手ですか?」

J( 'ー`)し「助手といっても、雑用なんだけどね。二人ばかり欠員が出たのよ」

||‘‐‘||レ「ほら、もうあの時期でしょ? 教授と私一人じゃ人手が足りないのよ」

( ゚д゚)「……あれですか」

||-‐-||レ「そう、あれよ」

29 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:00:38 ID:BbCUkrik0

 ミルナが言おうとしたことをカウ先輩が被せる。
 春季休講が開ければ、創大に新入生が入ってくる。
 カーチャン教授は毎年希望者にゴールデンウィークに特別講義を行うのだ。
 もうそんな時期なのかと思うが、生憎ミルナは都合が悪かった。


( -д-)「申し訳ありません教授、私は予定の都合がつかないのでお断わりいたします」


 ミルナはそう言ってカーチャン教授に頭を下げる。
 カーチャン教授の頼みを断るのは心苦しいが、安請け合いをして迷惑をかけてしまうのは忍びなかった。
 そう、とカーチャン教授はそれだけ言って黙り込む。
 重苦しい雰囲気が準備室を包むが、それを察したカーチャン教授が慌ててフォローの言葉を口にする。
  

J( 'ー`)し「ミルナ君のせいじゃないのよ。掲示板に貼って、今から募集をかけるしかないわ」

( ゚д゚)「集まるんですか?」

J( 'ー`)し「……望みは薄いかも知れないわ。でもこれは私の意志でしていることだから、施設を貸してくれる大学側にあまり迷惑をかけたくないのよね」


 溢れる本音。
 なんとかカーチャン教授の助けとなりたいが、ミルナ自身都合が悪い。


( ゚д゚)「お断りした私が言うのもおかしいですが、私の方でも声をかけてみます」

J( 'ー`)し「そう? 助かるわ」

( ゚д゚)「お力になれず申し訳ありません」


 居たたまれなくなったミルナは、カーチャン教授に失礼しましたと告げて逃げるように準備室から出ていった。

.

30 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:03:11 ID:BbCUkrik0

* * *

( ^Д^)「遅かったな?」

( ゚д゚)「……ああ、ちょっと話し込んでた」


 準備室から出てきたミルナにプギャーは声をかけるも、ミルナの言葉はどうにも歯切れが悪い。
 明らかに気落ちしているミルナに準備室で一体何があったのだろうか。


( ^Д^)「何かあったのか?」

( ゚д゚)「……ほら、もうすぐ『カーチャンゼミ』だろ」

( ^Д^)「ああ、懐かしいな。カーチャン教授の講義は面白いが特に新入生対象の―――通称カーチャンゼミ。
       きっかけは学生の講義の出席率が良くないことを嘆いたことが始まりだったけ?
       カーチャン教授が『学生の本分を忘れ、自堕落に過ごしているからだ』とか言い出して、学生を巻き込んで家事の仕方、
       学生の心得を徹底的に叩き込んでたな。受けて分かったがいかに俺が親の脛を齧ってたかを思い知らされたよ。
 
       特に変わったのはゼミ当初たどたどしい日本語しか喋れなかったお前が、いまではファストフードよりも和食を愛し、
       着物や甚平を着たりして骨の髄までこの国の文化に馴染んでるもんな」

( -д-)「右も左も分からなかった俺からすれば本当にありがたかったよ」


 周りが見ず知らず人間ばかりで、どうすればいいか分からなかったミルナに声をかけたのはカーチャン教授だった。
 あの特別講義があったからこそ、いまのミルナがある。

.

31 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:04:57 ID:BbCUkrik0

( -д-)「カーチャン教授には感謝してるよ」


 俺もだとプギャーが相槌をうつ。
 それから話に花を咲かせながら廊下を歩く。

 購買で飲み物を買うことにしたミルナは、何を飲もうかと自販機とにらめっこしている。
 ミルナが何か飲むかと聞くが、プギャーはいらないと首を横にふる。
 買うのを飲まっている間にいじっていたスマホから着信音が鳴った。


( ^Д^)「ん、電話か、もしもし?」

『プッ、プギャーか?』

( ^Д^)「またんきか、さっきお前が走ってるのを見たけどどうしたんだ一体?」


 電話の相手はまたんきらしい。


『たっ、助けてくれプギャー、鎌を振り回す和服を着た少女に追い掛け回されてるんだ』

( ^Д^)「はっ? お前母者教授を怒らせたんじゃないのか?」

『母者教授だったほうがどれだけマシか―――うぉ、投げてきやがった』

 電話から漏れ聞こえるまたんきの焦りようから、ひどい目にあっているらしい。
 ザクッ! と何かが刺った音が聞こる。
 またんきの悲鳴が聞こえた直後、通話が切れた。

.

