魂のスナッフフィルムのようです

2 :名も無きAAのようです :2015/05/03(日) 23:58:30 ID:KX.7DOFg0
僕は姉が嫌いで嫌いで仕方がなかった。
あいつは人類どころか全生物から唾棄されるべき淫乱な女だった。
幸いなことにして不幸なことに僕と姉に血のつながりはない。
こんな最悪な女と血肉を分けた存在ではないというほっとした気持ちと同時に、何の因果で他人同士が姉弟になってしまったのだろうという気持ちが僕を苛んでいた。

一目見た時から憎しみが止まらなかった。
あいつは僕に優しくしようとした。
「物心ついた頃から施設で生まれ育ち、引き取られたかと思えば義父に先立たれ、母子家庭で苦労してきた可哀想な男の子と暮らしていくから優しくしなくては」
そんな感情が滲み出ていた。
無条件の愛情を注がれ、苦労も辛酸も知らずぬくぬくと生きてきた奴にはよくあることだ。
僕はそんなものを求めていなかった。
僕はずっと一人でよかった。
簡単に人を信用し、恋愛して、傷付いて、慰められて、忘れて、またそれを繰り返すようなみっともないクズにはなりたくなかった。

僕は、独りだった。
どんなに冷たくあしらわれてもあいつは僕を構い、媚びへつらった。
男を取っ替え引っ替えするような女を、家族は愛した。
あんな奴のどこがいいのか、僕は理解に苦しんだ。
だから僕は、僕は……。

3 :名も無きAAのようです :2015/05/03(日) 23:59:12 ID:KX.7DOFg0
姉の顔を盗撮した。
寝ている顔を、テレビを見ている横顔を、ふと笑いかける寸前の顔を、目が瞬く刹那を、怒りによって?茲が紅葉した時を。
ありとあらゆる時間を切り取った。
集められたデータたちは、僕が散々ごねてやっと買い与えてもらえたPCの中に突っ込んだ。
そして電子の海に漂う猥褻な画像と合成させた。
最初こそ下手なコラージュだったが、あいつが無様に裸を僕に晒しているのだと思うと滑稽で仕方がなかった。
僕は段々その行為に傾倒していった。

誰のものか定かでない逸物を受け入れる姉。
首を絞められて顔を真っ赤にする姉。
少し?茲を赤らめながら口淫する姉。
男体に跨がり情欲を貪る姉。
白濁とした液を顔面で受け止め恍惚とする姉。
玩具を入れて買い物に行かされる姉。
中出しされ焦る姉。
腹を膨らませてもなお犯される姉。
手を入れられ肘まで突き通された姉。
体に落書きをされ惨めに興奮する姉。
肛門をこじ開けられる姉。
赤い縄で縛られ恍惚とする姉。
電流を流され背中を仰け反らせる姉。
裸で外を歩かせられる姉。
体を刃物で撫でられ鳥肌を立たせて怯える姉。
喉奥まで咥えさせられ嘔吐く姉。
胃液まみれになりながらも笑って媚びる姉。
コルセットピアスを開けられる姉。
鞭で体を打たれ真っ赤になった痣を残す姉。
縛られたまま水槽に突き落とされもがく姉。
蝋燭で肌を焼かれる姉。

僕は、色々な姉を捏造し続けた。

4 :名も無きAAのようです :2015/05/03(日) 23:59:54 ID:KX.7DOFg0
そんなある日、あの女は死んでしまった。
貧血で線路に倒れ、ちょうど来た電車に跳ね飛ばされたそうだ。
呆気ない死に様だった。
両親の代わりに死体の確認をしたが、本当に無様な姿に成り果てていた。
面影を感じることが出来ず、僕はむしろそのままでいてほしいくらいだった。

聞けば両親の結婚記念日だか誕生日だかのプレゼントを買うためにバイトを掛け持ちして寝る時間を削っていたのだという。

いい子ぶりやがって。

黒い写真立ての中で無神経に笑うそいつを見て内心そう思った。
その当時付き合っていた彼氏だかなんだかが棺桶にへばりついていたのを覚えている。
あまりにも縋るものだから誰も引き剥がせず、霊柩車にいつまで経っても移すことが出来ず僕は非常にイライラしていた。
死んでしまえばタダの肉なのに。
そんなことをしてもなんの役にも立たないのに。

