(#゚;;-゚)完成しないようです

96 :5レスだ!名無しさん :2013/09/28(土) 17:31:39 ID:kNZPVwWo0
騒々しい教室。
義務として行われる以上仕方のないことだが、
こんな場所で芸術など生み出せるはずもなく、味気ない繰り返し日々の業務に飽き始めていた。

( ・∀・)「もうすぐチャイム鳴るから順番に提出しにきてー!」


ミセ*゚ー゚)リ「どう、先生? 良く描けてるでしょ」

( ・∀・)「どれ。
      おぉ、いいね。成績期待して良いよ」

ミセ*^ー^)リ「やーった! あのね、ここの」

( ・∀・)「ごめんね、後がつかえるから。
      次は」

(#゚;;-゚)「あ、のっ……」

(σ-∀・)「これは、終わらなかった?」

(#゚;;-゚)「っと、放課後」

( ・∀・)「残る? じゃあ、ここ開けておくから頑張ってな」

ミセ*゚ぺ)リ「エーッ! ずるいー、あたしも放課後残る!」

( ・∀・)「ははは。三瀬は今日から数学の補習だろ? 茂名先生気合い入ってたぞ」

ミセ;´ー`)リ「うえ、マジで? 絵描いてたいよー……」

97 :5レスだ!名無しさん :2013/09/28(土) 17:33:22 ID:kNZPVwWo0
女子生徒とのくだらない会話に、同僚の愚痴に延々と付き合わされ、
美術室の扉を開けたのは、ホームルームを終えて一時間以上過ぎた後だった。

( ・∀・)「ごめんな、捕まっちゃって」

(#゚;;-゚)”


( ・∀・)「ふーっ」

( ・∀・)「…………」

(#゚;;-゚)

椎名でぃ。
私が受け持つ百数十人の中で目に止まる存在ではあった。
引っ込み思案で口数の少ない、決して目立つ子ではなかったが、彼女の作品からは確かな力強さを感じた。


夕暮れに照らされた、落ち着きのある空間。悪くない。
顔を汚すことも厭わず、ひたむきに絵を描き続ける彼女の姿が良く馴染んだ。

ただじっと彼女を見る。
雑味ばかりで構成されるようになった私の世界を、今は彼女が占めていた。
ちょうど彼女の世界を、目の前のキャンバスが占めるように。

数少ない満たされた時間だった。

進捗は九割以上、数日中には完成してしまうだろう。
明日はもっと早くここへ来なければ。そう思った。

98 :5レスだ!名無しさん :2013/09/28(土) 17:34:18 ID:kNZPVwWo0
(#・∀・)「なんだってこんな時に……!」

大股で歩く。一踏みに怒りがこもる。今日には完成するだろうという今日に限って、これだ。
他に手が空いている者もいただろうに、学年主任は、わざわざ私に雑用を押しつけてくれた。

すれ違う生徒の視線が痛い。少し歩を緩める。冷静になろう。
教室は目の前だ。彼女の邪魔はしたくない。

(;゚;;-゚)

そっと扉を開けると、彼女はオロオロと、何かを探していた。

( ・∀・)「……どうした?」

(;゚;;-゚)「あのっ、絵が……」

( ;・∀・)「……ッ!?」

(; ;;- )「あたし、出来上がって、トイレに行きたくて、そしたら、
     帰ってきたら、なくなってて、それで」

(;゚;;-゚)「あの、あたし、また描きますっ! 私が悪いんです! 目を離したから……」


( ;・∀・)「い、いいんだぞ? 評価は出来るくらい見てたし」

(;゚;;-゚)「か、描かせてください! あ、駄目でなければ、なんですけど」

( ;・∀・)「そうか? ならまぁ、私はいいんだが……」

99 :5レスだ!名無しさん :2013/09/28(土) 17:36:07 ID:kNZPVwWo0
彼女の手前、顔には出さなかったが、私の心は怒りに充ち満ちていた。
許せなかった。終わってしまう寂しさはあったが、誰より完成を楽しみにしていた。
出来上がったそれを、真っ先に私が見たかった。
翌日、校内を聞いてまわった。何人かの生徒が美術室に入るのを見ていた。
同僚に確認すると、確かにソイツは欠席していた。所詮生徒のやることだった。

( ・∀・)「どこに隠した」

ミセ;゚ー゚)リ「違います! あたしじゃないです!」

( ・∀・)「お前を見たって生徒がいる。
      茂名先生にも聞いた」

ミセ;゚ー゚)リ「ちがっ、サボったけど……でも」

( ・∀・)「なんでこんなことしたんだ」

ミセ ;-;)リ「あたしじゃないです。
       先生に会いに行っただけで、あたし……」

( ;・∀・)「……」

どうしてくれよう。……いや、どうしようか。
感情に任せ、問いただすところまできたが、泣かれてしまった。
これじゃ捜し物は出てこないだろう。挙げ句お守りまでする羽目になるとは。
私は何をしているんだ? 彼女は今も描いている。……私は。

( ・∀・)「……」

(  ∀・)「――なァ、三瀬。頼みがあるんだが」

100 :5レスだ!名無しさん :2013/09/28(土) 17:37:40 ID:kNZPVwWo0
美術室。


(#゚;;-゚)


今日も彼女は描いている。
まっすぐにキャンバスを見つめている。
あの日すぐに立ち直り、「描きます」と私に言った時と、同じ視線。

怒り、落胆、戸惑いに紛れて、私は感動を覚えていた。
そうまでして彼女を芸術に向かわせる何かを知りたくなった。
もう一度あの姿を、見てみたくなった。

しばらくはこの時間が続く。そう、まだしばらくは続いてくれるだろう。
三瀬のおかげで。


( -∀・)「もうこんな時間か。片付け始めてくれ」

( ・∀・)「急がなくて良いぞ。とりあえず見ていてやれるから。
      好きに描きな」

(#゚;;-゚)「はい、ありがとうございます」


帰り支度を始める彼女、
不意に視線を落とすと、かすかに笑った気がした。

(# ;;ー )


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