32 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:06:13 ID:BbCUkrik0

(;^Д^)「おい、またんき!」

 プギャーが呼びかけるがスマホからはツー、ツーと無機質な音が聞こえるだけでまたんきから返事がない。

(;゚д゚)「あいつどうかしたのか?」

(;^Д^)「どうも鎌を振り回す女の子に追いかけられてるらしい」

(;゚д゚)「はぁ?」

 ミルナの呆けた声がでる。
 意味が分からない、何をしたらまたんきは少女に追われることになるのか。

 あいついったい誰の怒りを買ったんだ?
 プギャーが呟く横でミルナは家で起こったことを思い出していた。
 何時の間にか居て、何時の間にか居なくなった神出鬼没の和服を着た少女のことを。
 最初は白昼夢かと思ったが、散らかった台所、机に置かれた空の器、壁にナイフが突き刺さり、床に深々と刺さったコンバットナイフが思い出されて首に当てられていたコンバットナイフの感触が思い出され首筋が薄ら寒くなる。
 
 夢ではないことが明らかだった。
 
(;^Д^)「……とりあえずまたんきを探そうか」

(;゚д゚)「あっ、ああ」

「ちょっと待って」

.

33 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:07:09 ID:BbCUkrik0

 またんきを探そうとした二人に声がかけられる。
 振り返ると走ってきたの息を切らしたカウ先輩が立っていた。
 
||‘‐‘||レ「カーチャン教授の前では聞けなかったから、いま聞きたいんだけど」

( ゚д゚)「はい、なんでしょう?」

 すごい迫力で迫ってくるカウ先輩にミルナは怯む。

||-‐-||レ「説明するより見てもらったほうが早いわね」

 そう言ったカウ先輩は豊かな胸元からスマホを取りだして、慣れた手つきで操作している。
 動かしていた手が止まり、カウ先輩はある画像をミルナに見せる。
 誘導されるようにスマホを見たミルナが絶句するのと、興味を持ったプギャーの呆気にとられる声が聞こえる。 

||‘‐‘||レ「たんきから送られてきたんだけど、ミルナで間違いないよね?」


(;^д^)

( д)


 ミルナの痴態をカウ先輩に知られ、笑いを堪えるのに必死なのか肩が震わせるプギャー。
 笑いを堪えるくらいならいっそ笑い飛ばしてくれたほうがよかった。
 そんなプギャーをよそにカウ先輩は真剣な目つきでミルナを見る。
 明らかに誤解をしているのだが、正直に話して分かってくれるかどうか不安もある。

 話さなければ何も始まらない。

( -д-)「経緯を聞いて、カウ先輩がどう思うかは分かりませんが、俺は嘘偽りなく正直に話します」

 笑いを堪えるのが辛くなってきたプギャーと固唾を飲むカウ先輩たちを見たミルナは口を開いた。


.

34 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:08:09 ID:BbCUkrik0

* * *

( ゚д゚)「―――というわけです。カウ先輩」

||‘‐‘||レ「そういう訳ね」

 カウ先輩に事の仔細を一字一句漏らさず説明した。
 傍から見ると修羅場の中で必死に釈明するダメ男みたいだが、生憎色恋沙汰に疎いミルナは気付いていない。
 カウ先輩の顔色を伺うも無表情で、感情を読み取らせてはくれない。
 ダメっだたかと項垂れるミルナを見たカウ先輩の表情が柔らかいものになる。

||-‐-||レ「分かってたわよ」

( ゚д゚)「え?」

||‘‐‘||レ「たんきから送られてきたメールを見たけど、これどう見ても襲ってるというより、襲われてるの間違いじゃないの?」

 呆気にとられるのミルナを尻目にカウ先輩は堪えきれなくなったのか笑い出す。
 
( ゚д゚)「カウ先輩?」

||;‘‐‘||レ「ああ、別に馬鹿にしてるわけじゃないのよ」

 ミルナを宥めるカウ先輩。
 自分の痴態を他人に知られて項垂れるミルナをいじめてるみたいだと苦笑するカウ先輩はことの経緯を話し出す。

.