姉は、十七歳だった。
これからもずっと十七歳のままだ。

僕はもうその歳を追い越し、大学生になっていた。
姉の写真は未だに消せていない。
だからといって開くこともない。
嫌いな奴の顔をわざわざ見ようとは思わなかったのだ。

5 :名も無きAAのようです :2015/05/04(月) 00:00:44 ID:zV01/l/c0
その日も大学から帰ってきて、いつも通り引きこもっていた。
お気に入りの掲示板にアクセスし、いつの間にかタブは色んなスレで溢れかえっていた。
僕は面倒臭がりなので、スレを見なくなっても消さなかったのだ。

('A`)「今日はパッとしねーなぁ」

いや、今日も、の間違いか。
時間を潰せても楽しいと思ったためしはなかったのだ。
それでもする事がないから、僕は掲示板に入り浸るのだが。

('A`)「ん?まーたアプデかよ」

ソフトウェアの更新を促すウィンドウが現れ、僕はよく内容を読まずに「はい」をクリックした。

('A`)「ん?」

すると画面が一瞬明滅し、ウィンドウが閉じてしまった。

('A`)「はぁ?」

僕はアイコンをクリックし、もう一度画面を出そうとした。
反応なし。
やっちまった。

('A`)「ブラクラ踏むとかとか中学生ぶりじゃねえか」

まったく、と僕が対策ソフトを引っ張り出そうとした時だった。
再び画面が明滅し、元に戻ったのだ。
スレに膨大な書き込みを残して。

(;'A`)「は?」

冷や汗が額を伝う。
呼吸が浅くなる。
恐る恐る貼られたURLをクリックした。

6 :名も無きAAのようです :2015/05/04(月) 00:02:15 ID:zV01/l/c0
今は亡き姉が、犯されていた。
いや、僕が作り上げたコラージュだ。
切り抜きが雑だし、陰影に違和感を感じる。
そう、コラージュだと分かるのだ。

よ く み れ ば の は な し だ が 。

「ちょwwwエロ杉wwwwwww」
「なんだこれは…たまげたなぁ」
「よく見ると美人」
「メンヘラくせえだろやめとけ」
「これどこの女優?好みなんだけど」
「はめ撮りっぽくね?」
「イエーイ彼氏見てるー?」

次々と更新されていく言葉に、僕は頭が真っ白になった。

('A`)「ち、ちが……」

その時、一筋の光が射した。

「いやでもコラっぽくね?」

そうだよ!コラージュなんだよ!!
突然現れた救世主に僕は首にかかった縄が退けられたように感じた。
そう、これは嘘だ。
嘘だから問題ない、問題ない……。

しかし誰もそこに触れようとしなかった。
それどころか事態は悪化していく一方だった。

「これ昔自殺したクラスメイトに似てる」

7 :名も無きAAのようです :2015/05/04(月) 00:03:30 ID:zV01/l/c0
画面を前にして僕は頭を抱えた。

「mjd?」
「メンヘラ確定か」
「詳細はよ」
「詳しくは知らんけど電車に飛び込んだらしいよ」
「死ぬ時にまで迷惑かけるクソビッチか」
「梅毒持ってそう」
「きちょまんが…」
「生きてたら売れっ子になっただろうに」

('A`)「う、あ……」

姉が犯されていく。
架空の姉が、無数の言葉に。
でもたしかに姉は生きていたのだ。
生きていたけども、死んでしまった。
死んでしまったのでけども、データとして生きていた。

「こいつのマンコ臭そうだよな」
「つーか口に精子住んでそう」
「どんだけフェラ好きなんだよwww」
「シコいわ 今日この子で抜く」

違う、姉はそんな奴じゃなかった。
本当は誰よりも優しくて好かれる人だったし、人を愛する人だった。
その分傷つくことも多かったが、それを恐れずに人を愛し続けていた。

('A`)「ああ、あぁ……」

姉が殺される。
バラされていく。
流出した画像は無限に増殖し、ありもしない話がくっついて姉は見えない相手から陵辱され続けるのだ。

8 :名も無きAAのようです :2015/05/04(月) 00:04:22 ID:zV01/l/c0
それはまさしく、何度も何度も嬲られる様を見せ付けられたことと同義で。


('∀`)「あは、あはは」

僕はウィンドウを閉じた。

代わりに隠しフォルダをクリックした。

消去しますか?

はい、消去します。
僕はなにもしなかったし、見なかったです。

( ∀ )「ごめん、ねーさん」

9 :名も無きAAのようです :2015/05/04(月) 00:05:33 ID:zV01/l/c0






































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