35 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:09:18 ID:BbCUkrik0

* * *

 駐輪場に専用スペースで牛のブラッシングをしていたカウ先輩に声がかけられる。

(・∀ ・)「カウ先輩」

||;‘‐‘||レ「ひゃっ!」

 牛の手入れに夢中になっていたカウ先輩こと狩野上枝(かりのほずえ)は唐突に名a前を呼ばれたことに驚き、非難するように目つきでカウ先輩は振り返る。

||;‘‐‘||レ「何だ……たんきじゃないか驚かさないでくれ、ところで何ださっきのメールは? 写真に写っているのはミルナじゃないか?」

 スマホの画面をまたんきに向け、何があったと理由を聞くカウ先輩。
 待ってましたとばかりにまたんきはうれしそうに話し出す。


(・∀ ・)「そうなんですよ先輩、ミルナがいたいけな少女を襲ってたんですよ」

||‘‐‘||レ「はっ? 意味がわからんが……」 


 スマホの画像をどう見てもカウ先輩には襲うというより襲われてるようにしか見えない。

 
(・∀ ・)「察しが悪いですねカウ先輩」


 馬鹿にされたと感じたカウ先輩はムッとしてまたんきを睨む。

.

36 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:14:30 ID:BbCUkrik0

(・∀ ・)「そんな怖い顔して睨まないでくださいよ。カウ先輩これをネタにして一緒にミルナをからかいませんか?」

||;‘‐‘||レ「なっ、なんで私がそんなこと―――」


 ノリが悪いですね、と不満そうなまたんきにカウ先輩はうるさいと文句をつける。
 その時、二人の間に何かが投げ込まれた。
 そこに吸い寄せられるよう視線がそこに向く。
 そこには壁に根本まで深々と鎌が刺さっている。

||;‘‐‘||レ「え? なっ、何これ?」

(・∀ ・;)「あっ、やべぇ―――」

 戸惑っている二人の間にまた鎌が投げ込まれ、新たな鎌が壁に突き刺さる。
 投げた方向を見ると画像と似た和服を着た少女が立っている。


lw´‐ _‐ノv「……」

スッ lw´‐ _‐ノvっ/)


 何処かから鎌を取り出して鎌をまたんきに向かって投げつける。
 飛んでくる鎌を避けるまたんきに、「あんた何かしたのかい?」とカウ先輩が聞く。
 何の言葉を返さないでスマホの画面を見て固まっているまたんきの顔が引きつっている。

||;‘‐‘||レ「たんき? 画像に写っているのはこの人だよね」

 画像に写っている少女と、目の前にいる少女を見比べる。
 またんきはそうですねと素っ気なく返す。

.

37 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:16:20 ID:BbCUkrik0

||;‘‐‘||レ「なんかずっとたんきの方を見てるんだけど」

 和服の少女がチラッと見たカウ先輩が目を向けた瞬間―――そこからまたんきは走り出していた。

||;‘‐‘||レ「ちょ、たんき―――」

 またんきはカウ先輩を置いてそこから逃げていた。
 呆気にとられながらも置いてかれてはたまらないとカウ先輩がまたんきの後を追いかける。
 逃がす気はないのか和服の少女が追いかけてくる。

lw´‐ _‐ノvっ/)「逃さない」

||;‘‐‘||レ「ちょっとたんき、あんたあの子に何をしたのさ?」

 走りながらまたんきを捲し立てるように聞くカウ先輩に、またんきは答えずに走る。
 一目散に走る続けるまたんきとカウ先輩の前に分かれ道が現れ、カウ先輩は右へと曲がる。ある程度走った所で足音が遠ざかっていくのに気づき振り返る。

||;‘‐‘||レ「なんなのよもう」

 訳が分からないとカウ先輩が毒づく。
 どうやら和服の少女は左へ曲がったまたんきを追いかけて行ったらしい。恐怖から解放された安心感からか腰が抜けたカウ先輩は地面にへたり込んだ。

.

38 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:17:15 ID:BbCUkrik0

* * *

||‘‐‘||レ「と、まあ、こんなところかしら……」

( ゚д゚)「話してくれてありがとうございます」

||;‘‐‘||レ「べっ、別にいいわよ。私もたんきに言いたいことがあるから」

 今度あったら絶対殴ってやるんだから、と息巻くカウ先輩から事の経緯を聞いたミルナとプギャーは、カウ先輩と購買所で別れ広大なキャンパスの何処にいるかまたんきを探すが見当がつかないまま宛もなくキャンパスを走り回っていた。

(;^Д^)「くそっ、またんきの奴どこ行ったんだ! 何処かに目印でもあれば……」

 周囲に目を凝らし―――それがあった。
 壁に鎌、鉈、棒手裏剣が突き刺さっている。
 
(;^Д^)「これを辿れば―――」

 この目印を辿れば何れまたんきの元に辿り着けるかもしれない。
 嫌な目印だなとプギャーは胸中で毒づきながら、行き着く先々で刃物、刃物、刃物のオンパレードだ。

「助けてくれー!」

 何箇所目かの目印を見つけた時だった。
 またんきの悲鳴が聞こえた。悲鳴の上がった場所に向かうと―――その途中にはやはり様々な刃物が壁や地面に刺さっていた―――そこは運動場。
 そこでミルナとプギャーが見たものは。

.

39 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:18:44 ID:BbCUkrik0

(;^Д^)

(;゚д゚)


(;∀ ;)「助けてー!」

lw´‐ _‐ノvっ/)「逃がすか」
  ⊃ー=iニニ>


ヒュッ lw´‐ _‐ノvっ ー=/)    ー=iニニ>    ー=/)
  ヒュッ  ⊂彡    ー=iニニ>      ー=/)    ー=iニニ>    ー=(ノ; ∀;)ノ

 
 ミルナとプギャーは目の前の光景に呆気にとられていた。
 和服の少女が投げる鎌や棒手裏剣をまたんきが紙一重で避け、広い運動場を縦横無尽に逃げ続けていた。
 埒があかないと感じた和服の少女は、またんきが逃げる先を予測して袖口から棒手裏剣を取り出して投げた。

(;∀ ;)「ぐえっ」

 足元に刺さる棒手裏剣を避けた拍子に足が絡んだまたんきは芝生の上に転んだ。
 追い詰められたまたんきは這ってでも逃げようとするも和服の少女によって取り押さえられ御用となるという異様な光景だった。

.

40 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:19:56 ID:BbCUkrik0

* * *

(;^Д^)「またんき!」

(;∀ ;)「プッ、プギャー怖かったよー」

 またんきが御用になる光景にミルナとプギャーはしばしの間呆気にとられていた。我に返った二人が慌ててまたんきの元へと駆けつける。
 二人が此処に向かってくるのに気づいた和服の少女は役目が終わったとばかりにまたんきをあっさりと開放した。
 

ウワー(;∀ ;)ーン

(;^Д^)「ええい、抱きつくな気色悪い」

 余程怖い思いをしたのか駆けつけてきたプギャーの腰にまたんきが縋り付く。
 堪らずプギャーがまたんきを引き剥がそうとするが、またんきは「怖かったよ~」と縋り付いたまま号泣する始末だ。

( ゚д゚)「……」

 その光景をミルナは黙ってみていた。
 あとはまたんきのスマホを取り上げて画像を消去できればそれでいい。自分に痴態をプギャーやカウ先輩に見られたことは精神的にキツかったが、SNSに晒されて拡散しなかった事を思えばマシな部類だ。
 和服の少女に余程怖い目に遭ったのか、追い掛け回される様を見たミルナはそれで幾らかの溜飲を下げた。
 泣きじゃくっているまたんきに追い打ちをかけるような嗜虐趣味はない。

||‘‐‘||レ「なにしてるのよあいつら……」

 聞き慣れた声に振り返るとカウ先輩が居た。
 目の前ではプギャーに縋り付いて離れようとしないまたんきと何とか引き剥がしそうと圧し合いしているシュールな光景に呆れていた。
 
.

41 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:21:20 ID:BbCUkrik0
 
( ゚д゚)「カウ先輩どうしたんですか?」

||‘‐‘||レ「清流号を運動させようと思ってね」

 そうですか、とミルナが返事を返す。
 カウ先輩の後ろには綱に牽かれている愛牛がいた。 

( ゚д゚)「カーチャンゼミの打ち合わせは良いんですか?」

||‘‐‘||レ「打ち合わせは終わったわ。やることもないしこの子をここで運動させようと思ってね」

 モォーっと鳴く牛は早く運動場を駆けたいらしくカウ先輩のくびれた腰に牛は頭を擦りつけていた。
 牛の催促にカウ先輩は嬉しそうに顔をほころばせる。

||^‐^||レ「じゃあね」

 ミルナに笑顔で微笑んだカウ先輩は牛を引き連れて運動場の奥へと進む。


 それを。


ジー lw´‐ _‐ノv


||;‘‐‘||レ「なっ、なんだよ」

.

42 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:23:05 ID:BbCUkrik0

 事の成り行きを見守っていた和服の少女は牛を引き連れているカウ先輩をじっと見つめている。
 不躾に見られるのが恥ずかしくなったカウ先輩は胸を隠す。
 和服の少女が見ているのカウ先輩の豊かな双丘ではなく……カウ先輩の愛馬ならぬ愛牛を見ていた。

lw´‐ _‐ノv「毛並みよく、鍛えられた体躯。いい、実に素晴らしい」

||;‘‐‘||レ「えっ、そっ、そう、ありがとう」

 カウ先輩の愛牛を褒める和服の少女に愛牛を褒められて満更でもないカウ先輩。しかし和服の少女はそれに触れてはいけないことを知らない。
 ミルナも知らずある暑い日にそのことをカウ先輩に尋ねた。
 結局カウ先輩に解放されるまで牛の素晴らしさをずっと語られた、話に熱が入ったのかカウ先輩の顔が心なしか顔が赤かった。
 カウ先輩に牛の話題を出してはいけないことは、この大学に通う学生の公然の秘密だ。 

lw´‐ _‐ノv「……」

||*‘‐‘||レ「で、この牛はね―――」

 カウ先輩が喜色満面といった表情で語っているあの状態だと最低一時間は解放されない。
 和服の少女はカウ先輩の話を聞かずずっと牛を見ていた。

 両手に持っている牛刀を取り出し感触を確かめるよう和服の少女は牛刀を振っている。いつの間にと周りをギョッとさせるが、両手に持つ牛刀を振るう和服の少女は、キィン、キンと刃と刃を擦り合せている牛刀から火花が散っている。
 牛の素晴らしさを語るカウ先輩は目の前で起こっている異常に気づかない。
 
lw´‐ _‐ノv「ねぇ」

||*‘‐‘||レ「うん、何かな?」

 牛を食い入るように見ている和服の少女がおもむろに牛を指差して。

lw´‐ _‐ノvσ「その牛、捌いて食っていい?」

||;‘‐‘||レ「は?」

 空気が凍った。

.

43 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:24:10 ID:BbCUkrik0
( ゚д゚)のある一日のようです 1



||;‘‐‘||レ「だっ、だめに決まってるんだろ!」

lw´‐ _‐ノv「その牛は私に食われるためにここにいるんじゃないのか?」

 愛牛を庇うようにカウ先輩は和服の少女の前に立ちはだかる。
 
||;‘‐‘||レ「あれは私の通学の足だ!」

lw´‐ _‐ノv「その後でいい、捌かせててくれ」

||;‘‐‘||レ「なんでだよ!」

 牛刀をちらつかせながら和服の少女が捌かせろ、いいわけ無いだろと食って掛かるカウ先輩と押し問答をやっている。
 
( ゚д゚)「……」

(;∀ ;)

 そんな彼女たちが繰り広げる押し問答から、別の所に目を向けるとミルナの冷たい目がプギャーの腰に縋り付いて泣いているまたんきを見下ろしていた。 
 泣いているまたんきを何とか泣き止ませ話を聞く。

44 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:24:57 ID:BbCUkrik0

( ゚д゚)「またんき」
 
(;∀ ;)「みっ、ミルナか?」

 安堵しているまたんきにことの経緯を聞き出そうと―――

(・∀ ・#)「ミルナ! あいつは一体何なんだ?!」

 食って掛かるまたんきにミルナは知るか俺が聞きたい。俺なんかお前と違って殺されると思ったんだぞ、小声でボヤきながらミルナは部屋での騒動について説明する。
 ミルナの話を唖然としながらまたんきは震える体を抱いている。自分のことのように思っているんだろう。
 あんな目に合えば無理もない。
 
 またんきのお陰で助かったのは事実だが、ここまで騒動を大きくしたのはこいつの自業自得だ。
 おまけにカウ先輩までこの騒動に巻き込んだ。カウ先輩があとで仕返しをしてやると息巻いていたから当分またんきに心休まる日が来ないなと思いながら―――

( ゚д゚)「お前に言いたいことは山のようにあるが……先ずはスマホを出せ」

(・∀ ・)「はっ、なんで?」

 ミルナの言っていることが意味が分からないととぼけ顔のまたんきは大人しく渡すつもりはないらしい。

(・∀ ・)「せっかく手に入れたおまえをからかえるネタなんだ。俺は手放すつもりはない」

 今も情けない姿を晒すまたんきにミルナはどうして強気な態度が取れるんだ? と疑問に思う。
 さっきまで泣きわめくほど怖い思いをしたはずなのにもうこの態度、喉元すぎれば暑さを忘れるという言葉があるが、どうやらまたんきの
場合は一緒に危機感も忘れてしまうらしい。
 

.

45 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:26:27 ID:BbCUkrik0

lw´‐ _‐ノv「捕ま~え~た~」

 
 ビクッと驚くまたんきの背後から気配なく近づいた和服の少女は逆手に持った小太刀をまたんきの首筋に刃を押し当てた。
 またんきに息が掛かるほど耳元近くで何事かを和服の少女が冷たい声で囁く。

lw´‐ _‐ノv「――――――」

( ∀ ;)「!」

lw´‐ _‐ノv「わかった?」

 首に感じる存在感と和服の少女が言外に「言うことを聞かないと鎌でお前の首を裂くぞ」という脅しに首を縦にふるしかなかった(もっともまたんきは首は動かせないが)。 
 カウ先輩との押し問答が終わったのか、いまはまたんきの背後にいて和服の少女がまたんきを脅している。
 どうやらカウ先輩の牛を捌くことは諦めたらしい。

(・∀ ・;)「ほっ、ほら」

 恐怖に震える手でポケットからスマートフォンを取り出しミルナに手渡す。
 スマートフォンを受け取ったミルナは目的の画面を開いて件の画像を消去した。

( ゚д゚)「ほらよ」
 
 またんきにスマートフォンを投げ渡す。
 震える手で上手くキャッチできなかったまたんきは顔面にスマホが直撃し、スマホが地面に転がる。
 鼻を抑えて蹲っているまたんきからミルナはこちらの様子を伺っている和服の少女に目を向ける。

.

46 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:27:28 ID:BbCUkrik0
 
lw´‐ _‐ノv「……」

( ゚д゚)「全部話してくれますよね?」


 人の朝飯を勝手に平らげ、挙句ミルナを殺そうとしたり、またんきを追い掛け回し、カウ先輩の愛牛を捌こうとしたりと、暴虐の限りをしてますけどちゃんと理由を話してくれますよね?
 佇んでいる和服の少女は鋭い目つきで見つめるミルナの視線をものともせず、新月の夜空を思わせる黒眼は揺らぎもしなかった。

( ゚д゚)「なんでここにいるのか説明してくれませんかね?」

 ふむ、と顎に手を添えて考え込む和服の少女が暫くそうしていた。

lw´‐ _‐ノv「まずは……」

lw´‐ _‐ノv「美味しい朝飯をありがとう」

 突如作った朝飯のことを褒められたミルナはズッコケそうになった。
 褒められたということは作った冥利につきる。礼を言われたことは嬉しいが今聞きたいことはそれじゃない。


(;-д-)「いやっ、そうじゃなくてですね」

lw´‐ _‐ノv「ふふ、わかってるよ」


 分かってるならそうしてくださいよ、と言うミルナに順序はちゃんと守るものさ、と和服の少女がミルナを諭す。
 釈然としないものを感じながらミルナは和服の少女の言葉を待つ。
 状況についていけないミルナを置いて和服の少女は涼しい顔で話す。

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47 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:28:43 ID:BbCUkrik0

lw´‐ _‐ノv「一飯の恩義さ、懐かしさもあって大人気なくも私が羽目をはずしたせいで君に迷惑をかけてしまった。その罪滅ぼしもある」

 羽目をはずしたせいで殺されかけた此方の身になってくれと、八つ当たりに近い思いを抱いていると、

lw´‐ _‐ノv「あんなことがあったにもかかわらず、律儀に私の忘れ物を届けてくれるたんだろう? 鞄の中に入ってるだろ?」

 手をミルナに向ける。
 返してくれないか? と言われたは言われるがまま鞄から抜き身のコンバットナイフとナイフを渡す。
 遠巻きに見ていたプギャーとまたんきがそれを見て驚いていたが、和服の少女は気にもせず「ありがとう」と言ってコンバットナイフと棒手裏剣を受け取る。

 
lw´‐ _‐ノv「君があの童のせいで何か不利益を被ってたみたいだからさ」

(;-д-)「その不利益を作った原因は貴女ですからね」

lw´‐ _‐ノv「まあ、それはその通りなのだが」


 ミルナの皮肉にも顔色を変えずにコンバットナイフを帯の中にしまう。 
 またんきを追い掛け回した理由が美味しい朝食を作ってくれたから。
 義理堅いのかどうかは分からないが、それだけの理由。

lw´‐ _‐ノv「そういえばまだ自己紹介がまだだったね。私の名a前は素直明希。親しい人たちからはシュールと呼ばれているよ」

 名a前で呼んでくれる人はあまりいないんだけどと、無表情だがどこか残念そうだ。
 
.

48 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:29:38 ID:BbCUkrik0
 
( ゚д゚)「シュールさんですか?」

lw´‐ _‐ノv「君はミルナと呼ばれているからそれでいいのかい?」

( ゚д゚)「ミルナ・ディスウェイです」

lw´‐ _‐ノv「私はミルミルと呼ぶことにしよう」

(;-д-)「ミルミルって俺のことですか? それじゃ自己紹介の意味ないじゃないですか」

lw´‐ _‐ノv「男なら細かいことは気にするな、君の器に小ささを露呈するだけだぞ」

 口八丁手八丁、その言葉が頭に浮かぶ。
 自分ではこの人には口では勝てそうないとミルナはそんなことを思った。
 

* * *
 

(・∀ ・)「これで終わりか?」

 やっと解放されると心の底から安堵しているまたんき。
 相変わらずプギャーの腰に縋り付いたままだ。

( ゚д゚)「たしかに俺の要件はこれで終わりだが、他の方々はどうだろうな?」

(・∀ ・)「え?」

 どういう意味だ? とミルナの見た方向をまたんきが見る。
 こいつのせいでいろんな人が迷惑を被っているのが分からないのだろうか。

.

49 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:30:36 ID:BbCUkrik0

 無自覚なまたんきにミルナは溜息を吐く代わりにまたんきの後ろを指差す。
 指が指し示す方向をまたんきは見た。
 直後またんきはそこを見たことを後悔した。


 @@@
@#_、_@
( ノ`)

||#‘‐‘||レ

 
(・∀ ・;)「……カウ先輩、母者教授?」


 @@@
@#_、_@
( ノ`)「……なんでこの状況になってるのか聞きたいが、それは後でいい。またんき、補講をサボるなんていい身分だね」

||#‘‐‘||レ「たんき、言いたいことは色々あるけどまず一発殴らせろ」

 母者教授が腰に縋り付くだまたんきを引き剥がす。
 引き剥がされ、地面に座り込むまたんきを母者教授と和服の少女の押し問答が終わったカウ先輩によって囲まれてしまう。
 前後を虎と狼に囲まれたまたんきにどうすることも出来なかった。
 全てまたんきの自業自得だ。

 運動場にまたんきの悲鳴が虚しく響くだけだった。

.

50 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:31:45 ID:BbCUkrik0

* * *

 いろいろと疲れた次の日。
 眠気と戦いながらミルナは朝食の準備をしていた。

( ゚д゚)「ふぅ……」

 机に置かれるアジの開きと、きのこの味噌汁、お浸し。
 昨日と違って今日は静かに食べられると安堵したその時―――

lw´‐ _‐ノv「やぁ、今日も立派な和食だね」

( ゚д゚)「……何でいるんですか?」

 昨日同様、春の匂いを纏わせ窓辺に立つ和服の少女。

lw´‐ _‐ノv「それを聞くかね。理由はそこに和食があるからだよ」

 それ以外に何があるんだい? と言うシュール。
 結局あの場はあのまま押し切られましたけどね、と不満顔のミルナを気にも止めることもなく和服の少女は半ば指定席と化したミルナと向かい側にちょこんと座る。
 
( ゚д゚)「大体、いい大人なら自分で朝飯くらい作れるでしょうシュールさん? まさかいい年大人が自炊ができないとか言うんじゃないでしょうね」

lw´‐ _‐ノv「……そんなことはない」

( ゚д゚)「出来ないんですね。……って勝手に食わないでくださいよ」

.

51 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:33:48 ID:BbCUkrik0

lw´‐ _‐ノv「うるさい。こういう物は早い者勝ちだ」

( -д-)「それは随分子供じみた言い訳ですね」

lw´‐ _‐ノv「なら対価を払えばいいのか?」

( -д-)「別に何も払わなくて結構です。それより友人が家に来るんで早く出てって下さい」

 ここに来なければそれでいい、とそう言ってミルナ味噌汁を飲む。
 ここの朝食を諦めたくないシュールは提案のつもりで話し出す。

lw´‐ _‐ノv「なら体で払おう」

(;д)「ぶっ」

 シュールのとんでもない発言にミルナは味噌汁を噴き出して、ゴホッ、ゴホと咽る。

(;゚д゚)「な、なんでそうなるんですか!」

lw´‐ _‐ノv「何をそんなに驚く? 皿洗いくらいになら私でも出来る」

lw´‐ _‐ノv「それとも君はいたいけのない私を裸にひん剥くような下劣な想像でもしたのかい?」

 してません、と口から噴き出した味噌汁の掃除をしながら力強く否定するミルナ。
  動揺を抑えられないミルナから会話の主導権を奪い取ったシュールは口は止まらない。

lw´‐ _‐ノv「私は君がそういう妄想を抱こうが興味がない、ただ君が私のあられもない卑猥な事を妄想したのは事実だ。私はただ君が作る朝飯を毎日食べたいのだ」

(;゚д゚)「それって暗に俺が毎日朝飯を作らないと嘘八百を並べてそれを大学中にばらまくぞって脅しじゃないですか?」

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52 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:36:31 ID:BbCUkrik0

lw´‐ _‐ノv「……」

( ゚д゚)「沈黙は肯定と受け取りますよ。いいですか――」

ガチャ ( ^Д^)「おーい、ミルナ、迎えに来たぞ」

(#゚д゚)「―――俺は女に興味はありません!」


( ^Д^)

(#゚Д゚)


 肩で息をしながら言いたいこと言ってやったと満足気なミルナ。
 時間になってもアパートから出てこないミルナを呼びに来たプギャーが玄関を開けて彼の口から出たカミングアウトをプギャーから聞いたのと「誰か来たのか?」と来たのかとそっちに顔を向けたミルナが固まった。

(;゚д゚)「えっ、あれ……」

( ^д^)「……」

(;゚д゚)「プッ、プギャー、違うんだ、これには訳が……」

( ^Д^))))「何も言うなミルナ、おまえがどんな奴だったとしても俺はお前の友達だ」

 額から汗を滝のように流して狼狽するミルナから明らかにミルナから距離を取るプギャー。

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53 :名も無きAAのようです :2015/07/19(日) 03:38:21 ID:BbCUkrik0

(;゚д゚)「待て! お前は明らかに誤解をしている」

( ^Д^)「安心しろミルナ、今日のことは俺の心に奥深くにしまっておく」

(;゚д゚)「もうそれが誤解してるよ! お願いだから話を聞いてくれ」

lw*´ _ ノv「プッ、ククク……」

 目の前で起こった出来事に和服の少女は吹き出す。
 こういうことがあるから生きることを辞められない。
 笑いをかみ殺すシュールは、このミルナという青年はギコ同様にからかい甲斐があると感じていた。

 この出会いがシュールに何をもたらし、ここで一体何が起こるのだろう。
 さぞ楽しいことが起こるに違いない、確信にも似た思いを抱きながらいつか来る別れまでその瞬間まで楽しもうと心に決めて。
 隣で笑いを堪えている彼女に向かってミルナは。


(#゚д゚)「アンタのせいですからね!」

 
 ミルナの怒号がアパートの部屋に虚しく響いていった。
 
                                   【―了―】


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